今、話題騒然の新型トヨタ・アルファードとヴェルファイア。ここでは、新型アルファードの試乗記に続き、ある意味、”復活”を遂げたと言っていい新型ヴェルファイアの試乗記をお届けしたい。
アルファードと差別化した走り重視のドライバーズプレミアムミニバン
まず、重要なことは、新型となる4代目アルファードと3代目ヴェルファイアの関係は、これまでとは異なることだ。従来のアルファードとヴェルファイアは、販売チャンネルの違い(販売店の統合前)、および主にエクステリアデザインの違いであって、パワーユニットを始めとする走行にかかわるアイテムはほぼ同一だった。つまり、走行面での走りのキャラクターに大きな差はなかったということだ。
が、新型はそうではない。アルファードはショーファカー、ハイエンドミニバンを望む一般ユーザーに向けた乗り心地重視の、これまでの大空間サルーンと呼べるアルヴェルを踏襲したキャラクターであるのに対して、ヴェルファイアはアルファードに施した、先代比でボディ剛性50%増しのボディ&フロアの補強などに加え、ヴェルファイア専用のフロントパフォーマンスブレース、チューニングサスペンションを採用。専用開発されたタイヤにしても、アルファードの乗り心地を重視した17/18インチとは別の、全車19インチのスポーツタイヤをヴェルファイア全グレードに標準装着しているのだ。
それだけではない。アルファードが2.5Lガソリンエンジン、2.5Lエンジン+2モーターのハイブリッドというパワーユニットの展開に対して、ヴェルファイアは2.5Lエンジン+2モーターのハイブリッド(エグゼクティブラウンジ)と、279ps、43.8kg-mを発揮する新型レクサスNX350譲りの2.4Lガソリンターボエンジン+ダイレクトシフト8ATのパワーユニットの構成になる。後者はもちろん、先代後期にあった301ps、36.8kg-mを発揮する3.5L V6エンジンに代わる位置づけだが、スペック上のトルクはより太い。Zプレミアに用意されるターボガソリン車は、言ってみれば、新型ヴェルファイアのキャラクター、アルファードとの差別化をもっとも強く表した、走り重視のドライバーズプレミアムミニバンと呼べる存在なのである。
アルファードとは別物の大迫力のフロントグリルにしても、エグゼクティブラウンジがダークメッキなのに対して、ハイブリッドとターボガソリン車が揃うZプレミアは漆黒メッキ。ブラックボディとの組み合わせでの黒づくめの押し出し感、ワルっぽさは半端ではない。
ちなみに特等席の2列目席は、エグゼクティブラウンジがアルファードにも備わる超豪華なエグゼクティブラウンジシート、ZプレミアはアルファードのZグレード同様の2-3列目席スルーが可能なエグゼクティブパワーシートとなる。