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これまでにないドライバーズカーとして生まれ変わったトヨタの新型「ヴェルファイア」

2023.08.09

各所に感じられる走りに特化したキャラクター

さて、まず試乗したヴェルファイアは、Zプレミアのターボエンジンモデル、駆動方式は2WDである。279ps、43.8kg-mを発揮するターボエンジンは、車体側の防音、遮音が功を奏し、走り出しから想定外に静かに回る。そしてエンジンフィールのスムーズさも際立っていた。ただし、低回転域のトルクはスペックのトルク値から想像するほど図太くは感じられない。この点に於いては、さすがに大排気量の先代3.5L V6に優位性があるように感じられる。

とはいえ、アクセルを深々と踏み込めば、相当速い。2WDで2180kgもある車体の重さを感じさせずに、グイグイと加速する。そしてその速さ以上に感心させられるのが、キャビンに侵入するエンジンノイズ。ハイブリッドモデルを例に挙げると、EV走行時の静かさは当然としても、エンジンが始動すると速度にかかわらず低周波のノイズが車内に侵入。EV走行時の静かさとの落差もあり、全体的な高級車としての質感からすれば、そこだけはちょっと惜しい・・・と感じさせるのだ。が、このターボエンジンは、当然、エンジンは常に回っているのだが、そのエンジン音の耳につく低周波域を、スピーカーから逆位相の音を出してノイズを殺すアクティブノイズコントロールでマスキング。キャビンに届くノイズの主体となる抜けのいい高域のエンジン音が、むしろこの新ヴェルファイアのキャラクターとしては気持ち良く、すっきりと感じさせるほど。ハイブリッドモデルと違い、EV走行とエンジン始動時の静かさの落差がないのもそう感じさせるポイントだろう。しかも、トヨタと共同開発されたダンロップSP SPORT MAXXの19インチタイヤは、開発陣の言葉を借りれば「想定外にロードノイズが小さく仕上がった」、というだけに、ロードノイズを起因とする静粛性の高さにも一役買っていることになる。

3代目ヴェルファイアは走りに特化したキャラクターが与えられ、パワーステアリングのセッティングもまた独自のもの。アルファードに比べ、応答性を高めていると説明される。が、ステアリングを切ってスパッと曲がるようなスポーツ度の高い操縦性を期待してはいけない。穏やかなアルファードの操縦性に対して、応答性をちょっと高めた・・・というジェントルな設定なのである。仮に、ステアリングを切ってスパッと曲がるような操縦性をこの全高、重心の高いクルマに与えたとしたら、それはア・ブ・ナ・イ。安全・安心を担保しつつ、ハイエンドボックス型ミニバンのスポーティモデルに相応しいさじ加減の操縦性が与えられている、と解釈すべきだろうか。

とはいえ、アルファードのエグゼクティブラウンジに比べ、走りの軽快感(2WDはとくに)、ステアリングの応答性が高まるだけでなく、19インチのスポーツタイヤの採用もあり、より手ごたえある、クルマとドライバーの一体感をもたらしてくれる操縦感覚の持ち主であることは間違いない。つまり、ドライバーズカーとしての資質を歴代アルヴェルの中でもっとも強めているのが新型ヴェルファイアということになる。

乗り心地はさすがに締め上げられた専用チューニングサスペンションと19インチタイヤだけに、ミニバンとしてはタイト。荒れた路面ではゴツゴツするし、段差の乗り越えではそれなりの突き上げはある。が、そうした車体に伝わるショックが上級ドイツ車のように1発で収まり、フラットな姿勢を保つため、硬めの乗り心地=不快・・・とはならない。いや、アルファードではなくあえて硬派なヴェルファイアを選ぶユーザーにしてみれば、むしろこうした乗り味は大歓迎なのではないか。ちなみにターボガソリン車2WDのWLTCモード燃費は10.3km/L(4WDは10.2km/Lと差は微小)、価格は655万円である。

現時点でもっとも高価なエグゼクティブラウンジのハイブリッド、E-Fourモデルは?

もう1台のヴェルファイアは、エグゼクティブラウンジのハイブリッド、E-Fourモデルだ。価格は892万円と、新型アルファード&ヴェルファイアの中で、現時点でもっとも高価なモデルとなる。ハイブリッドシステムのスペックは2.5Lエンジン190ps、24.1kg-m、フロントモーター182ps、27.5kg-m、リヤモーター54ps、12.3kg-m。システム出力は先代の197psから一気に250psまで高められ、WLTCモード燃費は16.5km/L(2WDは17.5km/Lとこれまた微小差)となる。

動力性能的には、アルファードのエグゼクティブラウンジ同様に、出足は文句なく静かでウルトラスムーズである一方、加速力はジェントルに穏やか。そこから伸びやかな加速を開始し、エンジンが始動すると低周波ノイズがけっこう目立つのもアルファードのエグゼクティブラウンジ、ハイブリッドモデル同様だ。

乗り心地はアルファードに比べ、明らかに硬い、というか、ドシリとした重厚感が身の上だ。エグゼクティブラウンジとはいえ、フロントパフォーマンスブレース、専用チューニングサスペンション、19インチタイヤが与えられているのだからドライバーズカーとしての操縦感覚が強まるのは当然だ。が、特定の段差では、むしろ直前に乗ったヴェルファイアのZプレミア、ターボガソリン車の2WDより突き上げが強い印象だった。一般的には、最新のクルマの場合、2WDに対して車重増の4WD(E-Four)モデルのほうが、乗り心地面で抑えが効き、有利に働くはずなのに、どうしてか。その理由は、2WDモデルより重量がかさむE-Fourモデルは、重量増(60kg増し)に対応するため足回りを固めているからだ。良路ではその硬さはまず気にならず、スポーティとも言えるタイトな乗り味に満足できるものの、特定のキツい段差に限っては、そう感じさせる場面もあるということだ。

とはいえ、ヴェルファイアE-Fourモデルの交差点、カーブ、高速レーンチェンジでのマナーは感動に値するほどだった。例えば高速レーンチェンジでは、ドライバーからすれば、まるで水すましのようにスッと、ほぼ水平感覚でレーンチェンジをウルトラスムーズにこなしてくれるのだから気持ちよく、前後左右の姿勢変化も最小限だから、安心だ。一方、後席に乗車し、レーンチェンジを試してもらうと、その安定しきった挙動から、気づかないうちにレーンチェンジが完了している・・・という感覚なのである。そうした全高、重心の高いボックス型ミニバンらしからぬ走りのマナーの良さは、ブレーキングの場面でも変わらない。姿勢が乱れにくく、ブレーキングを予想できない後席の乗員も、終始快適に乗っていられるのだから素晴らしい。ドライバーズカーとしてのキャラクターを大きく高めた新型ヴェルファイアはしかし、ショーファカーとしての実力も極めて高い・・・と感じさせてくれたのだ。

筆者が個人的にヴェルファイアを選ぶとすれば、Zプレミアのターボガソリン車の4WD、674.8万円だ。アルファードならハイブリッドZになるのだが、新型ヴェルファイアのこれまでにないドライバーズカーとしてのキャラクターをより強く体現しているのがターボガソリン車であり、速さ+安定感という面で、ダイナミックトルクコントロール4WDを選択したいからである。

(画像一覧)新型トヨタ・ヴェルファイア試乗記

今、話題騒然の新型トヨタ・アルファードとヴェルファイア。ここでは、新型アルファードの試乗記に続き、ある意味、”復活”を遂げたと言っていい新型ヴェルファイアの試乗...

文/青山尚暉
写真/青山尚暉 トヨタ

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