泊まったのは、ヴィラタイプの「EL DORADO」
「EL DORADO」(「客室内タップ飲み放題WCB満喫プラン」が28,600円、「WCB満喫プラン※客室内タップ飲み放題なし」が24,200円※税込み、以下同 ※価格は宿泊当日の金額、シーズンや人数によって変動あり)。全客室の中で、唯一独立したエントランスがあり、コンパクトなテラスも併設している。
広々としてゆとりを感じる空間。イエローとダークブラウンを基調とした落ち着けるインテリアだ。ベッドサイズは幅170cmのクイーンサイズ。
バーコーナーのしつらえにもオーナーのこだわりが感じられる。
コーヒー豆は、世田谷区の経堂駅前にある「Raw Sugar Roast」のものを使用。チョコレートはWCBがビール醸造の際に副原料として使ったカカオニブを、静岡市内のクラフトチョコレート専門店「Conche」がチョコレートに再加工したもの。ほのかにホップの香りがする。
スピーカーはデザイン性の高さと音質の良さで定評のあるBANG & OLUFSENのBluetooth スピーカー。広がりのある音質でBGMを楽しむことができた。
1部屋につき10リットルまで飲み放題、ラッキーならさらに“ボーナス”も!
宿泊プランには「ビール飲み放題あり」と「飲み放題なし」があるが当然ながら、「9割以上のお客様が、客室ビアタップでの飲み放題付きプランを選択されます」(望月氏)。しかも単なる飲み放題ではない。ホテルに宿泊した人にしか味わえない特別醸造の限定クラフトビールが、1部屋につき、最大10リットルまで客室のビアタップを使って飲み放題となる。しかも約1~2か月ほどで液種は変わるため、まさに一期一会のビールとなる
10リットルといえば、500mLのロング缶が20本分。一人泊まりで飲み切ることは不可能だが、飲み切れなかった場合はグラウラー(ビール等、炭酸専用マイボトル)を持参すれば、汲んで持ち帰ることも可能だ。とはいえかなりの重さなので、クルマで来ないと無理だろう…。できるところまで頑張るしかない。
さらにフードロスを防ぐため、前に宿泊した人が飲み切れなかった分は10リットルにプラスされる。仮に前の宿泊者が4リットル飲み残した場合、14リットルが飲み放題となるわけだ(入室の段階でだいたいどれだけ残っているかを教えてもらえる)。また滞在中にすべて飲み切って追加したい場合は、4400円の追加料金で樽を交換してもらえる。
注意したいのは、タップにつながっている部屋の冷蔵庫内の樽が5リットルなので、それを飲み切った時点でスタッフを呼び樽交換をしてもらうシステムになっていること。ただし22時から朝7時まではスタッフが不在で樽の交換ができない。22時以降も飲み続けたい場合、早めに交換してもらったほうがいいかもしれない。
いよいよ、室内タップを実体験!
チェックイン時にスタッフが客室案内を行い、注ぎ方を教えてくれるので安心して注ぐことができる。
注ぎ方の見本を丁寧に教えてくれたスタッフの黒木龍太氏。
今回は、前の宿泊者が1リットルほどビールを残していたので、それがキャリーオーバー分に。部屋のグラスが300mLということなので3杯分飲んだところでなくなった。
さっそく冷蔵庫の中の樽を交換してもらった。これでひと安心。
まるで「息をするように」、飲んで飲んで飲みまくった!
