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「iDeCo」って何の略?今さら聞けない制度の概要と活用メリット

2023.09.21

老後の備えに自ら投資先を選んで運用できるiDeCo(個人型確定拠出年金)が注目されており、2023年の時点で加入者数は約299万人となっています。将来の備えをしたい人は、加入を検討しませんか?iDeCoの正式名称やメリットを解説します。

iDeCo」は何を略した言葉?

iDeCo(イデコ)」は2001年の10月からスタートした私的年金制度で、国民年金や厚生年金などの公的年金とは違い、国民が自らの意思で加入するものです。2023年の時点で約299万人の加入者がおり、今後も老後の備えとして、多くの人が加入すると予想されます。

政府も利用を推進しているため、一度はiDeCoという言葉を聞いたことのある人が多いでしょう。しかし、そもそもiDeCoとは何を略した言葉なのでしょうか?

2つの意味が込められている

iDeCoは「個人型確定拠出年金」の愛称として、確定拠出年金普及・推進協議会が国民から名前を募集して選ばれました。個人型確定拠出年金を英語で表した 「individual-type Defined Contribution pension plan」の単語の一部で構成されています。

「確定拠出年金」は「DCDefined Contribution plan)」と略されており、そこに個人を意味する「individual」を加えて、私的年金である個人型確定拠出年金の略称とされたわけです。さらに、iDeCoの「i」には「私」という意味も込められています。

※参考:個人型確定拠出年金の愛称が「iDeCo(イデコ)」に決定しました|厚生労働省 報道発表資料

iDeCoは自分で運用先を選べる年金

iDeCoは、自分で設定した掛金額を拠出して積み立てていく個人型確定拠出年金です。長期的に資産を形成することで、老後の生活を支えることを目的としています。運用方法や掛金を自分で選択できるのが特徴で、国が認めた運用管理機関が提示する運用商品の中から、自由に商品を組み合わせることができます。

毎月の掛金は5,000円からスタートでき、1,000円単位で自由に変更できるほか、年単位で任意の月にまとめて拠出することも可能です。国民が自ら運用管理機関を選定し、加入から掛金の拠出・運用の全てを一貫して行い、老後に掛金と運用益との合計額を基準として、給付を受けられるようになります。

※参考:iDeCoの概要|厚生労働省

iDeCoを利用するメリット

積み立て資産運用のイメージ

(出典) pixta.jp

iDeCoに加入すると、公的年金に加えて、将来受け取れる給付を増やせるのはもちろん、以下のメリットもあります。老後に備えて資金を用意しておきたい人にとって、リスクもあるものの、多くの優遇措置を受けられる制度になっています。

掛金は全額所得控除できる

iDeCoで積み立てた掛金は全額所得控除が可能なので、所得税と住民税の節税になります。年間に拠出した総額を課税所得から差し引けるので、納める税金の額を抑えられます。

毎年、確定申告を通じて所得税の金額を確認する個人事業主にとっては、その恩恵が理解しやすいでしょう。積立期間中は常に控除を受けられるので、長期的に見ると大きな節税となります。

また、これまで会社員はiDeCoの加入対象者に含まれていませんでしたが、202210月の改正により、会社員の立場でもiDeCoに加入できるようになりました。厚生年金や退職金などに加えて、さらに将来受け取れる年金を確保できるため、多くの会社員が加入しはじめています。

運用益も非課税になる

一般的な投資では、運用益に源泉分離課税として約20%の税金がかかってしまいますが、iDeCoの場合は運用益も非課税となります。つまりiDeCoを通じて金融商品を運用し、得られた利益は全額自分の資産にすることが可能なのです。

当然、投資にはリスクがつきものであり、iDeCoで選択できるファンドは安定的に運用できる商品ではあるものの、損失が出るケースもゼロではありません。しかし、長い目で見れば利益を出せる可能性が高く、長期投資による複利が期待できます。

給付金受け取り時の税制優遇

iDeCoは給付金を受け取る段階でも、税制の優遇が受けられます。iDeCoでは、給付金を5年以上20年以下の期間で分割して受け取る方法(年金方式)と、一括で受け取る方法(一時金方式)の2通りから選択が可能で、次のように前者は公的年金等控除、後者は退職所得控除の対象です。

  • 公的年金等控除:公的年金による収入との合算額に応じて、税金の控除を受けられる。65歳未満の場合は60万円、65歳以上の場合は110万円まで課税対象とはならない。
  • 退職所得控除:一時金は退職金と同様に所得控除の対象となる。iDeCoの加入年数に従って控除額は増減するが、一時金が800万円以下の場合は課税対象とならない。

このように、どちらの方法で給付金を受け取るにせよ、一定額の税金控除が受けられます。

iDeCoを利用する上で知っておきたい注意点

電卓を眺める女性

(出典) pixta.jp

iDeCoは掛金の拠出から給付金の受け取りに至るまで、税制の優遇を受けられる制度ですが、以下の点には注意が必要です。一般的な投資とは異なり60歳になるまで引き出せない点や、掛金の上限などがある点などは、しっかり押さえておきましょう。

原則60歳になるまで引き出せない

iDeCoは一般的な投資や貯金とは異なり、原則として60歳になるまでお金を引き出せません。私的年金と位置づけられており、あくまでも老後の資金を用意するための投資であるため、貯金と同じようには扱えないので注意しましょう。現状は75歳までに受け取りの手続きをして、給付を受ける決まりになっています。

ただし、加入者が病気やけがによって障害を負ってしまった場合や、死亡してしまった場合、あるいは脱退一時金の受け取り要件を全て満たした場合においては、60歳未満でも給付を受けられるケースはあります。脱退要件を満たしているか否かは、iDeCoのポータルサイトから確認が可能です。

参考:脱退一時金の請求(自営業・主婦・60歳以上)|確定拠出年金のJIST

価格変動・元本割れのリスクがある

年金と銘打ってはいるものの、iDeCoは本質的に金融商品への投資なので、当然ながら元本割れのリスクがあります。加入して掛金を出し続けているからといって、利益が保証されるわけではありません。自ら運用先を慎重に選択し、長期的に利益を出せると考えられるファンドに、投資する必要があります。

ただし上記のように、iDeCoを通じて運用先として選択できるファンドは、いずれも安定した運用益を出せている銘柄が多いのが特徴です。また、長期運用が前提となるので、実際に受け取る際には十分な額になっている可能性が高いでしょう。

元本割れのリスクが許容できないならば、定期預金や貯蓄型保険などの元本確保型商品を選択する道もあります。

職業ごとに掛金に上限がある

iDeCoはさまざまな点で税制の優遇を受けられるので、できるだけ多くの掛金を拠出した方がよいと考える人もいるでしょう。しかし、加入者の種別・職業などの条件によって、掛金の上限が決まっており、好きなだけ投資できるわけではありません。

例えば、会社員に比べて公的年金の支給額が少ない自営業者の場合は、月額68,000円まで掛金を拠出できます。しかし、会社員の場合は多くても月額23,000円までで、企業型の確定拠出年金(DC)に加入している場合は、月額2万円までの拠出しかできません。

また、専業主婦・主夫などの第3号被保険者の場合も、月額23,000円までと決められています。なお、いずれの立場であっても、最低拠出額は月額5,000円です。

※参考:iDeCoの加入資格と掛金について|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】

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