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重視しているのは先進性より体験、アップルと他のIT企業は何が違うのか?

2023.09.02

『Apple Watch』以来の新ジャンルとなる『Apple Vision Pro』など、久々の大型発表もあったWWDC。発表内容やここ最近の動きから、アップルが次に目指すのはどのような世界なのか、ITジャーナリストに持論を展開してもらった。

技術を見せずに「魔法」だと感じさせる演出がうまい

『Vision Pro』の発表で印象的だったのは、アップルがVRやARという言葉をあまり使わなかったこと。代わりに打ち出したのが、「空間コンピューティング」です。

 アップルは1970年代にテレビにつなげる、キーボード一体型のコンピューターを作りました。80年代にはマウスによる直感的な操作を普及させ、2000年代には『iPod』で音楽の楽しみ方を変えた。その後、『iPhone』『iPad』でタッチコンピューティングを広めました。どれもアップルが一番最初ではないですが、新しいコンピューティング、デジタルと人との関わり方を作ってきた会社だと言えます。そのアップルが次に打ち出してきたのが、空間コンピューティングです。

 最近のアップルは『Mac』『iPad』『iPhone』と、複数のディスプレイを行き来できる体験を提供してきました。空間コンピューティングでは、場所を問わず視界のどこにでも、ディスプレイが出せるし、視界全体をディスプレイにすることもできる。また最初に調整が必要ですが、視線とジェスチャーによる、正確で精度の高い直感的な操作ができます。WWDCで体験しましたが、この「直感的」のレベルが圧倒的で、破壊力がある。そのことはまた、『Vision Pro』が高価な理由にもなっています。

 アップルは本気で、空間コンピューティングに取り組もうとしています。いったいどこをゴールにしているのか、正直今の段階では読めないですが、そこはアップル自身も製品を出してから見極めていくのではないでしょうか。広く普及するものではないかもしれないですが、何年後かにはクリエイターが使うような、ハイエンドのコンピューターを代替するものになっている可能性はあると思います。

『2001年宇宙の旅』で知られる作家のアーサー・C・クラーク氏の言葉に、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」という有名なフレーズがあります。アップルが目指しているのはまさに、この「魔法」なのだと思います。魔法って種がわからないからそう思うわけで、技術が見えてしまったら魔法じゃない。こういう技術があるからこういうものが作れるという考え方だと、魔法にはならないわけです。

『Vision Pro』もそうですが、アップルはそういう演出がとても上手で、技術の先進性ではなく常に体験を重視している。そのことは、過去を振り返っても明らかです。例えばポータブル音楽プレーヤーは、『iPod』以前からありましたが、『iPod』が最初だと思っている人が多いですよね。アップルが体験を変えたからです。

 今注目されているAIについても、「Siri」のようなアシスタントは以前からありますが、アップルは今のところ、AIを機能として前面に押し出すことはしていません。一方で『iPhone』で花を撮ると、その写真のインフォメーションから、何の花か調べられるのをご存じでしょうか? 画像解析も、ごく自然な体験として盛り込まれているんです。テクノロジー企業って技術先行になりがちで、ChatGPTもまだ間違うことがあるのに、どんどん取り入れられています。先行者利益があるのかもしれないけど、アップルがこれまでに証明してきたように、人々の生活を大きく変えるレベルまで体験をデザインすれば、後出しでも総取りできる。そこがアップルがほかのテクノロジー企業と違うところだし、AIについても、そういうスタンスでいるのではないでしょうか。

iPod『iPod』では音楽体験を塗り替えたアップル。『Vision Pro』でも新たな〝体験〟を提供する。

空間コンピューティング視線とジェスチャーで操作する「空間コンピューティング」は、既存のPCに置き換わるか。

AIAI基調講演でAIという言葉を使わなかったアップル。「前面に押し出す他のテック企業とは異なり、体験として組み込んでいる」と林氏。

林 信行さんITジャーナリスト
林 信行さん
1990年から最先端のテクノロジーとデザイン、そこから派生するライフスタイルを取材。アップルやグーグルなどIT大手に関する著書多数。グッドデザイン賞審査員。金沢美術工芸大学名誉客員教授。

取材・文/太田百合子 写真/AP/アフロ

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「過去最高のWWDCになる」とティム・クックCEOが事前に予告しただけのことはあり、空間コンピューターとうたう『Apple Vision Pro』の発表が世界中で話題となった。が、アップルの目指すところは、こうしたデバイスの領域だけにとどまらない。気になるアップル発の生成AIの行方、米国で年利4.15%で開始した金融サービス「アップル銀行」の日本上陸、開発の噂だけが先行する『Apple car』……。今回、「WWDC2023」で発表された内容をあらためて、各界の識者が検証。アップルが見据える〝数年先の近未来〟を考察する。

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