この部屋にはシャワーのみでバスタブが無いが、チェックイン時に向かいにある「用宗みなと温泉」のチケットをもらえるので、さっそくそれを使って、旅の汗を流す。
「用宗みなと温泉」の内装もWCB代表デレック氏が担当。広い露天風呂とサウナ付きで、女性用の露天風呂には、富士山を眺められる窓付きの「富士見小屋」もあり、快適だった。
港に面した快適なテラス席があり、ここでビールを飲みたい!と思ったが、ぐっとこらえて部屋に戻る。
港が近いせいか、テラス席に吹く風は涼しい。テラス席で夕焼けを眺めながら飲んだ至福の一杯。ビアタップから注ぐコツを取得して、なんだかだんだんビールが美味しくなっているような。
おつまみは、バーコーナーにあったラスク。朝食で提供しているワッフルを揚げて味付けされているのだが、これが絶妙な甘じょっぱさで、ビールにとてもよく合う。
バレルラウンジでバレルエイジドビールを堪能
ずっと部屋にこもってビールを飲み続けたい気分だったが、館内のバレルラウンジも気になり、夕食前に訪れてみた。
WCBでは毎週リリースしているビールと並行して、醸造したビールを木樽で長期熟成する“バレルエイジドビール(以下、BA)”の醸造にも力を入れていて、10種類ほどのBAを楽しむことができる。ベースとなるWCBのビールにバーボンやウイスキー樽、ワイン樽など、別のお酒を熟成させていた木樽の香りが移り、全く新しい味わいになるのだという。「『そろそろあのビールがBAになっているのでは…?』と、心待ちにしているファンの方もいます」(望月氏)
筆者が頼んだのは、特に人気が高いという「シーズンズ・オブ・ダークネス」。バーボンの樽で24カ月熟成させたBAで、木樽由来の影響で泡はほとんど無く、まるでデザートワインのよう。副原料として使われているピスタチオやココナッツの甘みもあるが、余韻にビールのほろ苦さもある。時間をかけて、なめるように味わった。
その後、タップルームで夕食をとった。
ディナータイムが始まったばかりなので、一番乗り。
ここで飲んだのは、スイカの果汁を副原料に使用した「ウォーターメロン・フルーツモンスター」。スイカのフルーツ感もあるが、IPAなのでコクもあり、隠し味のルバーブの酸味、ショウガのスパイス感も効いた複雑な味わい。
ボリュームたっぷりの「ワカモレ&チップス」(900円)。
「静岡産 南マグロのフィッシュ&チップス」(1000円※季節限定メニュー)は、静岡らしいお茶の葉入りの衣が面白かった。
食べきれなかった「ワカモレ&チップス」を包んでくれたので、部屋に持ち帰っておつまみにして、さらにビールを飲み続ける。「息をするように飲む」とはこのことか。至福の時間だった。
朝7時から営業しているタップルームで朝食をとった。名物だというアメリカ式モーニングの「チキン&ワッフル」で朝ビールを楽しもう、と目論んでいたのだが、体力的に無理だった…。今度はビール好きの友人を誘って宿泊し、部屋のビールを飲み尽くし、バレルラウンジやタップルームでいろんなビールに挑戦し、朝ビールでチキン&ワッフルを味わって、このホテルを味わい尽くしたい。
朝食に頼んだ、ワッフルのハーフカットと目玉焼き。ワッフルは厚みがありふっくらしていて、非常に美味。WCBのビールを使ったマンゴーとラズベリーのソースがかけ放題なのも嬉しい。
建築家がデザインした、ビール好きのための部屋
ちなみに館内に部屋は全5室(2名用×3室、4名用×2室)で、それぞれにホップの名前がついている。
駿河湾をイメージした青色と、ビールをイメージした黄色がコンセプトカラー。客室すべてに、壁画アートが描かれていて、全部屋に泊まると、WCBにまつわる1つのストーリーが完成する構成になっている。
高い天井と太い梁を活かした空間。スプレーによって描かれた大胆な壁画は、ホップをイメージした公式キャラクター「Hop Dude」親子にまつわるストーリーが描かれている。
廊下や客室には、イギリス人アーティストが描いている歴代の缶ラベルアートの下絵や未公開アートなども飾られていて、WCBファンにはたまらないスペース。
向かいにあるWCBの醸造所では、土日のみ「ブルワリー見学ツアー」を開催している(お土産ビール付で参加費3500円、20歳以上・子ども同伴NG)。ビールを実際に造っている醸造所内でWCBのビールができるまでを詳しく解説してもらいながら、見学ができる。宿泊者でなくても参加可能だが、完全予約制のため、公式Webサイトからの予約が必要だ。
※画像提供:WCB
取材協力/株式会社WEST COAST
The Villa & Barrel Lounge公式サイト
取材・撮影・文/桑原恵美子