決済とポイント付与が「別の挙動」
以上の話は、Tカード機能付きクレジットカードを使った人ならよく理解できるはず。
この場合も最初にTポイント付与のためにカードを差し込み、それを一度抜いてから店員の操作を待ってもう一度カードを挿入しなければならない。「決済と同時にポイント付与」という設計にはなっていないのだ。
これでは、何のためにクレカとTカードを一体化させたのかよく分からない。
クレカ以外はみんな現金決済だった時代から設計思想が変わっていないわけだが、それが此度のVポイントとの統合で大きく変化する可能性があるのだ。
新Vポイントは「ワンオペレーション」対応
今現在のTカードをどのようにして三井住友カード(或いはVポイントに対応したカード)に置き換えるのか、ということは今後の発表に視線を傾ける必要がある。
しかし上述の「ポイント付与と決済を一挙動でできない」という点は三井住友カードも認識しているようだ。新Vポイントには「ワンオペレーション」という機能が実装される予定である。これでポイント付与、決済が1回の動作で完了するという。
「Tカードはお持ちですか?」は、間違いなく過去の光景になる。
もっとも、今現在のTカード所有者に対してワンオペレーションの利便性を教える必要も出てくる。ポイント機能しかない物理カードからアプリ、或いはVポイントと連携する三井住友カードに乗り換えてもらうのが最善のはずだが、このあたりはそう簡単にできる話でもないだろう。
それでも、キャッシュレス決済が常識となった2020年代に適合した「仕組みの大改造」が行われることは非常にありがたい。
バーチャルカードは普及するか?
TポイントとVポイントの統合で筆者が期待するのは、「徹底したカードレス化」である。
スマホと紐付けしたバーチャルカードがあれば、近所はおろか世界各国を飛び回ることができる近未来。
物理カードは金庫に入れて、年数回或いは有効期限切れまで出さない……という光景も容易に想像できる。
が、それには今現在の物理カード所有者に「バーチャルカードの利便性」を啓蒙することが欠かせないはずだ。
【参考】
SMBCグループとCCCグループ新たなポイントサービス、青と黄色の『Vポイント』を来春より提供開始-PR TIMES
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000951.000000983.html
取材・文/澤田真一