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生成AIはマーケティングやコミュニケーションをどう変えるのか?AIビジネスの現場が抱く期待【PR】

2023.08.31PR

ChatGPTをはじめさまざまな生成AIが登場し、大きな注目が集まる中、電通グループではAIを活用したさまざまなソリューションを開発・提供するとともに、あらゆる角度からAI活用の可能性を模索しています。

今回集まったのは、電通グループ全体のAI活用を推進するプロジェクト「AI MIRAI」を統括する、株式会社 電通グループの児玉拓也氏、同じくAI MIRAIメンバーで、AIを用いたクリエーティブ業務に取り組む株式会社 電通の岸本和也氏、AIを活用したマーケティング支援に取り組む株式会社電通デジタルの山本覚氏、主にAI×ロボティクスを研究している株式会社電通国際情報サービス(以下:ISID)の渋谷謙吾氏の4名。電通グループのAIビジネスの最前線に立つメンバーが、業界のトレンドや今注目している技術について語り合いました。

これまでのネット検索と同じ感覚で、まずは何事もAIに聞く時代に

児玉:まずは皆さんが普段の業務の中で、ChatGPTなどの生成AIをどのように使っているのか、といったところから話していければと思います。

渋谷:私はISIDというシステムインテグレーター業務を担う会社の中で、メールやチャットの文章をレビューしてもらったり、アイデア出しの際に漏れている視点はないかを精査したりと、日常的にAIを活用しています。さらにオープンイノベーション組織「イノラボ」のメンバーとして、「モノを動かす」技術であるロボティクスの研究をしているのですが、そこでもChatGPTのベースである大規模言語モデルを取り入れることができないか検討しています。具体的には、大規模言語モデルによって、ロボットやアプリがその場の状況を言語的に解釈し、それに応じた適切な動きができるようにならないか、といった活用を模索しています。

山本:電通デジタルでは広告クリエーティブ制作をAIで支援する「∞AI(ムゲンエーアイ)」というソリューションを開発しました。マーケティングメッセージの抽出から、それをもとにしたクリエーティブづくり、効果予測などを、一通りAIで行っています。またモンゴルにある開発会社「電通データアーティストモンゴル」での開発の効率化にもAIを活用しています。例えば経営層が日頃メンバーに指示している内容を学習したチャットボットを作って、それを活用することでいつでも経営層視点での確認ができるようにするなど、ソフトウェア開発をした際の品質のチェックにAIを使うことは、もはや当たり前になっています。

株式会社電通デジタル / 執行役員、データ&AI部門 / 部門長 山本 覚氏
東京大学松尾豊教授のもと人工知能(AI)を専攻。AIとビッグデータを活用し、広告の自動生成、広告効果の予測、CROやSEOなど、多数のデジタルマーケティングサービスを提供。「ワールドビジネスサテライト」、「NHK ワールド」など多数メディアに出演。多くのイベントをはじめとして企業や大学などでのセミナー登壇も多数。主な著書に『売れるロジックの作り方』、『AI×ビッグデータマーケティング』など。

児玉:分からないことがあればすぐネットで検索するのと同じ感覚で、今や何でもAIに聞いたり、確かめたりする時代になってきていますよね。

山本:そうですよね。あとは、私が担当するプレスリリースを公開する前のレビューもAIで行っています。プレスリリースとして必要な要素は入っているか、ニュースバリューはあるか、顧客や社会に対する公平性や透明性、倫理面といった観点から問題はないか、といったことをAIにチェックしてもらっています。

岸本:私が所属するクリエーティブの部署でも、わざわざ「AIを使っている」などと言う必要がないくらい、クリエーターが日々の業務に取り入れている印象です。企画コンセプトを伝えるイメージボードなども、生成AIによって驚くほど簡単に作れるようになりました。特にマス広告向けのコピーにおいて、そのまま使えるレベルのものをAIから生み出すにはまだ工夫が必要ですが、言葉の言い換えや類義語を洗い出す上では有益です。

ChatGPTは翻訳や要約が得意なので、専門的な海外論文を読まなくてはならない時、「中学生にも分かるように日本語で説明して」と頼むこともよくあります。検索しても的確な回答が得られない抽象的な質問やざっくりした質問に対して、直接的な答えを出すことは少ないものの、答えにたどり着くための手掛かりが得られるのがいいですね。児玉さんはいかがですか。

