世界一のエンタテイメントカンパニーとして数々のヒットコンテンツを生み出してきたウォルト・ディズニー。誰もが1度は映画やテーマパーク、グッズなどでディズニーの世界に魅了されたのではないでしょうか。
とはいえ、近年はコロナもあり苦しい経営状況が続いています。
その一方、アップルがWWDC23で発表した「VisionPro」では、ディズニーCEOのボブ・アイガー氏が登壇し、アップルとディズニーによる新たな映像体験の未来を感じさせてくれました。
そこで今回の米国企業深掘りシリーズはウォルト・ディズニーのビジネスモデルと今後の展望について解説していきます。
転換点にあるディズニー
世界最大級のエンタメ・コングロマリット企業であるディズニーが今、大きな転換点にあります。
過去3年間はコロナによってテーマパーク事業が閉鎖したりと、苦難が続きました。
ディズニープラスなどの動画配信サービスは2億人を超える会員を獲得したものの、未だ収益化はできていません。
こうした苦戦した状況は株価にも表れています。2021年初頭にはコロナ禍であったものの、ストリーミング事業やテーマパーク再開の期待から、一時は197ドルまで株価も上昇しました。その後は軟調な展開となり、現在は90ドル付近を推移しており、2020年頃の安値へ戻りました。
また経営陣も騒がしい状況が続き、2022年11月にそれまでCEOだったチャペック氏からボブ・アイガー氏のCEO復帰を発表しました。
チャペック氏はディズニープラスの有料会員拡大路線を進めていきました。結果的にグループ全体の有料会員数自体はネットフリックスを超えたものの、ディズニープラスは黒字化出来ていません。こうした事情から、ボブ・アイガー氏の巻き返しが期待されます。
期待されるボブ・アイガー氏の手腕
ボブ・アイガー氏といえば現在のディズニー王国の中で最も重要な人物です。
2005年〜2020年までの長期間、CEOとしてウォルト・ディズニーを牽引した実績があります。
この間、ディズニーは相次ぐ買収を実現させました。
2006年にピクサー、2009年にマーベル、2012年にルーカスフィルム、2019年に21世紀フォックスなどを買収し、ボブ・アイガー氏がいたからこそ、現在のようなメディアコングロマリットが実現したといわれ、その手腕に再び期待が集まっています。
現状、2022年度におけるディズニーの売上高は827億ドルと前年比22%増となっています。
しかし、収益性の観点からいえば2019年まで毎年のように年間で約100億ドルを稼いでいたことを考えれば、現在の収益は半分にも届いていないのが現状です。
ボブ・アイガーCEOは復帰後「再びディズニーのクリエイティビティを追求しよう」という姿勢を明らかにしました。
とはいえ現状、CEOは2年間の期間限定といわれており、経営の立て直しと同時に後任の経営者探しをすることが予想されます。