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【ヒット商品開発秘話】シリーズ累計出荷数2500万本を突破した明治「ブルガリア フローズンヨーグルトデザート」シリーズ

2023.07.24

■連載/ヒット商品開発秘話

 いま、濃厚なコクとさわやかさを両立したアイスが売れている。明治の『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート』シリーズのことである。

 2022年3月に発売された『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート』シリーズは、独自に開発した濃密なアイス専用ヨーグルトをベースとなるアイスに配合してつくったバータイプのフローズンヨーグルトデザート。デザートとしての満足感がありながらヨーグルトならではの程よい酸味を生かした味わいに仕上げた。独自開発したアイス専用ヨーグルトは、『明治ブルガリアヨーグルト LB81プレーン』(以下、明治ブルガリアヨーグルト)で使用しているLB81乳酸菌で発酵させた。

 現在、プレーンとブルーベリーの2種類をラインアップ。2023年5月末時点で、シリーズ累計2500万本超が出荷されている。

明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート

日本のヨーグルトアイス市場をつくる

『明治ブルガリアヨーグルト』のブランドを活用したアイスは過去にも開発・販売されてきたが、『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート』シリーズが開発された背景は大きく2つある。

 1つは、ヨーグルトアイスの市場が形成されておらず、市場創造が可能な点。グローバルフードソリューション事業本部フローズン・食品事業部 フローズンデザートGの種村祥吾さんは、次のように話す。

「明治は日本のヨーグルト市場をつくってきた会社ですので、アイス市場においてヨーグルトアイスの市場をつくりたいという想いがありました」

 もう1つは、健康付加価値型商品へのチャレンジが求められるようになってきた点。アイスでも健康をテーマにした商品が増えてきたが、なかなか定着しないという現状があった。

「アイスのような嗜好性が高いものは、何か健康要素をプラスすると美味しさとトレードオフになるイメージを持たれがちです」(種村さん)

 明治らしい健康価値を提供し、あらゆる世代の人たちの健康的な食生活に貢献することを目指す中で、毎日食べたくなる美味しさと健康を兼ね備えたアイスを上市するには何が必要か? ここで着目したのが『明治ブルガリアヨーグルト』だった。

濃密で硬いアイス専用ヨーグルト

 このような経緯から2021年春に、『明治ブルガリアヨーグルト』と同じLB81乳酸菌を使ったヨーグルトを生かしたアイスが構想される。

 実は同社では、『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート』シリーズの開発とは別に、アイス専用ヨーグルトの開発が先行。これを元に配合を検討し直すことにした。

 チルドの『明治ブルガリアヨーグルト』の活用することも検討したが、なぜアイス専用ヨーグルトを使うことにしたのか? 食品開発本部フローズン・食品開発部 開発1Gの渡希望(まほ)さんは次のように話す。

「このアイスは、なめらかで濃厚なコクがあるのが特徴なのですが、一般的な発酵乳を使用すると食感がシャリシャリし、なめらかでコクのあるヨーグルトアイスに仕上がりませんでした。どうしたら、よりなめらかな食感にできるかを検討した末に、アイス専用のヨーグルトを使うことにしました」

明治
グローバルフードソリューション事業本部フローズン・食品事業部
フローズンデザートG
種村祥吾さん
食品開発本部フローズン・食品開発部
開発1G
希望さん

 市販されている『明治ブルガリアヨーグルト』とアイス専用ヨーグルトの大きな違いは、無脂乳固形分の量。無脂乳固形分は牛乳から水分と乳脂肪分を除いた固形分。アイス専用ヨーグルトは、無脂乳固形分の量が市販されている『明治ブルガリアヨーグルト』より多い。

 アイス専用ヨーグルトは完成までに3年と長い時間を要した。先行開発していたものから配合を見直し風味や味わいを調整したことのほか、アイスの量産に適したものか、といったことも検討しなければならなかったからである。

「完成までには多くの試行錯誤を重ねました。無脂乳固形分の割合が高すぎると製造適性が落ちるので使えませんし、逆に割合が低いとアイスに使ったときのヨーグルト感が弱くなります」(渡邉さん)

 完成したアイス専用ヨーグルトは無脂乳固形分の割合がかなり高く、市販されている一般的なヨーグルトとは比較にならないほど、きめ細やかで緻密な組織の硬いヨーグルトになった。

 味づくりでこだわったのは、中のアイスと外側のコーティングのバランス。アイスとコーティングのバランスを取るのがなかなか難しく、思ったようにいかないところがあった。渡邉さんは次のように話す。

