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なでしこジャパンの快進撃に期待!アディダスの日本代表新ユニフォームに込められた熱き思い

2023.07.22

カタールW杯プロジェクトリーダーが語るデザインと販促の裏側

福田氏が前職の広告代理店から同社に転職したのは2014年。2014年ブラジルW杯が間もなく開幕するというタイミングだった。当時もSHIBUYA109と協業したコラボプロジェクトに関わるなど、いきなり大イベントに参加する機会に恵まれた。2018年ロシアW杯時にもW杯のプロジェクトメンバーとして数々のプロモーション活動に参画。2度のビッグトーナメントを経て「次のW杯のプロジェクトリーダーをやりたい」と熱望していたという。

それが現実になったのが2020年。2019年11月には1つ前のデザインである「日本晴れ」ユニフォームがお披露目されていたが、直後から2022年カタールW杯への動きが始まった。

「とはいえ、2020年というのはコロナ禍が始まったタイミング。しかも、2022年W杯が史上初の11~12月開催ということで、マーケティングや販売戦略の立案に関してもイレギュラーな部分が多々、ありました。

通常の6~7月開催のW杯だと、前年の11月頃に新ユニフォームを販売開始し、半年間のセールス期間があるのが通例でしたが、今回は8月末のお披露目から大会本番まで3カ月弱しかない。短期決戦を想定し、それを逆手に取るような戦略を考えました。

同時に、サッカーをカルチャーとして根付かせたいという重要なテーマもありました。2020~2022年はコロナの影響で日本代表戦の観客制限があり、人々がスタジアムに足を運ぶ機会が失われていました。そういう時期だからこそ、サッカーの話題をもう一度、取り戻し、文化として認知してもらいたかったんです。そのためのベストなアプローチ方法を関係各所と意見交換し、模索し続けていきました」と福田氏は言う。

マーケティングの内幕を語ってくれた福田新氏(筆者撮影)

「ORIGAMI」のデザインに込められた「伝統と革新」

長い準備期間を経て、同社が行きついたのが過去から現在の数々の歴史を融合させた「ORIGAMI」のデザインだ。

2022年W杯の開催地・カタールは、日本代表が94年アメリカW杯アジア最終予選で涙を飲んだ「ドーハの悲劇」の地。2011年アジアカップ制覇という栄光の場所でもある。さらに2002年日韓W杯から20年という節目の年で、同大会決勝のブラジル対ドイツ戦が行われた日産スタジアムには270万羽の折り鶴が舞ったという歴史もあった。このような過去の記憶を折り重ねるという意味で「ORIGAMI」のデザインが考案されたのである。

「昨年8月29日のお披露目時のオンラインイベントでは、久保建英選手(レアル・ソシエダ)が『今回のユニフォームはかなり斬新なデザインだと思います』とコメントしていましたが、彼らはドーハの悲劇も2002年日韓W杯も知らない世代。そういう若い選手にも斬新だと映ったのは、我々にとっても嬉しいこと。単なる『原点回帰』ではなく、『伝統と革新』の両方が盛り込まれたデザインになったのかなと感じています。

さらに『街着』としての要素も盛り込んでいます。冬開催のW杯ということで、単にユニフォームだけを着て応援するのは難しい。Tシャツやパーカーの上に着たり、タオルマフラーなどの周辺商品とのトータルコーディネートを考えたところ、周辺商品も含めてかなりの人気が出ました。

ブラジルやフランスなど強豪国では代表ユニフォームが日常着となっているケースをよく見ますが、日本でもそうなってほしい。そんな願いも込められています」と福田氏はまずデザインに関する意図を説明する。

このデザインは近年のユニフォームの中で人気が高い(写真提供=アディダス ジャパン)

実際、W杯時のカタールでも今回の「ORIGAMI」のデザインは大好評で、外国人サポーターや子供たちも着用している姿がよく見られた。「近年の代表ユニフォームの中では今回のデザインは特に好き」「これは買いたくなる」といった声も多く、同社の狙いは多くの人々に届いたと言っていいだろう。

人気漫画「GIANT KILLING」「ブルーロック」との斬新なコラボ告知も

一方、マーケティングの部分でもかつてない革新的な取り組みに挑戦した。前述の通り、カタールW杯はユニフォーム発表から本番までの期間が3カ月弱しかない。その間にこれまでと同様のやり方で宣伝しても、販売実績を一気に伸ばすのは難しい。となれば、事前に新ユニフォームに関心を持ってもらうことが重要だ。彼らはその秘策を考えたのである。

「JFAと連携してユニフォームデザインの先行公開を仕掛けました。それも単に告知するだけでは話題にならないので、人気サッカー漫画『GIANT KILLING』のツジトモ、『ブルーロック』のノ村優介両先生の協力を仰ぎました。

まず昨年の7月14日、ノ村先生の公式ツイッターに次の単行本のラフ絵をアップしてもらい、その中に新ユニフォームを忍ばせたんです。そこで『これは架空のもの?』『だけどJFAのエンブレムが入っているよね』といった書き込みが数多く寄せられ、最初の話題作りに成功しました。

続いて7月26日にも、ノ村先生のツイッター上で別の告知イラストでもこのユニフォームを着たキャラクターに登場してもらいました。ファンの間では『これはいよいよ本物だよな』という観測が高まり、関心度も上がりました。

さらに7月下旬から8月にかけて、GIANT KILLINGの別の告知イラストでもメインキャラクターの椿大介が新ユニフォームを着ている絵がアップされました。となれば、『これはブルーロックと同じだ』という声が出ますよね。この時点で世界各国の漫画ファンに情報が届いていて、かなりの反響になっていました。

そんな下地作りを経て、8月29日の発表当日を迎えました。当日には『ああやっぱりノ村先生とツジトモ先生の絵は本物だったんだ』と伏線が回収される形になりました。若い世代の方を中心にこのアプローチを歓迎していただくことができ、話題となりました。

それ以外にも『eFootball』のゲームの中に登場させたりと、他のカルチャーとの結びつきを重視したんです。それによって、我々が重視する若い世代へのアピールは実ったのではないかと見ています」(福田氏)

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