「集中できない自分」とサヨナラしたい
「仕事をしようと思っても、サッカーの試合中継が気になって集中できない」
「途方もない作業量を考えると、やるのが億劫になってしまう」
「これ以上、書類作成はもう無理だ! 力を使い果たして、まったく集中できない」
そんなとき、こう「脳内トーク」してみます。
「あと5分だけがんばろう!」
「あと5分だけ」と言われたら、あと少しはがんばってみようと思えないでしょうか。
これは「タイムプレッシャー型の脳内トーク」で、時間を区切ることで、やる気を生み出すという方法です。
私たちの脳は、終わりが明確でなく、今の作業がずっと続くと思うと、脳の前頭前野が活性化しにくい状態になります。
しかし、短い時間を設定すると、脳は「ゴールが近い」と思い、前頭前野が活性化して、自然と集中力がアップします。
そして、またあきらめそうになったら、「あと○分だけがんばろう!」と言ってみましょう。すると、意外とがんばれる自分に気づくかもしれません。
この「タイムプレッシャー型の脳内トーク」には、面白い話があります。
あるスポーツジムの、有名なエアロビクスの先生が提供する授業は、かなりハードにもかかわらず、とても人気があるのです。私は、これをずっと不思議に思っていました。
ある日、その先生の授業を見学していたときのことです。
ハードなワークアウトで、みんな息が限界まで上がっていました。空気感も「もう無理」という声が聞こえてきそうなほど、参加者たちは相当な運動量でした。
「もう限界だ……」。みんながそう思ったとき、先生はこう言ったのです。
「24時間のうちのたった1分! がんばって!」
この言葉を聞いた瞬間、スタジオの空気が一変しました。
一瞬で、「もう少しがんばろう!」という雰囲気になって、ほとんどの人が最後までやり遂げることができたのです。
「24時間のうちの、たった1分」……その言葉を、思わず、私も心の中でくり返してしまいましたが、参加者の多くが同じように「脳内トーク」したのかもしれません。
この「脳内トーク」は、自分だけでなく人に使っても、力を与えることができます。
ぜひ、自分だけでなく周りの人にも使ってみてください。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com