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得するのは誰?ドコモの新料金プラン「irumo」「eximo」がわかりにくいといわれる理由

2023.07.10

グループ会社同士の複雑な契約はリセットが必要

房野氏:OCNのユーザーはいずれ、MNPをしてドコモの契約に切り替えることになりますか?

石野氏:いや、サービス自体は続けるので。

法林氏:いずれ移行していただくことは可能、というか。

石川氏:今、OCN モバイル ONEを契約している人は、irumoになろうと思ったらMNPする。

法林氏:だた、その施策をやるかどうかというと、そんなにやる気はない。ただ、OCNが今どれだけ帯域をコントロールして制限しているかわからないけれども、irumoはMVNOじゃなくてドコモのプランなので、一応フルでデータ通信のスピードが出るっていうメリットはある。そこは移行するメリットとしてある。

石野氏:OCNも、7月1日以降はドコモですからね。

法林氏:でもさ、どうするんだろうね。明確な発言がなかったよね。

石野氏:発表会時の発言だと、既存ユーザーを残して、徐々にドコモにマイグレーションしていくと言ってましたけど。ただ、OCN モバイル ONEはNTTコミュニケーションズ(NTTコム)が回線を借りていて、ドコモに吸収されたNTTレゾナントはNTTコムのMVNOなんです。MVNE(NTTコム)を介しているので、回線でいうとドコモから一旦、子会社のNTTコムに提供し、またドコモに戻すっていう、謎の循環取引になってしまっている。ちょっとバグった感じの回線の貸し借りになっちゃっている。

法林氏:それだったらリセットするべきだったと思う。時間をかけてもいいから。

石野氏:そうなんですよね。リセットしようと思って別のプランを出したっていう感じにもなっていたりする。

法林氏:なんとかリセットしようと思ってirumoを作ったんだけど、井伊社長に怒られて「メインブランドでやらなきゃいけない」って(笑)

石川氏:回線の貸し借りはリセットをかけるんじゃないかな。一応、料金プランやサービス的には残すけど、裏の仕組みはリセット。

法林氏:建て付けがすごく不自然な感じがするよね。

石野氏:ただ、OCNモバイルONEを直接irumoに移そうと思うと、たぶん設備構成を変えないといけない。UQ mobileが子会社からKDDI本体に吸収された時も、しばらくUQのシステムを引きずっていた。会社という枠を変えただけであって、中身はそのまま引き継いでいたような状態だったので、国際ローミングができなかったり、5Gが使えなかったりとか色々あった。それを去年の「くりこしプラン+ 5G」にした時にシステムを統合した。最初はSIMカードが変更されたり、5Gじゃないと申し込めないプランとか、1度5Gにすると元に戻せなかったりとかがあった。

房野氏:SIMカードが再発行、でしたっけ。

石野氏:途中から再発行しなくて良くなったので、システム的に何かを作ったんだと思います。最初は別々のシステムで動いていた。だから、今回のドコモのレゾナント吸収の件は、5月下旬に発表して7月1日に吸収合併ですけど、1か月ちょっとでは普通できないと思うんですけどね。

房野氏:もしかしたら、ちょっと不具合があるかもしれない?

石野氏:大丈夫だと思いますが、その辺の説明が足りないといえば足りないですよね。

ahamo「小盛り」はなぜできない?

房野氏:新プランは、なぜこのタイミングで発表されたのでしょう。

石川氏:7月から会社の体制が変わるから、それに合わせた感じじゃないですかね。

法林氏:結局はそこに行き着いちゃうよね。

石川氏:普通は発表からスタートまでもっと時間をかけてやる。7月1日というお尻が決まっていたので、ギリギリ間に合うタイミングでやったんじゃないですかね。

法林氏:ドコモの完全子会社化から順番に考えていって、着々と進めていったようには見えるけど、NTTコムをドコモ傘下にしてOCN モバイル ONEが微妙な位置づけになっちゃったなっていうことに去年ぐらいから気づいていて、手直しを始めてようやく今、できました、みたいな感じに見える。

石野氏:さらにレゾナントを吸収して完全子会社にするのは急展開だった。

法林氏:そうだね。でも、ちゃんとまとまっていない。

石野氏:急だったからでしょうね。これからちゃんとするのかなと思うんですけど。

 ドコモとしては、Y!mobile、UQ mobileの3GBプラン、4GBプランにユーザーを奪われていた。ahamoでだいぶ戻ってはきたけれど、それはY!mobileのM、Lくらいを選ぶ人たちを引き止める、また引き戻すことに成功していたのであって、Y!mobileのSプランを選ぶような人はどんどん逃げちゃっていた。そこに手を打ってきたっていうのはわかる。

石川氏:発表会が終わった後に記者が集まってドコモの人と話をしたけど、やっぱりahamoの「小盛り」を作るべきだったなっていうのが共通した意見だった。料金プランが3種類になってしまって、わかりにくいのもあるし、別にahamoに小盛りとして3GBとか5GBのプランがあれば、そこで吸収できるんじゃないの? と。帯域別で選ぶ料金プランと、使い放題が選べるプランっていう風に分けた方がすっきりしたし、ahamoのブランド力も上がっただろうし。というところなんですけど、ドコモ側は「ショップのサポートが、云々」と、ショップのサポートのために用意した、みたいなことも言っているので、なんかこう、目的を失っているなという感じがします。

法林氏:それも結局、メインブランドでやらなきゃダメだと言った武田大臣の発言があったからでしょ。ahamoは値段を下げてショップなしってことにしたけれど、ところがそこにシニア、シルバーが集まっちゃって、「ショップでサポートしてくれないのか」という文句が出て、慌てて有償サポートを追加し……

石川氏:ahamoも有償でサポートを提供しているんだから、そこに「小盛り」を作ればって思うところなんですけど。

石野氏:ただ、1つ言うと、実質サブブランドと実質オンライン専用ブランドがある中で、メインのドコモのプランがeximoに名前が変わった。ギガホの方がわかりやすいので、名前を変えない方がいいと思ったんですけど、eximoはギガホとギガライトをがっちゃんとくっ付けて、本当にワンプランになったという感じ。ドコモとしてのプランはeximoだけで、irumoとahamoはサブブランドです、と思えばわかりやすいかなと。

石川氏:ワンプランとは思えないけど。

法林氏:楽天モバイルの階段方式と似ている。

石野氏:ワンプランパクリみたいな感じ。eximoが真のドコモのプランで、irumoはOCNの派生みたいな感じで、ahamoはオンライン専用と考えると、ドコモはeximoだけって形ではある。

石川氏:そう考えると、他社より料金プランが少ないとも言えるのか。

 なんか、UQ mobileの新料金プランもスッキリしないというか。なぜ3つできた? みたいな感じになっているので、やっぱり各社、煮え切らない感じがする。いろんなユーザーをカバーしようとすると、どうしようもないんだなと。結局、自社カードの支払いと複数回線と固定回線で割引するところも、昔から何も変わっていない。逆に、楽天モバイルってすごいなと思った。「最強」ってネーミングに対しては色々クレームが出ているけど(笑)

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