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レガシー産業のDXによって生まれる、実店舗を軸にした新しい「リテールテックビジネス」の可能性

2023.07.21

店舗などの小売業に関するさまざまな業務をITやIoTなどの技術導入でDX化していくリテールテック。電子タグによる無人レジシステムや駅や店舗などにディスプレイやプロジェクターを設置して情報を発信する電子看板のデジタルサイネージなどを導入する動きも加速している。特にデジタルサイネージとデータ収集用のセンサーやカメラを組み合わせて、リアル店舗で消費者の購買情報や行動をトラッキングして、店舗オペレーションを数値化・分析することで店舗運営を効率的にするビジネスが大きな注目を集めている。

最近では大手コンビニやチェーン系スーパーなどで来客者の動向分析やデジタルサイネージに映像を流すリテールメディアを活用するマーケティング戦略も急増。すでに欧米では積極的にリテールメディアへ取り組む企業も多い。国内でもセブン・イレブン・ジャパンでは、22年末から店舗にデジタルサイネージを設置した広告配信の実証実験を展開。23年2月末までに東京都を中心に直営店12店舗にデジタルサイネージを設置し、2023年6月末までに関東圏の約100店舗で実証実験をスタートしている。また、このデジタルサイネージには視聴分析ソリューションを導入し、データ収集を行っている。そのうちの1店舗へ実験的にAIカメラを設置し、デジタルサイネージ事業のアドバイザリーを行っているのがLMIグループ(以下、LMI)だ。

ウェブでは常識といえる顧客データ収集やデータを活用した施策を「フィジタル(フィジカル×デジタル)」で展開

セブン-イレブン・ジャパンが設置したデジタルサイネージ。今後はプロモーションに限らないリテールメディアとしての活用が多くなってくるはずだ。

LMIは、元々はリアル店舗の看板や店舗ディスプレイの制作・施工などを行っていた企業で、2017年頃からリテールテック業界に本格参入し、レガシーと呼ばれる看板業界にリテールテックの技術を取り入れて成功を納めている。

「元々は街の看板屋さんでしたが、2010年頃からファッションブランド店舗のディスプレイを作り始めて、2017年頃からデジタルサイネージやAIカメラを活用するリテールテック事業に事業拡大していきました。世の中のトレンドを自分たちなりに解釈して、現在のDX化を選びました。例えばファッションブランドの店舗では、壁面のモデルさんや商品の写真やポスターを毎日のように職人さんが現場で張替えをしていました。その看板ビジネス自体はなくならないかもしれないけど、デジタルサイネージに置き換わるのはトレンドとして確実だと考えて、店舗へのデジタルサイネージの導入の提案も開始しました。デジタル化が進めば、次はリアルの世界でもウェブと同じように広告の効果測定をしたくなると考えて、店舗などのデータ収集と分析を始めました」(LMIグループ/永井俊輔代表取締役社長)

2015年頃に前に立つ人を判別して表示商品を変更する自動販売機が話題を集めたが、永井氏はこれを見てデジタルサイネージとAIカメラによるビジネスモデルの可能性を見出したという。現在は、AIカメラとデジタルサイネージなどを活用して店舗前通行量や人流などのデータ収集と分析を行い、人流コントロールやポスターの視認性を上げるための施策、製品の並べ方による売上向上に結び付く企画・提案を行っている。

「ウェブと違って顧客情報をトラッキングできない実店舗では、明瞭な顧客情報の獲得が急務でした。LMIはAIカメラで店内データを収集して動線分析を行い、AIカメラを搭載したサイネージで視認率などの行動データを収集し、データに基づいた売上に寄与する店舗作りや店舗改善をサポートしています。AIカメラによるデータ収集や集めたデータを解析する技術を持っている会社はありますが、長年培ってきた看板事業で蓄積した空間実装のノウハウを使って収集データや分析結果をすぐに店舗へ反映して実店舗製作まで自社でやっています」(永井氏)

LMIは、「企画・実装・評価」の3つのサイクルを回すことで独自性を出している。店舗前通行量に対する入店数のベンチマークに頼らず、店舗がある地域や業種などの特性によって人流や購買動機が異なるため、各店舗にカスタマイズしていくことが大切だという。