株式会社 電通 / zero、Dentsu Lab Tokyo、クリエーティブ・テクノロジスト、コミュニケーション・デザイナー 岸本 和也氏
クロスメディアマーケティングの分析・プランニング業務に従事した後、クリエイティブ局に異動、SNSやデータを絡めたコミュニケーションに携わる。近年はAIを用いた施策やツール開発を担当。サーベイ〜企画〜プロトタイピングを通じて技術の「間違った」使い方を模索している。

児玉:私のもともとの職務は経営企画なので、経営戦略を立てるために、参考にしたい企業の中期経営計画を読む機会も多くあります。最近、いろいろな企業の英語の経営戦略を要約させ、日本語に翻訳した上で抽出してもらったのですが、やはり生成AIを使うことで情報収集は飛躍的に楽になり、精度も上がりますね。今後はAIがリアルタイムで通訳、翻訳し、議事録やその要約も作ってくれる。そのようなかたちで、海外との会議が楽になることを期待しています。

“エイリアンインテリジェンス”が新しい発想や価値を生み出す

児玉:渋谷さん、生成AIによって今後、システム開発の現場もかなり効率化が進むのではないでしょうか。

渋谷:そうですね。ChatGPTはプログラミングのコードも書けるし、いずれは自社でプログラマーなどを抱えていない事業会社でも自分たちでシステムのひな型をつくるようなことも可能になるかもしれません。ただ現在のシステム開発のやり方が一気に大きく変わるかというと、そんなことはないと思います。やはりプロダクトマネージャーなど随所で意思決定を行う人は必要です。ただ今後は意思決定のためのヒントやアシストを生成AIがたくさん与えてくれることで、開発のスピードが速くなることはあり得ると思います。

株式会社電通国際情報サービス / XI本部 / オープンイノベーションラボ、HCI(Human Computer Interaction/Human Centric Interface) / グループ マネージャー 渋谷 謙吾氏
大学で生命科学、大学院で医科学(神経科学)を学んだ後、株式会社電通国際情報サービス(ISID)に入社。デジタルをアップグレードする新技術について研究開発の企画・推進を担当。機械学習、AR/VR、ロボティクスなど近年のトレンドに広く精通し、プロトタイピングや啓発活動を得意とする。「OGC・会津大学 誘導ロボット実証実験」など、数多くのプロジェクトに携わってきた。プライベートでは多脚愛好家として「歩く家具・家電」を開発中。

児玉:今や専門スキルがなくても、プロンプト(ユーザーがAIに対して行う指示)があれば、簡単なゲームくらいは作れるので、システム開発の初期段階でのプロトタイプは今よりスピーディーに作成できるようになりそうですね。岸本さんはクリエーティブ分野で生成AIを使っている中で、今後のAIの活用法はこのように変わっていくのではないか、といったイメージなどありますか。

岸本:さまざまなツールにプラグインのようなかたちで生成AIが入り、AIを使っているという意識なしに、ツール自体が便利になっていくのだと思います。また、AIは最適化のほかに、膨大なデータを基に多くの可能性を探ることが得意ですよね。いわゆるエイリアン・インテリジェンス(人間とは異質な知能)として、発想の範囲を広げ、人間がひらめきを得たり表現に活用したりする。生成AIの普及で、それがクリエーティブ分野でさらに広がっていくのではないかと思います。

大きな可能性を秘めているマルチモーダルAI

児玉:ところで生成AIと一言でいっても言語や画像、映像、音声を扱うもの、さらに複数の種類のデータを関連付けて処理できるマルチモーダルなど、さまざまなものがあります。今、特に注目している技術やサービスがあれば教えてください。

株式会社 電通グループ 児玉 拓也氏
2007年、株式会社 電通に入社。営業畑でデジタルプラットフォーマーなどのクライアント担当プロデューサーとして活動した後、経営企画のセクションに移動。2018年からはAIの活用を社内外で推進するプロジェクトチーム「AI MIRAI」の統括として、数多くのAI関連開発案件に関わる。株式会社電通国際情報サービスに出向し、UXデザインセンターのマネージャーを務めた後、2023年からは持株会社である電通グループに異動してグループ全体の経営企画を担う立場に。

渋谷:私はマルチモーダル、特に画像や音など環境情報を解釈する技術に興味があります。今はある意味、ChatGPTが優秀すぎるので、画像や音声を一度言語で表現されるラベルに変換して、それを言語モデルに与えたりしてみています。でも私たちが周囲の環境から得られる情報は莫大で、簡単には言語化できないものも多い。だから今、まさに人が見たり、聞いたりしている映像や音を丸ごとそのままAIが認識し、ロボットが今、何をすべきかを判断する。そのようなことができる技術に期待しています。そういった意味でも、画像を直接入力できる「GPT-4(Open AI社が開発した自然言語処理モデルの最新バージョン)」の未リリース機能には興味がありますね。

