「ダイエットしたいと思いながら、つい食べすぎてしまう」「忙しすぎて、自分のやりたいことをする時間がもてない」「相手にハッキリ言うことができず、ストレスを感じた」「ついスマホを見すぎて、時間をムダにしてしまった」など、思いどおりにいかない自分に苛立だったり、自分を責めたりしたこはないでしょうか?
日々の生活の中で、意志が弱く、なかなか思いどおりにいかないことってありますよね。でも、実は自分を変えることができるかどうかに、意志が強いか弱いかは関係ないそうです。
意志の力に頼るのでなければ、どうしたらいいか。その答えは「言葉の力」を利用することだそうです。人は1日の中で、自分との会話「脳内トーク」を何千回から何万回も行っていると考えられています。つまり、脳は「脳内トーク」の影響を多大に受けているのです。
それなのに私たちは他人と話す技術は学ぼうとするのに、なぜ自分と話す技術は学ばないのでしょうか? 今回は最新の研究データに基づき、誰でも簡単に「脳内トーク」を変えられる方法を、わかりやすく解説した脳科学者の西 剛志さんの著書「世界一やさしい自分を変える方法」の中からDIME読者におすすめしたいノウハウを厳選、再編集してお届けします!
「脳内トーク」の技術を駆使して、脳をよい意味で騙し、自らを成功へと導いてください。
主語を自分ではなく第3者にするだけで、脳のとらえ方が変わる
仕事でうまくいく人は、うまくいかない人と比べて「ストレスを感じにくい」というデータがあります。では、同じような仕事を体験していても、なぜ、うまくいく人はストレスを感じにくいのでしょうか。
このことを理解するために、イメージしてほしいことがあります。突然、目の前にいる人から、こんなことを言われたとします。
「過去のよくない記憶を、今すぐ思い出してください」
「これから、絶対に見たくないものを見せます。はい、どうぞ」
こう言われたら、どんな気持ちになるでしょうか。
多くの人は、不安やストレスを感じるんじゃないでしょうか。
そこで、この不安とストレスを軽減するための実験が行われました。
実験では、参加者には自分に対して次の2種類の言葉を言ってもらったようです。
A.「私は大丈夫」
B.「あなたは大丈夫」
その結果、
・Bの「あなたは大丈夫」と2人称で自分に声をかけたグループのほうが、不安の感情がより落ち着いた。
・脳画像の分析から、「私」と1人称で言うよりも、「あなた」と2人称で言うほうが、脳内の自制心を司つかさどる部分がより活性化していた。
不安は、脳の扁へん桃と う体た いと呼ばれる部分から生まれますが、自分に向けて「あなた」と言ったほうが、扁桃体の活動がより抑えられたのです。
つまり、主語を2人称(あなた)にしただけで、ストレスが軽減されたのです。
今、目標実現とセルフコントロールの世界で注目されている考え方があります。それが、自分から距離をとるという考え方で、「セルフディスタンシング」(Selfdistancing)と言います。
このセルフディスタンシングを実現する方法として脚光を浴びているのが、「私は大丈夫」ではなく、「あなたは大丈夫」と2人称で(時には3人称で)、まるで他者に話すように自分に語りかける、「サードアイの脳内トーク」です。
サードアイの視点を持つと、外側から自分を眺めることができるため、感情をコントロールしやすくなります。
楽しい経験は、自分の視点から見たほうがより楽しさが倍増し、幸せを感じやすくなります。
しかし、不安や恐れなどマイナスの感情の場合、自分の視点から見てしまうと、その感情が大きく感じられるようになり、脳がダメージを受けます。
そんなとき、第3の目線で一歩引いて眺めることで、脳への感情の影響を少なくできるのです。
私たちは、夢に向かっていく過程で、いろいろなストレスに遭遇することがあります。
・仕事の売上げをあげようとしても作業量が多く、めいってしまう
・相手に腹が立っても、気持ちを抑えなければいけない
・たくさん努力しても成果が出ず、焦ってしまう
主観的にこれらの出来事を見てしまうと、ストレスを受けます。その結果、脳が萎縮して視野も狭まり、正しい選択ができなくなってしまうことがあります。
そんなときは、「私はがんばる」ではなく、こう言ってみます。
「あなたはがんばる!」。もしくは、「あなた」ではなく、次のように「3人称」(自分の名前、愛称やニックネームなど)を使っても効果があります。
「たける、がんばれ!」
「まさこ、もう一息だから!」
「しんちゃん、いつもよくやってるよ!」
こうした言葉をかけると、「聴く脳」が自分ではなく、他人から声をかけられるような感覚になるため、より客観的に自分を把握して、適切な行動をできるようになります。
また、イライラしたとき、怒っているときにも、「サードアイの脳内トーク」をすることで、セルフコントロール力が上がります。
「なおと、イライラしてるよ」
「みさ、今、怒っているよ」
「しおり、いつも細かいことにフォーカスしすぎ」
こう言うだけで、イライラや怒っている気持ちまで変わってしまいます。
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いかがでしたでしょうか? 成功者と呼ばれる人たちは、「脳内トーク」を意識的に活用しています。「脳内トーク」を使って、脳をよい意味で騙し、自分の常識(思い込み)を打ち破る。そして、視点を増やす 。成功者たちの多くが、 「脳内トーク」を活用して、自分を変えてきた人たちなのです。
「人生を変えるためには、大きなことをしなければならない」 、多くの人がそんな常識を信じています。しかし、研究からわかったことは、私たちは大きなことをする必要はないということでした。日々の小さなことが、物事のとらえ方や行動をはじめ、能力や性格、さらには健康、習慣、パフォーマンスにまで影響を与えるということです。そして、そのベースになるのが、 「脳内トーク」なのです。
自分を変化させて、なりたい自分に近づいていくためのより詳しいヒントは「世界一やさしい自分を変える方法」をチェックしてみてください。
「世界一やさしい自分を変える方法」
著者/西 剛志
発行/株式会社アスコム
著者/西 剛志(にし・たけゆき)
東京工業大学大学院生命情報専攻卒。博士号を取得後、特許庁を経て、2008年にうまくいく人とそうでない人の違いを研究する会社を設立。世界的に成功している人たちの脳科学的なノウハウや、才能を引き出す方法を提供するサービスを展開し、企業から教育者、高齢者、主婦など含めてこれまで1万人以上に講演会を提供。エビデンスに基づいた研修、商品開発サービスなども全国に展開。テレビやメディアなどにも多数出演。著書シリーズは海外でも出版され「80歳でも脳が老化しない人がやっていること」(アスコム)をはじめとして累計22万部を突破。
脳科学者 西剛志公式サイト
https://nishi-takeyuki.com