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東映が挑むグローバルを見据えたシン・キャラクター戦略

2023.08.09

作品を中核に据えた「点」ではなくキャラクターをターゲットにした「線」に

「IPライフサイクルの長期化」という推進目標も掲げる「キャラクター戦略部」だが、東映キャラクターの二枚看板である『仮面ライダー』シリーズと『スーパー戦隊』シリーズの視聴者層のメインは基本的には子どもであり、少子化の波が止まらない現在の日本において、大きな課題を抱えていることは事実だ。これをさらに恒常的なものに、より広い層に向けたものにしていくためには、昔の作品のリブートやリメイクを積極的に行うという可能性もあるのだろうか。

白倉:昔『がんばれ!!ロボコン』(1974~77年)があって、年を経て『燃えろ!!ロボコン』(1999~2000年)があって、でもそこで終わっちゃうじゃないですか。番組発にしろ、映画発にしろ、この作品っていう「点」を中核にしてしまうと、その点で終わるんですよね。もちろんある程度ビジネスには広がりがあるけれど、世代論みたいなことにはつながっていかない。

特に東映のビジネス、作品の作り方って良くも悪くも仮面ライダーがその先鞭を付けちゃったんでしょうけど、1年ごとにリセットされて番組が切り替わっていく。これはたとえばグループの東映アニメーションの『プリキュア』シリーズも同様ですね。一方、同じアニメでも『DRAGON BALL』や『ONE PIECE』のように、長い間大切に続けて大きな成功をしている作品もある。ただ東映のキャラクター実写ものに関してはこれまではその手法を取ってこなかった。それを、このままでいいのかどうかということも含めて、もう1回ゼロから考え直すという作業も併せてやっていかなくてはいけないんだろうなとは思っています。それは我々だけで決められることではなくて、パートナー企業であるバンダイさんであったりテレビ朝日さんであったりというような仲間たちと一緒に、長期的に検討していくべきことです。

出典:「TOEI NEW WAVE 2033」

そこは従来と違うところですね。どうしてもテレビの企画、映画の企画を前提にしてやっていくと、テレビ番組を作って終わり、映画を作って終わりになっちゃうんですよ。ターゲットは映画やテレビ番組といった作品ではなくて、あくまでそのキャラクターですよね。キャラクターを生み出すことがターゲットでありゴールなんだっていうことで言えば、もうちょっと違う考え方があろうかと思います。

キャラクタービジネスを大きなコアとしてやっていくというメッセージ

最後に、「キャラクター戦略部」の設立によって今後の東映について注目してほしいポイントを語ってもらった。

白倉:キャラクター戦略部という新しい部署が設立されたのは、表面的には中長期ビジョンで謳われているグローバル展開をこれからの成長戦略にしていくんだ、っていうことの一環なんですけど、でもそのビジョンそのものが、「ものがたり」という言葉を前面に押し出して、これからも映像を中心としたストーリー作品を作っていくことを東映の一番大きい柱にするんだという決意を示すことだったと思います。

そこに具体的に描かれた目標値として10年後に海外からの収益を50%増やすとも言っているんですけど、それを具現化できるかどうかっていうのは二の次で、東映が作品づくりというものを軸にやっていくという柱が守られる限り、その中長期ビジョンの意味があると思うんですよ。

同じように、この部の設立は、東映はキャラクタービジネスを非常に大きなコアとしてやっていくぞという社内外に対するメッセージだと思っているんです。だからこそ「目立ちたい」ということを言うわけですけど、それは細かいことであれ大きいことであれ、とにかく東映にとってキャラクターが大事だということ。これまで別に邪険にしてきたわけではないんですけれど、やっぱり映画発ではない仮面ライダーやスーパー戦隊のウェイトがどれだけ大きかったとしても、東映は映画会社であって仮面ライダー株式会社にはなかなかなれないんですよ。なので、逆説的にはなりますが、映画やテレビといったメディア論とは別の次元にキャラクターというものがあるっていうことを、もう1回自分たち自身も認識していきたいと思っています。これからも東映発のキャラクターにご期待ください。

☆ ☆ ☆

約1時間にもわたって「キャラクター戦略部」、そして東映という会社が10年後、さらにその先を見据えて目指すべき方向についてざっくばらんに語ってくれた白倉氏。子どもたちから大人まで、幅広いファンがいる、東映が誇る数々のキャラクターたちが今後どのような展開を見せるのか、あるいは新たに立ち上げられる作品発のキャラクターが出てくるのか、期待は尽きないし、続報を心待ちにするばかりだ。

取材・文/小田サトシ

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