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仕事で契約書などを締結する時に使われる「ドラフト」ってどういう意味?

2023.08.08

ドラフトという言葉には複数の意味があるため、シーンに応じて使い分けが必要です。正しい意味が分からないと、トラブルに発展する可能性があります。ビジネスシーンでドラフトという言葉を使う際の、意味や必要な理由、作成の手順などを確認しましょう。

ビジネスで使用する「ドラフト」の意味

ドラフトと聞いて思い浮かべるものは、人によってさまざまです。中には、プロ野球のドラフト会議が思い浮かぶ人もいるでしょう。ビジネスシーンで使用されるドラフトの意味を見ていきましょう。

契約書や仕様書などの原案・下書き

ドラフトとは、契約書や仕様書などの原案や下書きを意味する言葉です。使用するタイミングは、打ち合わせや商談の前後が多く、「今日中にドラフトを作っておいて」というように使用します。

打ち合わせやプロジェクトの初期の段階で、ドラフトが必要になるケースが多いでしょう。『たたき台』も同じ意味でよく使用される言葉です。

ビジネスシーンでは、いきなり完成した契約書や仕様書を突き付ける状況になることは、ほぼないといえます。話し合いを進めながら内容を決めていく場合に必要になるものが、ドラフトなのです。

語源は英語の「draft」

ドラフトの語源は英語の『draft』です。元々は積み荷を引く・線を引いて描くといった意味を持ちます。線を引いて描くことが転じて、草稿・下書き・草案などの意味になりました。

英語のdraftには複数の意味があり、ビールや野球におけるドラフトも語源は同じです。ドラフトビールは液体を容器からくみ出したり、たるのふたを抜いたりする意味が元になっています。

また、draftには人を引っ張ってくるという意味もあり、野球のドラフトはこちらの意味が転じたものとされます。

契約書のドラフトが必要な理由

ドラフト原稿

(出典) pixta.jp

ビジネスシーンでは、さまざまな契約書を交わす機会があります。契約書の作成手順の一つであることは理解していても、なぜ必要なのか深く考えたことがない人もいるでしょう。ドラフトを作るのは、ビジネスを成功させる上で大きな意味があります。どのような理由で作成するのか確認しましょう。

契約内容を擦り合わせるため

契約書はいきなり完成版を提出するわけではなく、『契約当事者間で合意できる内容』を作り上げなければなりません。交渉によって契約の大枠や細かい点を詰めていくために、ドラフトが必要です。

契約の際、一方的に金額や納期などを決めても、納得できない契約当事者がいてスムーズに進まない可能性が高いでしょう。そのため、まずドラフト版を作り、お互いの認識をすり合わせる作業を行うケースが多いのです。

口頭で内容を詰めていくだけでは、細かい点で認識のずれが生じる可能性がありますが、必要事項が書面になっていれば、より具体的に内容を詰められます。

内容を修正しやすくするため

契約書は下書きの状態で内容を完璧に固めてから、本番用の書類を作成します。契約を結んでしまった後で修正箇所が見つかると、確認や押印のやり直しが必要になり、多くの手間と時間がかかりますが、ドラフトの状態であれば内容の修正が簡単です。

書類を作成する際は、認識不足などによる間違いだけでなく、単純な入力ミスや記載漏れなどが起こる場合もあります。スムーズに契約するには、不備のない完璧な契約書を作ることが必要です。ドラフトを作成することで厳重にチェックでき、ヒューマンエラーによるミスも減らせます。

社内での共有や確認のため

契約を交わす際は、現場担当者同士が内容を確認するだけでなく、上司や会社の上層部などに確認を取った上で契約を結ぶのが一般的です。ドラフトがあれば、社内での共有や確認も円滑に進めやすくなります。

自社に不利益な内容になっていないかという点だけでなく、法的に問題がないかなど、さまざまな角度から確認が必要になるケースもあるでしょう。

口頭で契約内容を隅々まで伝えるのは困難ですが、ドラフトの状態であれば確認がスムーズです。もし修正が必要な内容があったとしても、手間をかけずに反映できます。

ドラフトの作成手順

書類作成の様子

(出典) pixta.jp

初めてドラフトを作成する際は、手順を押さえておくとスムーズです。企業によってはテンプレートが用意されている場合もあるので、活用しましょう。基本的なドラフトの作成手順を紹介します。

契約内容を確認して作成

事前の打ち合わせなどで何に合意するのかを明らかにし、契約の大枠を作りましょう。大枠が決まらないと、どのような内容でドラフトを作成すればよいのか決められません。

記載する内容は期間や金額、各契約当事者の義務についてなどです。ドラフトを作成する側だと主導権を握れるので、自社に有利な内容にしやすくなります。交渉によって、少しでも有利な条件を引き出すことも重要です。

ドラフトが完成したら、社内ルールに従って上長などの確認を経て、相手方に送付します。署名や押印をするのは、正式な契約書ができたタイミングです。ドラフトの段階では、署名や押印は行いません。

コメント機能や修正履歴を使って修正

ドラフトを送信後、相手方が確認して内容に問題がなければ、そのまま正式な契約へと移りますが、修正箇所や交渉したい部分があれば、話し合って合意を形成します。

Wordなどのドキュメントファイルに搭載されている、コメント機能・修正履歴・文章の追加などを活用すると、やりとりが簡単です。お互いの合意が得られるまで、修正を繰り返しましょう。

修正依頼があった場合は、『自社に不利な内容になっていないか』『合意した内容の通りになっているか』といった点を中心に確認します。どうしても妥協できない部分に関しては、粘り強く交渉を行うことが重要です。

構成/編集部

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