ウェザーニュースの人気キャスター・檜山沙耶さんが、自身のX(ツイッター)でテニスプレーヤーの西岡良仁さんと交際していることを認めました。
「引き続き温かく見守っていただけますとうれしいです」と締めくくったものの、熱狂的なファンから絶望の声が相次いで大炎上。この発言があった7月6日の翌日、運営会社ウェザーニューズの株価は、前日の終値と比べて10%近く安い6,270円をつけました。
檜山さんは地上波テレビの出演がないにも関わらず、お天気キャスターランキング上位の常連。ファン離れが業績に影響するとの見方があったのかもしれません。
気象情報を提供するウェザーニューズは、どのような収益構造をしているのでしょうか?
なお、ウェザーニュースはサービス名で、会社の名前はウェザーニューズです。
気象情報の民間会社で世界最大手
ウェザーニューズの設立は1986年6月。この会社はもともとアメリカに本社を持つ海洋気象情報会社オーシャンルーツの日本法人でした。29歳で日本法人の社長に就任したのが、石橋博良氏です。
石橋氏はアメリカ本社の商品開発担当副社長などを務めた後、1986年に日本法人の陸上、航空部門をオーシャンルーツから買収しました。経営陣による買収(MBO:マネジメントバイアウト)です。日本でMBOという手法が知られるようになったのは、1990年代に入ってからで、極めて珍しい事例でした。
ウェザーニューズは、1993年にかつての親会社だったオーシャンルーツを買収しています。このM&Aによって世界最大の民間気象情報会社となりました。
この会社の面白さは、単純に気象情報を提供するのに留まらないところ。創業間もない段階で、弁当の廃棄ロスをなくすために仕出し弁当店にもサービスを提供するなど、気象情報をマーケティングに活かす取り組みを行っていました。このアイデアは、後にセブンイレブンのウェザーマーケティング(気象予報を仕入れやマーケティングに活用する技術)として活きることになります。
1999年2月にNTTドコモiモード向け「WNI気象情報」の提供を開始。ドコモは現在も主要な取引先の一つで、2022年5月期の取引実績は23億6,300万円。売上高全体の12.0%を占める大口顧客です。
2000年12月に気象会社として初めて株式を上場。BSデジタル・データ放送の専門チャンネル「ウェザーニュース」が始まりました。
気象予報のウェザーニュースをよく知る人は、視聴者向けの情報プラットフォームを提供する会社というイメージがありますが、実際は船舶や航空機、鉄道の運航会社、風力発電や太陽光発電などの電力会社、スポーツ競技大会の運営会社などに情報を提供する、BtoBビジネスが収益を支えています。
2020年からインターネット事業の強化を開始
事業別の売上構成比率を見ると、BtoBビジネスが半分以上を占めています。檜山さんと直接関係があるモバイル・インターネット気象は、37%ほどしかありません。
※決算説明資料より
ただし、モバイル・インターネット気象は2018年5月期の売上構成比率が21%でした。今よりももっと少なかったのです。
実はこの事業、2019年5月期から成長を始めるのですが、それまでは売上高は30億円台で停滞を続けていました。
※決算短信より
このころ、ウェザーニューズは経営戦略の中心にグローバル展開を置いており、アジア圏の設備投資、人材確保や育成に注力していました。アジア圏は気象情報の設備が弱い国が多く、開拓を行う価値の高いマーケットでした。しかも、東南アジアは雨による渋滞が多発します。精度の高い気象予報の需要もありました。
ウェザーニューズのグローバル戦略は奏功し、アジア圏でのシェア拡大を果たします。
アジア展開に一区切りがついて、2019年6月28日に新たな経営計画を発表しました。そこで重点施策の一つに掲げたのが、ITサービス基盤の整備でした。全世界、76億人に気象情報を届けるサービスの構築です。
ウェザーニューズは2020年ごろから、一般視聴者向けにテレビCMやインターネット広告に積極的な投資を行うようになりました。