近年、飲食店では人手不足が高じており、一つのニーズとして「お客様をできるだけ待たせず、注文数を上げたい」という思いがあると聞く。そうした課題を解決すべく、活用されているのが「モバイルPOSレジ」というレジシステムだ。
会計時間の短縮化によってお客を待たせず、スタッフ不足もカバーしてくれるという。しかしまだ進化の段階であるため課題もある。
今回は、モバイルPOSレジの一つである「POS+(ポスタス)」を手がけるポスタス株式会社の代表者に、モバイルPOSレジの活用用途や、飲食店の多くが今抱える課題を聞いた。
飲食店を救う「モバイルPOSレジ」とは?
モバイルPOSレジとは、スマートフォンやタブレット端末をPOSレジとして用いるシステムだ。
POSは「Point Of Sale」の略で、直訳すると「販売時点情報管理」となる。よってPOSレジは、バーコードをスキャンすることにより商品の決済が完了した時点で商品情報や顧客情報が自動的にデータベースに記録され、集計される仕組みを持つ。
モバイルPOSレジは従来のキャッシュレジスターによるPOSレジと比べ、持ち運びができる点や導入が手軽な点、お客が直接自身で操作して決済を完了させることができる点などのメリットがある。
「モバイルPOSレジ」のメリットと活用用途
モバイルPOSレジを導入すると、飲食店や飲食店の利用客はどんなメリットが生まれるのか。ポスタス代表取締役社長の本田興一氏は次のように話す。
「お客様は好きなものを、ゆっくりと選び、好きなタイミングで注文できるようになります。お店にとっては、サービスレベルの維持や向上、省人化、利益率の向上が期待できます。モバイルPOSレジは、モバイルオーダーやテーブルトップオーダー(卓上注文)、オーダー&ペイ(テイクアウト)、セルフレジなどに活用されています。これらの活用法なら、メリットがイメージしやすいでしょう」
●モバイルオーダー
「お客様のスマートフォンでQRコードを読んでから直接注文をする形式で、ここ2年ほどで急速に利用されるお店が増えてきています。POS+導入店では、スタッフがハンディー上でオーダーを取るよりも、注文点数が1.3倍になったケースもあります。これは客単価と売上が1.3倍になることと同じことです。
お客様にとっては好きなタイミングで注文できる上に、『すいません』とスタッフを呼び出さなくても良いという精神的ゆとりが生まれます。
お店側からすると注文を取るという行為が必要ないので、より接客に集中でき、ホールスタッフの人数も減らすことが可能です。売上が上がり、人件費が下がるので、利益が増えるというお店にとっては嬉しい形となるため、急速に広がっています」
●テーブルトップオーダー
「テーブルトップオーダーも、モバイルオーダーと同じ効果が期待できます。こちらは画面が大きいので、ファミリーの客層が多いお店に適しているようです」
●オーダー&ペイ
「オーダー&ペイは店外から注文できる仕組みで、お客様は受け取り時間を指定して、待たずにピックアップできます。お店も店外売上をアップできる、24時間受け付けられるなどのメリットがあります」
●セルフレジ
「セルフレジは注文と会計を同時にこなすことができるので、さらに省人化が期待できます。呼び出しモニターを加えれば配膳の効率化も見込めるので、人件費抑制が可能となります」
ちなみにPOS+は、iPadを使ったモバイルPOSレジのほか、オールインワンのキャッシュレス端末やセルフレジ、セルフオーダー、テイクアウト、在庫管理、予約管理、DM配信など、導入先の店舗に必要な最新の機能・サービスを提供するものとなっている。
モバイルPOSレジ導入は、それ単体が注目されるというよりも、店舗DXにつながるきっかけを生みそうだ。