販売開始4週間の売れ行きは2018年ロシアW杯時から大幅増
数々のトライがプラスに働き、販売開始4週間の売れ行きは、2018年ロシアW杯のユニフォーム発表4週間と比較して、オンラインショップで6倍・直営店で2・6倍という驚異的な数字を叩き出したという。
ただ、今回はネーム・ナンバー入りのユニフォーム注文者割合が例年よりも多く、その作業時間がかかった分、納品がスムーズに進まないという課題にも直面した。
日本がドイツ・スペインを撃破した11月下旬の時点で「ユニフォームが買えない」という声が殺到。JFA関係者からも「もっと大量供給しておけばよかった」と反省の弁が聞かれたが、コロナ禍・冬開催という異例のW杯ということで予測が難しかったのも事実だ。
そんなアクシデントもあったが、同社としては若者世代の関心度を高め、新たな顧客層を開拓するという取り組みが一応の成果を収めたと見ている。この勢いに乗って、今回の女子W杯でも、なでしこジャパンの「SUNRISE」の新アウェー・ユニフォームが多くの人々に浸透してくれれば理想的と言っていい。
「なでしこの場合は、2011年女子W杯(ドイツ)優勝という星が1つついているので、特別感が高く、『ぜひ手に入れたい』という方も少なくないと思います。特に女性には人気がありますね。初めての女子専用アウェイユニフォーム登場の話題性も相まって、ポテンシャルは高いのではないかと見ています」と福田氏も力を込める。
日本代表のユニフォームは単に応援やスタジアムだけのものではない。日本のカルチャーの1つとして受け入れられていくべきだ。それを具現化したアディダスには今後さらに斬新な取り組みをしてほしいものである。
なでしこジャパンの方も快進撃とユニフォーム売り上げ増に期待(写真提供=アディダスジャパン)
取材・文/元川悦子
長野県松本深志高等学校、千葉大学法経学部卒業後、日本海事新聞を経て1994年からフリー・ライターとなる。日本代表に関しては特に精力的な取材を行っており、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは1994年アメリカ大会から2014年ブラジル大会まで6大会連続で現地へ赴いている。著作は『U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日』(小学館)、『蹴音』(主婦の友)『僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」(カンゼン)『勝利の街に響け凱歌 松本山雅という奇跡のクラブ』(汐文社)ほか多数。