山本:既に電通でもキャラクターと対話ができるチャットサービスの実証実験を始めていますが、ChatGPTと画像や動画を組み合わせたサービスはこれからどんどん登場すると思います。ただオーディオに関しては、取り組みが本格化するのはこれからです。今後はメタバース空間でその時々の状況に合った音楽を作るサービスなども生まれてくると思います。電通デジタルとしても、VRやXRなどを活用したコミュニケーションの中での音楽系サービスに取り組んでいきたいですね。

岸本:今、世界的なIT企業がChatGPTを用いて言葉からロボットアームやドローンを操作する研究を行っており、論文も出ています。このようなテキストから現実空間への働きかけには、ものすごく可能性があると考えています。その前段階としては、大規模言語モデルがVRやメタバース、ゲーム内の空間にどのように影響を及ぼすのか、といったテーマがあります。まずは仮想空間内のマルチモーダルAIの活用が進み、それがいかに現実空間に波及していくか。そこに強い興味を持っていますね。

デジタルマーケティングをより人間味あるものに

児玉:従来のチャットボットは定型文が機械的に返ってくる味気ないものが多かったと思います。一方、ChatGPTは、より人間に近い自然な対話が可能です。そのためキャラクターや企業の人格をチャットボット化するような取り組みへの期待も大きいようですね。

岸本:ChatGPTは表現の豊かさにおいて、従来のチャットボットから飛躍的な進歩を遂げました。ChatGPTが登場してすぐに、ある出版社から漫画のキャラクターのチャットボットをつくれないか、といった相談もいただきました。他にも多くの企業において、ChatGPTに対する期待は非常に大きなものがあるようで、「ChatGPTでこんなことはできないか」といった相談をさまざまいただいています。

児玉:私は以前、あるアイデアに対していろんな観点から意見をくれるシステムをつくったことがあります。「サステナブルの観点から批判してくだい」とお願いして、アイデアを検証したりするんです。今はペルソナをもとにしたアバターチャットボットも簡単につくれます。それをユーザーと仮定して、新製品や広告キャンペーンの感想を聞いたり、インタビューをしたりすることで、ユーザー理解も飛躍的に精緻なものになります。このように生成AIを活用することで、デジタルマーケティング施策がより解像度の高いものになるのではないか。多くの企業が、そのような期待を持っているのではないかと思います。

山本:現在、電通デジタルでは人間味のあるデジタル体験「ヒューマナイズドデジタルエクスペリエンス(HDX)」という取り組みを進めています。その中では目線や口調や身振り・手振りを含めた人間のコミュニケーションをいかにリアルにアバターに反映させるか、といった観点も重要です。人間のコミュニケーションにおいて言語情報は1割ほどで、そのほかは表情や声質、身振り・手振りによって行われていると言われます。ですからアバターのちょっとした仕草の違いで、コンバージョン率が大きく変わることは十分あると思います。

児玉:それは面白そうですね。もちろんAIにもまださまざまな課題があり、どこまで社会に定着するかは未知数ですが、生成AIの活用によって今後、企業とお客さまのコミュニケーションが大きく変わっていくことは間違いないですよね。例えば今まではサービス紹介のサイト、決済や予約などの専用サイト、SNSなどに分かれていた顧客情報が、1つの企業ボットに集約されていく。それも人間らしいアバターが自然な会話で密にコミュニケーションを取ることで、今まで得られなかった豊かで詳細な情報が蓄積されていくかもしれません。

生成AIの進化に社会や法律が追いついてない

児玉:ところで、ChatGPTのような生成AIにはさまざまなリスクや問題もあるといわれています。特に気を付けなくてはならないのはどんなところだと思いますか。

渋谷:AIに対するネガティブな感情論や倫理の問題が今後、どのように解決していくかは注視していく必要があると思います。ChatGPTに関しては、システムインテグレーターの立場から言えば、OpenAI社という一研究機関に依存し過ぎていることは1つのリスクと考えられます。現状では何らかのきっかけでサービスそのものがクローズしてしまう可能性もないわけでありません。そうなれば現在、開発を進めている案件も破綻してしまうリスクがあることには注意が必要です。

