2021年3月の全国発売以来、SNSを中心に話題となり、大ヒットしているファミリーマートのプライベートブランド「コンビニエンスウェア」。ソックスの累計販売数は1,300万足(2023年7月現在)を突破し、新しいラインナップも続々と増えている。
今回、株式会社ファミリーマート 商品本部 日用品・雑誌部 須貝健彦さんにお話を伺いながら、コンビニエンスウェアの人気の理由に迫った。
衣類から日用品まで、ラインナップはなんと90種類!
コンビニエンスウェアには、ソックスやボクサーパンツ、トランクス、ショーツなどの下着類、Tシャツやキャミソール、カーディガンをはじめとした衣類だけでなく、タオル(ハンカチサイズからバスタオルまで)、レインポンチョやエコリュック、サンダルなどおよそ90種類のラインナップが用意されている。
さらに、広島東洋カープのチームカラーを基調とした中国・四国地方限定商品などのコラボ商品も展開。須貝さんは、こうしたコラボ商品も好調だと話す。
「今年の3月からボクサーパンツとタオルを、ソックスの次の主軸として展開をしています。ボクサーパンツは今まで、無地などのシンプルなものが中心でしたが、今年の5月に初めてアロハシャツブランド『reyn spooner(レインスプーナー)』とのコラボ商品を発売して、好評をいただいています」(須貝さん)。
なぜ、コンビニが衣類市場に参入?
では、一体なぜコンビニで衣類に力を入れようと考えたのだろうか。その理由について、須貝さんは次のように話してくれた。
「構想をはじめた2019年、インナー市場はおよそ1.5兆円と言われていました。そんな中で、コンビニエンスストアはあまりシェアを取れていないという課題があったんです。『そこを取ることができれば、売上拡大に繋がるのでは』というところから構想がスタートしました。ただ、そのためには今までと同じことやっていては難しいと感じ、しっかりとブランディングをして『お客様に愛されるブランドを作ろう』と考えたんです」(須貝さん)。
筆者も出張先などでパンツや靴下をコンビニで購入したことはあるが、正直「とりあえず」と品質までは求めていなかった。しかし、コンビニエンスウェアはデザインや素材にもしっかりとこだわっており、その品質の良さやから、はじめはデザイン性で購入した方がリピート購入するケースも多いという。
「『いい素材、いい技術、いいデザイン。』を製品コンセプトに掲げて、ファッションデザイナーの落合宏理さんや各取引先と一緒に、同じ方向を向いて商品を作り上げています。コンビニという特性からも、『老若男女、誰もが着られる商品』を意識して、日々開発に取り組んでいるところです」。
また、サステナブルやジェンダーレスといった、時流に沿った要素を取り入れている点も特徴的だ。ラインナップにはユニセックスの商品も少なくない。世界的に活躍するクリエイティブチームと作り上げたというパッケージにも、こだわりが詰まっている。
「環境配慮について、自分たちのできる範囲で何ができるかを常に考えていますね。本来であればパッケージなしで販売することが一番なのかもしれませんが、コンビニは24時間空いていて、さまざまな環境があるため、商品を守るためにパッケージに入れています。そこで、なるべく捨てられないよう、二次利用ができる工夫を施しました」。
筆者も、コンビニエンスウェアのボクサーパンツを愛用しているが、パッケージデザインの良さから思わず手に取った記憶がある。そして、パッケージはさまざまなものを入れるのにちょうど良いと感じていたが、そこにも意図があると須貝さんは続ける。
「例えば、ポテトチップスのようなパッケージだと中身を食べたら捨ててしまうと思うんですが、コンビニエンスウェアのパッケージはペンケースとして使っていただいたり、マウスや判子、Wi-Fiルーターを入れたりして使っていただくことができるんです。急な雨で靴下が濡れても、新しいものを履いて濡れたものを入れて使えます。コラボ商品のパッケージも、そのブランドの雰囲気に合わせて作っているので、なるべく『捨てさせない』という点で環境への配慮にも繋がると思っています」。