他人の声を「脳内トーク」に活用する
「ぼく、ドラえもん」
突然ですが、この言葉を心の中で発してみてください。
心の中の声は、自分の声だったでしょうか。それとも、アニメのキャラクターの声だったでしょうか(私はアニメの声でした)。
自分の言葉は、心の中でも自分の声でしゃべっていると思うかもしれませんが、「脳内トーク」では、自分の声だけでなく、他者の声で話すことがあります。
ある研究では、本を読んでいるときは、約70~80%の人が「架空の登場人物の声」で「脳内トーク」をしているとあります。
これがよくわかる例が、小説や漫画が映画化(アニメ化)されたときでしょう。
映画化された主人公の声が、思っていたものと違って違和感を感じたことはないでしょうか。私も以前、『ハリーポッター』が映画化されたとき、主人公の声が想像していたものと違ってショックでした。
つまり、私たちは小説などを読んでいるとき、頭の中では、無意識に自分でつくり上げたキャラクターの声で話していることがあるんです。
実は、この他者の声を「脳内トーク」にうまく活用すれば、うまくいかない分野で出てくる、うまくいってない人格の声を変えられます。
たとえば、その人格が、「なんでこんなこともできないの?」と自分に語りかけてくるとき、他者の声を使うことで、サードアイになるのです。
その、「なんでこんなこともできないの?」という「脳内トーク」が、アニメのキャラクターや、大好きな女優さんの声だったらどうでしょうか。声が変わると、自分の中で印象がかなり変わり、嫌な人格を改善できるきっかけになります。
ポジティブ心理学という分野でも、子どもの幸福度を上げるために、肩に乗った想像上のオウムに、自分の言葉を話してもらう方法があります。
もしも心の声(脳内トーク)が「お前、何やってるんだ!」と怒っていたとしても、肩に乗った可愛いオウムが、「アナタナニヤッテルンダ」と言ってくれたら、怒りの気持ちもそこまで感じなくなってしまうでしょう。
また、ぬいぐるみに向かい合って、自分の代わりに、自分の気持ちを話してもらうことでも、同じ効果が期待できます。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com