「漬物」から「生姜」へ。岩下の新生姜が輝き始める
「漬物」という呪縛を解き、エンドユーザーこそがお客様であると改めて肝に銘じた意識改革。そこから「岩下の新生姜」は、岩下食品をさらに輝かせるブランドに変わっていく。
「認知度を上げるために行った戦略というものは正直ありません。狙ってうまくいくというものでもないし、狙えば狙うだけ嫌らしさが透けて見えて不快に感じられるものではないでしょうか」
「ただ、約10年前からツイッターを始めたんですが、SNSを駆使できる世代のお客様に「漬物」ではなく「岩下の新生姜」という唯一無二の独特な食品の認知を広げられたのは、圧倒的にエゴサーチの影響が大きいかと思います」
「また近年は、様々なファンづくりやビジネスチャンスを頂きましたが、岩下の新生姜ミュージアムを含め、すべての新しい出来事はツイッターで耕された土壌の上に建っています」
ちなみに「岩下の新生姜」の売り上げは10年前と比べると今や約2倍。これまで見えなかった新たなファン層が社長のツイッター、社員一丸の努力で掘り起こされた。
「ツイッターなどで岩下の新生姜を全世界に向けて応援してくださるファンの皆様に恩返ししたいと常々思っています。お客様が楽しいと感じて頂ければそれは喜びですし、その楽しいという思いは、更に共有したい気持ちになって広がっていくのではないでしょうか」
「典型は各種コラボですね。岩下の新生姜は既に数百に及ぶコラボを実現しています。コラボの利益はほんのわずかなことが多いですが、双方のファンが大いに喜んで下さるので意義のあることだと思っています」
岩下社長を支えているのは脚本家・山田太一の言葉
『岩下の新生姜』がここまで認知され、その名が広く知れ渡ったことに岩下社長は「今の時代は巨大資本でなくても商品名を認知して頂くチャンスは多岐に存在している」と語る。
そんな社長の経営、人生を支えているのは脚本家・山田太一さんの言葉だという。
―なにか好きなものがあるということは素晴らしいことなんだ。肝心なのは、夢中になっているということなんだ。それが心を育てるんだ。それに比べれば勉強が出来るなんてことはつまらないことだ。なにかを好きになり、夢中になるところまで行けるのは、素晴らしい能力なんだ。物や人を深く愛せるというのは誰もが持てるというものじゃない、大切な能力なんだ。努力しなければ持つことが出来ない能力なんだー
引用/山田太一「早春スケッチブック」
「この山田太一さんの言葉には今も支えられて生きているような気がします。「好き」が人生を動かしているし、私の大好きな人達、モノ達に救われてきました。岩下の新生姜ファンのSNSでの言葉には力があります。それをありがたく思っていますし、なにかを本当に好きと語ってらっしゃる方々はやっぱり輝いていて魅力的です。だからこそ私は、「岩下の新生姜のファンのファン」を自認しているのです」
取材協力
岩下食品株式会社
https://iwashita.co.jp
岩下和了社長ツイッター
@shinshoga
文/太田ポーシャ