『ボールペン』は一般的に普及している言葉ですが、実は略語です。もともとの名称は何なのでしょうか?正式名称やボールペンが広まった時期について確認しましょう。シャープペンの正式名称や歴史、ボールペンのインク汚れの落とし方も紹介します。
「ボールペン」は何の略?
文字を書くときに使う『ボールペン』は、一般的な名称です。しかし、当たり前のように使っているボールペンには、正式な名称が存在します。ボールペンがどの言葉の略称なのか、他の呼び名についても見ていきましょう。
「ボールポイントペン」が正式名称
ボールペンの正式名称は、『ボールポイントペン』です。英語では『ballpoint pen』や『ballpoint』と呼ばれます。
一部の国や商標では『ball pen』と略されているケースもありますが、イギリスやアメリカでは『ballpoint pen』が一般的です。
ペンの先端部分にある小さなボール部分が『ボールポイント』と呼ばれているのが、名称の由来となっています。
日本で発売された当初は『ボール・ポイント・ペン』の名称が使われていましたが、国産の商品が増えるに従って『ボールペン』という名称が浸透していったと考えられます。
「バイロー」と呼ばれることも
日本ではなじみがない名称ですが、主にヨーロッパでは『Biro』や『Biro pen』という名称でボールペンが販売されています。
イギリスを中心にBiroブランドのペンが販売されており、バイローの名称がボールペンとして広まったようです。日本でも商標登録名が広まっているケースは多く、有名ブランドの名称が定着したものと考えられるでしょう。
Biroは、実用的なボールペンを開発したハンガリー人の名前です。アメリカではBiroブランドのペンが販売されていなかったことから、『ballpoint』の名称が一般的となっています。
日本に広まったのは戦後
ボールペンの実用化が行われたのは1943年です。当時は戦中でもあり、日本に広まったのは戦後になってからといわれています。
当初はアメリカ製のものが使用されていましたが、1950年ごろになると国産商品が増え、一般にも広く普及していきました。
発売当初は油性ボールペンが主流で、水性ボールペンが誕生したのは1970年に入ってからです。最近増えている『ゲルインクボールペン』は1984年に日本で発売され、世界にも普及しています。
ちなみに「シャープペン」も略称だった
ボールペンと同様、『シャープペン』にも正式名称があります。ボールペンとは開発された時期が異なり、日本に入ってきたのも比較的早い時期です。シャープペンの正式名称と、日本での流通について解説します。
シャーペンは日常的に使用される筆記具の一つですが、正式名称や日本で使用されるようになった歴史について深く知らない人は多いでしょう。シャーペンの正式名称や日本でヒ...
「エバー・レディー・シャープペンシル」が正式名称
日本で『シャープペン』と呼ばれているのは、大正時代に販売されていた『エバー・レディー・シャープペンシル』の略称です。日本語にすると『常備芯尖鉛筆』となります。
用意や支度を意味する『Ready』とはつづりが異なりますが、似た発音の『Lady』には女性という意味があり、外国の女性に愛用されている筆記具であるという意味も込められているそうです。
後に、『シャープペンシル』と呼ばれるようになり、現代ではさらに縮めて『シャーペン』とも略されています。アメリカでは『mechanical pencil』、イギリスでは『propelling pencil』と呼ばれており、国によって名称はさまざまです。
大正時代に日本初「シャープペン」が登場
日本でシャープペンを開発・販売したのは、家電メーカー『SHARP』の創業者、早川徳次です。大正初期の発売当初は『早川式繰出鉛筆』ですが、後に『エバー・レディー・シャープペンシル』に改称されています。
日本でのシャープペンの歴史は早川徳治の繰出式鉛筆から始まりますが、世界のシャープペンシルの歴史は古く、1500年代にはすでに繰り出し式鉛筆が使用されていたようです。現代と似た形のシャープペンが登場するのは1822年にイギリスでサンプソン・モーダンが特許を取得し、1837年からサンプソン・モーダン社で発売したものが最初といわれています。
アメリカでは、日本とほぼ同時期にチャールズ・ルード・キーランが『エバーシャープ』の名称でシャープペンを発売しています。
知っておきたいボールペン汚れの落とし方
ボールペンを使っていると、ちょっとしたときに衣類や家具に汚れがついてしまうことがあります。効率的な汚れ落としの方法はあるのでしょうか?基本的な汚れの落とし方と、外出先での対処法を紹介します。
ボールペン汚れを落とす方法
ボールペンの汚れがついたときは、油性と水性で対処法が異なります。油性の場合はアルコールや除光液を使うと、きれいに落とせるでしょう。
衣類であれば、汚れた部分に液体を染み込ませ、布と布で挟み込んでポンポンとたたきます。こすらずに、別の布に汚れを移すイメージで落としましょう。アルコールや除光液を使うと変質する布製品もあるため、目立たない場所に液体をつけて問題がないかチェックするのも大切です。
水性であれば、水とせっけんを使って汚れを落とせます。洗濯の前にせっけんをつけ、ぬるま湯につけながらもみ洗いをしましょう。
外出先の場合には
外出先の場合、衣類の洗濯やアルコールの準備が難しいため、応急処置になります。油性・水性どちらも、汚れを浮かせて落としやすくすることを考えましょう。
油性の場合は乾いた布を当ててトントンとたたき、汚れをなるべく浮かせておきます。こすらないよう注意し、洗剤や除菌用アルコールが使える状況であれば少量を染み込ませておくと汚れが浮きやすくなります。
水性の場合は、水だけでもある程度の汚れが落ちます。ティッシュペーパーを衣類の裏側に敷き、汚れた部分をぬらして布でたたくようにインクを落としましょう。
どちらの場合も、帰宅してからすぐに汚れ落としや洗濯をするのがポイントです。
構成/編集部