Android OSとしての大画面対応は進むものの……
冒頭でも触れた通り、最近は折りたたみスマホやタブレット製品が増えてきたこともあり、Android OSが大画面デバイスに最適化されてきました。通知バーは視認性が高いように2列配置になっており、アプリ起動中にタスクバーを表示することもできます。
グーグル系のアプリも、ほとんどが大画面表示に対応しており、Gmailアプリでプレビューの表示ができたり、Googleカレンダーアプリで、スケジュールと日付の表示が同時にできるようになっています。
一方、サードパーティ製アプリについては、対応アプリの数こそ増えてきているものの、いまだに対応していないアプリも見受けられます。例えば、Amazonアプリは横向きの全画面表示に対応しているものの、FacebookアプリやInstagramアプリは非対応。Pixel Tabletの問題というよりは、アプリ開発メーカー側の問題ではありますが、今後の対応に期待したいところです。
そういう意味でも、今回のPixel Tabletや、同時に発表された「Google Pixel Fold」のように、Android OSの総本山が大画面デバイスを展開し始めた意義は大きく、グーグルが大画面デバイスに本腰を入れることで、Google Play ストアにも、大画面対応アプリが徐々に増えていくはずです。
課題もあるもののわかりやすいコンセプトが特徴のPixel Tablet
グーグルのタブレットとして登場したPixel Tabletは、専用ホルダーの同梱やハブモードの搭載など、「ホームコントロールデバイス」というコンセプトをリアルに感じられる製品です。スマートスピーカーやスマートディスプレイなど、自宅内で過ごす時間を快適に過ごすためのデバイスを多く展開してきたグーグルらしい切り口になっています。
ホルダーの仕様やサードパーティ製アプリの対応など、まだまだ伸びしろは感じられるものの、Pixel Tabletとしては第1弾製品であることを踏まえると、今後の展開には十分期待ができます。
個人的には、Pixel Tabletの発売と同時に、専用のタッチペンやタイプカバーといった周辺機器も欲しいと感じていますが、同じくグーグルがOSの開発をしている「Chrome OS」を搭載したChromebookの立ち位置を考えると、タブレット、PCのすみわけをどのように行うのかは難しいため、今回のホームコントロールデバイスという位置づけに落ち着いたともいえます。Chromebookも、ほとんどの作業をブラウザ上で行い、データをクラウドで管理するという、面白いコンセプトを有したデバイスであるだけに、両デバイスを明確にすみ分けながら、両立、共存できる製品展開が楽しみです。
取材・文/佐藤文彦