少し前までのクレカタッチ決済
正直、書いていて嫌になることではあるが、これも筆者の商売。
キャッシュレス決済銘柄の乱立は、ある種の情報格差を形成してしまう。セルフレジはアップデートすれば済むが、人間の店員はそうはいかない。そのため、有人レジでは知名度の低いキャッシュレス決済銘柄は使いづらい。
が、このあたりの問題は時間が解決してくれる可能性もある。
クレカのタッチ決済にしろ、ほんの2年ほど前までは「クレカで非接触型決済ができる」ということ自体あまり知られていなかった。
レジの店員に「クレカでお願いします」と言うと、「この端末にカードを差し込んでください」と返されていた。この店舗はタッチ決済対応店にもかかわらず、「カードを差し込んでください」と言われてしまう。そんな店員の目の前でタッチ決済を実施すると、大いに驚かれたものだ。
が、そのような一場面の昔話になりつつある。クレカのタッチ決済は急速に普及し、あらゆる店舗がタッチ決済対応端末を導入した。それと同時に、タッチ決済に対する店員の理解も進んだ。
若い頃に体験した「ノースウエスト現象」
筆者が20代の頃、デルタ航空に合併される直前のノースウエスト航空が成田空港にセルフチェックインカウンターを整備していた。
これを使えば身分確認もできるという、当時としては画期的なシステムだったがひとつ問題があった。
「利用者が自分自身の手でタッチパネルを操作してチェックインを済ませる」という概念自体が定着しておらず、チェックイン機の操作も分からない。
それ故にチェックイン機の横にスタッフを置いて、結局は有人で対応する(スタッフがタッチパネル操作をしてあげる)という状態だった。
この時の筆者はまだライター稼業に手を出していなかったのだが、「新しい仕組みを定着させるには時間がかかる」ということを図らずも学んでしまった。
これと同じ現象が、キャッシュレス決済の場で見られる。Smart Codeは未だ大衆の共通理解とはなっていないが、1年後にはその状況が進展しているだろう。が、それまでは「極力固有名詞を使わない」ということがキャッシュレス決済攻略の鍵になりそうだ。
【参考】
Smart Code
https://www.smart-code.jp/
取材・文/澤田真一