「店舗のデザインを企画して、自分たちで内装工事ができるので的確な実装展開ができます。設置したAIカメラで収集したデータを評価することで、その店舗を改善する売上向上の企画を提案して店舗を作っていますが、普通だったらデータ収集はテック会社、分析はコンサルティング会社、デザインや内装は内装業者のように何社かに分離して発注しなくてはいけません。そうするとデータと実装が分断されてしまいます。データ収集・店舗実装・データ分析といった「企画・実装・評価」までできるところは、ディスプレイやサイネージの業界的には全然ないと思います。そこをすべてLMIでまかなえるのが強みです」(永井氏)

LMIグループの永井俊輔代表取締役社長(左)とAI導入や新規事業を担当する望田竜太副社長(右)。永井氏は、大手ベンチャーキャピタルを経て、家業だった「群馬の看板屋」のクレストに入社。2016年に代表取締役社長に就任。2022年に商号をLMIグループに変更。LMIグループは、リテールテックを活用した空間作りも提案する商空間事業で約1200社との取引実績を持つ。

LMIの強みを生かした事例が2022年4月にリニューアルオープンした「アシックス原宿フラッグシップ」へのソリューション提供だ。店舗前の通行量と入店量から入店率を割り出して入店率が向上するための施策を企画し、入店した消費者の店舗内の回遊をトラッキングして購買率を引き上げるための店内サイクルを提案している。ウェブでは常識といえる顧客データ収集やデータを活用した施策の視点をリアル店舗に導入し、導入支援から取得データの提供・分析までを「フィジタル(フィジカル×デジタル)」両面で展開。人の動線分析と得られた人流データをもとに効率の良い導線設計を行って、可動式什器を移動させることでデータを反映した店舗配置を行う。店頭スタッフ・商品などの配置変更が工事なしで簡単にできるので、少ないコストで常に新しい顧客体験を提供することも可能だ。

「アシックス原宿フラッグシップ」は、収集して可視化されたデータを見た上で、可動式什器を移動させて高い購買に向けて店舗を定期的に最適化している。店舗スタッフと連携して、店舗レイアウト、壁面グラフィック、デジタルサイネージのコンテンツなどを自由度高く変更できるので、分析した結果をすぐに店舗へ反映できるのが特徴。

LMIは、京王電鉄とQoil(コイル)の運営する「キラリナ京王吉祥寺」にあるショールーミングストア「INSEL STORE」でも実店舗内分析を行うための計測サービスの提供もしている。「ショールーミング」は、実店舗で確認した商品をECで購入して指定先に配送する仕組み。「INSEL STORE」は、自社で企画・製造した商品を自社サイトで直接販売するD2C(Direct-to-Consumer)ブランドの課題である顧客とのリアルな接点を創出する支援型サービスストア。実際に手に取って素材を確認できなかったり、試着してフィット感を確認できないD2Cブランドの服やアクセサリーなどを自由に試せて、商品はECサイトで購入して自宅など希望の場所へ配送できる。実店舗で取得できるデータが商業施設と店舗の双方に価値があると考えて、「キラリナ京王吉祥寺」施設全体の出入口やエスカレーターなど主要動線上に機器を設置。全体の利用者の動向や属性を計測し、来訪者数の状況把握・比較やイベントなどの施策分析に活用している。なおデータの収集は、AIカメラを使って端末内で処理されて匿名化されている。

『INSEL STORE』では、AIカメラを設置して、以下のデータを収集している。

●ショールーミングストア「INSEL STORE」内
各ブランド棚前の来店客滞在数・滞在時間
「INSEL STORE」への来店客数、来店者属性、マスク着用の有無
「INSEL STORE」前通路の交通量など

●「キラリナ京王吉祥寺」施設全体
全出入口の入館者数、主要出入口の来店者属性比率、マスク着用の有無
実店舗内の装飾物前の滞在数、滞在時間、視認数、視認時間
主要エスカレーターの利用者数、利用者属性、マスク着用の有無など

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