岸本:今、大規模言語モデルを用いた対話AIを組み込んだサービスをリリースする上での最大の懸念点はプロンプトインジェクションではないでしょうか。AIに特殊な質問や命令をして、開発者が想定していなかったような挙動を起こさせることですね。数年前、生成AI登場前のシンプルなディープラーニングの時代の話ですが、ある企業のAIチャットボットが悪意あるユーザーの問いかけによって、差別的な発言をするようになったのもその一例です。プロンプトインジェクションに対してはさまざまな対策が取られてはいますが、すぐにそれが破られてしまう、いたちごっこのような状況になっています。

児玉:プロンプトインジェクションの結果、企業にどのような損害が起こり得るのか、といった点がまだはっきり見えていないのも問題ですね。チャットボットが人を傷つける発言をしたとき、企業にはどのような責任が生じるのか。AIがつくったものの著作権がどうなるのか。そのようなこともまだ明確ではありません。生成AIの進化に社会や法律が追いついていないのです。

ただ、だからといって何もしなければ、積極的に活用を進める企業に遅れをとってしまうかもしれないですよね。お客さまや一般ユーザーの方々にご迷惑をかけないように注意しつつも、さまざまなパターンを経験し、学んでいくしかない面もあると思います。

開発者が想像もしていなかった使い方に期待

児玉:最後に個人的な思いでけっこうですので、AIを活用して今後やりたいこと、夢や野望を聞かせてください。

渋谷:私はITやコンピューターの力を物理的なものに還元することをずっと考えてきました。人間が明示的に指示を与えなくても、ロボットがスマートに自分のパートナーとして動いてくれる。映画『アイアンマン』に登場する、主人公の相棒のAI「ジャービス」のような存在が各家庭にいて、対話を通じて生活の中のあらゆることを賢くサポートしてくれる世界が実現できるといいなと思っています。その手段として大規模言語モデルは非常に魅力的です。

山本:私は子どもの頃から死への恐怖心を強く持っていて、「不死への挑戦」が人生の大きなテーマとなっています。死を克服する1つの方法として、自分の死後も自分の思いや考えを存続させることがあると思います。今までなら、自伝などを書くことでそれを残してきた人もいますが、これからは自分のアバターを永遠に残すことができるようになるかもしれません。息子が将来、人生で困ったとき、アバターの私に相談してもらえれば、その都度的確なアドバイスをしてあげられる。そんな世界を夢見ています。

株式会社電通デジタル 山本 覚氏

岸本:技術の発展の歴史は「誤用の歴史」とも言えます。間違った使われ方によって、新たな可能性が切り開かれることが少なくありません。例えば、歌う時に音程が不安定な人の声を補正するためのソフトを極端な設定で使ったことで、歌声に独特のエフェクトをかけることができるようになり、魅力的な音楽表現が生まれた。ChatGPTのベースである学習モデル「Transformer」も、本来は機械翻訳の性能を向上させるためのものでした。それがここまで社会を変える技術として注目されるものになるなんて、開発者も発表時には思っていなかったのではないでしょうか。AIを使うことで、自分が考えもしていなかったものが生まれる。それを何より期待しています。

児玉:生成AIによる表現やクリエーティブに関しては、まだまだ大きな可能性がありますよね。私もとにかくいろんな分野から、どんどん新しい、楽しいものを生み出していきたいと思っています。

生成AIはデジタルマーケティングをより人間的なものにし、企業とユーザーのコミュニケーションを大きく変える可能性があります。電通グループはこれからも、目の前にあるさまざまな課題を解決しながら、AI活用の可能性を広げていきたいと考えています。

写真左から株式会社 電通 / zero、Dentsu Lab Tokyo クリエーティブ・テクノロジスト コミュニケーション・デザイナー 岸本 和也、株式会社電通デジタル / 執行役員 データ&AI部門 部門長 山本 覚、株式会社電通国際情報サービス  XI本部  オープンイノベーションラボ HCI(Human Computer Interaction/Human Centric Interface) グループ マネージャー 渋谷 謙吾、株式会社 電通グループ AI MIRAI統括 AIビジネスプランナー 児玉 拓也。

※本記事の記載内容は2023年7月取材当時のものになります。
※引用されたデータや状況、人物の所属・役職等は本記事執筆当時のものです。
※こちらの記事はビジネスを成長させる「変革のヒント」をお届けするマーケティング情報サイト「Transformation SHOWCASE」からの転載記事になります。

(C)Transformation Showcase. 

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