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ビジネスシーンでよく使う言葉「あしからず」の意味と正しい使い方

2023.09.20

「あしからず」は、ビジネス文書やメール、手紙などでよく使われる言葉の1つ。使い方や使う相手を間違えると、失礼な印象を与える言葉でもある。相手と良好な関係を保つためには、「あしからず」の意味や使い方を知り正しく使うことが大切だ。

本記事では「あしからず」の意味と正しい使い方、語源や気をつけるポイントなどを解説する。

「あしからず」とは?

ひらがなで使うことが多い「あしからず」だが、漢字だと「悪しからず」と書く。「あしからず」の意味と語源を知っていれば、より正しい使い方が頭に入りやすく身に付きやすいだろう。

「あしからず」の意味と語源

「あしからず」には「気をわるくしないでください」「わるく思わないでください」という意味がある。相手の意思や意向通りにできず、申し訳ない気持ちを表すときに使う言葉だ。

古語におけるシク活用の形容詞「悪し」がもととなっており、未然形である「悪しから」に助動詞の「ず」がついて「悪しからず」となった。

わるい・不適当。具合がわるいなどの意味を持つ「悪し」を含む「悪しからず」は、直訳すると「悪くない」という意味になる。

「あしからず」を使うときに気をつけること

相手にいやな思いをさせずに「あしからず」を使うには、ルールを守ることが大切だ。「あしからず」の正しい使い方については、後ほど説明する。

自分側に非があるときには使わない

「あしからず」には「やむを得ない事情なので気をわるくしないでほしい」というニュアンスが含まれているので、自分側のミスを伝える際には使わないのがルールだ。

自分側のミスが理由なのに「あしからず」を使えば、「自分のミスなのに何を言っているんだ」と相手に不快に思われるだろう。

やむを得ない事情とは、体調不良・ケガ・災害・身内や自身の病気など。忙しい・忘れていた・間違えたなどの都合は、やむを得ない事情ではなく自分側のミスと捉えた方がいいだろう。

上司や目上の人には使わない

「あしからず」は、上司や目上の人へのメールや手紙には使うのを避けた方が無難だろう。「気を悪くしないでほしい」という相手の気持ちをなだめるニュアンスが含まれており、目上の人に不快な思いをさせる可能性があるからだ。

不特定多数の人や複数人に「あしからず」を使いたい場合は、相手側に上司や目上の人がいても問題ないとされている。

連発しない

「あしからず」は、やむを得ない事情やどうしようもない事情がある場合に使う言葉なので、連続して使うべきではない。取引先や同僚相手に多用すると、いつも不測の事態に予防線を張っているようで悪い印象を与える場合もある。

「あしからず」で終わらない

文末に「あしからず」を持ってくるのは、適切な言い方ではない。敬語表現ではないため「ご了承ください」「ご承知おきください」などの言葉と組み合わせて使う必要がある。

文章を「あしからず」で終わらせると、相手に不快な思いをさせたり冷たい印象を与えたりする可能性もあるだろう。

「あしからず」の正しい使い方

メールや手紙などでよく使われる言葉だが、正しく使えているのかわからずに何となく使っている人もいるだろう。「あしからず」を使いこなしたいなら、使い方にも気をつけるのがベターだ。大前提として、単体で使うことはなく「ご承知おきください」「ご了承ください」「ご容赦ください」などの言葉の前に前置きとして使う。

「ご了承ください」と「ご承知おきください」は同じ意味の言葉だと思われがちだが、微妙に異なるので区別して使うのがスマートだ。

「ご了承ください」は「知っておいてください」という意味を、「ご了承ください」は「理解した上で了承してください」という意味を持っている。

ただ、事情や情報を知ってもらえれば十分な「ご承知」に対し、「ご了承」は相手側に理解してもらえることを重視している。「ご容赦ください」は「許してほしいです」「どうか大目に見てほしいです」という意味の言葉だ。

<あしからずの正しい例文>

・「給水設備の点検・整備を行うため、〇月〇日の〇時~〇時までの間断水となります。あしからずご承知おきください」

・「整理券は限定100枚です。配り終えた場合はあしからずご了承ください」

・「抽選にはずれた方へのご連絡はしておりませんので、あしからずご了承願います」

・「休暇中は同部署の佐藤が対応しますので、あしからずご了承ください」

・「在庫の関係で早めに売り切れてしまうかもしれませんが、あしからずご容赦ください」

「あしからず」の間違った使い方

自分側に非があるときに使う言葉ではないため、謝罪する際に使うのはNGだ。円滑にコミュニケーションをとるためには、目上の人への使用や文末での使用も避けた方がいいだろう。

「あしからず」で文を締めるのも間違った使い方なので、必ず他の言葉の前置きとして使ってほしい。

<あしからずの間違った例文>

・「(自分より立場が上の人に対して)あしからずご了承願います」

・「私の不注意で壊してしまいましたが、あしからずご了承ください」

・「提出書類を紛失しましたので期日までに提出できません。あしからずご了承ください」

・「今は対応できませんので、あしからず」

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