「食べるときはアイスと一緒にコーティングも食べるので、両方を一緒に食べたときに美味しいと感じてもらうことが重要です。最初は、アイスとコーティングで一体感を出すか、味わいにコントラストをつけるかも定まっておらず議論を重ねましたが、本格的なヨーグルト味を出すためにコーティングは酸味を強調することにしました。ただ、中のアイスの甘味と外側のコーティングの酸味のバランス調整には繊細さが求められ、時間を要しました」

 また、製造に当たっては低温フリージング技術と呼ばれるものを採用した。これは、混ぜ合わせた原材料を固めて押し出してからカットするスティックタイプアイスの製法。混ぜ合わせた原材料を型に流し込んでから冷やし固める従来製法に比べて、なめらかな食感が得られるという特徴がある。

本格的なヨーグルト味が味わえるプレーン

ヨーグルトのチームも開発に協力

 開発はヨーグルトのチームとも連携した。味わいやパッケージデザインなどにおいて、ブランドのイメージや世界観の踏襲が不可欠だからである。

「これで『明治ブルガリアヨーグルト』と呼べるのか、といった点から、試作品の評価などに関わってもらいました」(種村さん)

 ヨーグルトのチームは、味わいについては特徴としているさわやかな酸味が実現できているかどうかをチェック。パッケージデザインは、レギュレーションに関わるところをチェックしてもらった。ロゴ周りの色使いなどの決まりごとを守るのと同時に、アイスとして打ち出したいことを打ち出すようにした。

 検討したパッケージデザイン案は20近く。早ければ3〜4か月で決まるところ、ヨーグルトのチームも検討に関わったことなどから、本決まりまでに半年ほどかかった。

コンビニ限定販売から始めた理由

 発売は当初、販路をコンビニエンスストアに限定。2022年6月に、全販売チャネルで販売された。

 コンビニ限定で発売を始めた理由を、種村さんは次のように説明する。

「アイスは話題性や天気によって売れ行きが大きく変動します。何らかの要因で急激に売れると製造が追いつかず、お客様にお届けできないことが起こり得ます。万が一の欠品リスクを考慮して最初はコンビニに販路を限定し、様子を見ながら販売することにしました」

 欠品を起こしたら歴史ある『明治ブルガリアヨーグルト』のイメージ低下にもなりかねず迷惑がかかる。市場の動向を慎重に見極めながら、全チャネルでの全国発売に踏み切った。

ユーザーの嗜好性を見極めてつくったブルーベリーの味

 2023年3月、シリーズ2品目になる『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート ブルーベリー』がコンビニ限定で販売される。「もともとシリーズ展開の意向がありましたので、プレーンが発売になってからすぐに、試作検討を始めました」と種村さんは明かす。

明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート ブルーベリー

 中のアイスはプレーンと同一。外側のコーティングをブルーベリー味にした。

「アイスとコーティングを一緒に食べたときに、ブルーベリーヨーグルトの味わいが得られるものをつくりました」と渡邉さん。コーティングの風味はプレーンのお客様評価を基にベースとしたものをどう調整するかを検討した。

 渡邉さんはコーティングについて、「お客様がどこまで嗜好性を求めるのかがわからないので、プレーンの評価からどの程度嗜好性を高くするかを判断することにしました」と明かす。購入したユーザーの反応を分析したところ、甘さよりも、さわやかな風味とスッキリとした味わいを高く評価していることが判明。これらを変えることなくブルーベリー味を楽しめるものにすることにした。

 ベースとして考えていたものの甘さを抑え、ヨーグルトの酸味を際立たせた。ブルーベリーらしい色味になっているかもチェック。コーティングだけで少なくとも10回は、研究所と試作のやり取りを行なった。

ブルーベリーはプレーンのさわやかな風味とスッキリとした味わいはそのままにしつつ、ブルーベリーヨーグルトの味、色味を実現した

取材からわかった『明治ブルガリア フローズンヨーグルトデザート』シリーズのヒット要因3

1.おなじみの味を再現

『明治ブルガリアヨーグルト』と同じLB81乳酸菌を使用した独自開発のアイス専用ヨーグルトを使用。なじみ深い『明治ブルガリアヨーグルト』の味わいがアイスでも楽しめるものになった。

2.飽きのこない味

 なめらかで濃厚なコクがありながら、さわやかな風味とスッキリした味わいを実現。飽きがこず、気に入るとリピートしたりまとめ買いしたりすることにつながった。

3.『明治ブルガリアヨーグルト』のブランド力

 ヨーグルトの代名詞『明治ブルガリアヨーグルト』のブランド力が生かせた点は大きい。安心して購入することができる。

 発売前の調査では9割が「美味しい」と回答したほどで、発売後の反応も味の良さを評価する声が多い。見つけらたまとめ買いする人がいるもいるほどだという。猛暑の夏に、さわやかな風味とスッキリした味わいはうってつけといえよう。

ブランドサイト

文/大沢裕司

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