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「Apple Vision Pro」で見えてきたアップルが見据える次世代のコンピューティングとは?

2023.07.09

Apple Vision Pro、結局なにがすごい?

石川氏:Vision Proが革新的なのは、手を使わなくて済むこと。今までのデバイスはコントローラーを持たなきゃいけなかった。あと、人が近づいてくるのがわかるのもすごい。いろいろな欠点が克服されている印象です。それから、今までのVR、XRグラスは、コンテンツがなかったのが弱点だったけど、Vision ProはiPhone、iPad向けのアプリも使える。NETFLIXとかDAZNも見られますからね。

房野氏:Vision Proの発表では、「Disney+」が対応していることも紹介されていましたね。

石野氏:あんなに家族向けの映画が多いディズニーが、1人向けのデバイスと協力するっていうのも面白いですよね。ユーザーの目が映像として透過しているように見えるので、周辺とのコミュニケーションは取れますけど。

石川氏:そこも欠点を克服したポイントの1つだよね。孤立してしまうのがVRグラスの弱点だったけど、これが解消されている。あと、FaceTimeみたいなコミュニケーションツールが使えるのも大きい。スマートフォンが普及したのって、LINEをみんなが使い始めて、仲間外れになりたくないからといって、スマートフォンデビューをする人も多かったので、Vision Proのようなデバイスも、〝仲間外れになりたくないから買う〟というタイミングがどこかで来るかもしれません。今の値段は厳しいけど、もう少し安くなるとか、キャリアと組んで4万4000円安くなるとか(笑)

法林氏:4万4000円じゃ動かないでしょ(笑)

石野氏:約1割引きと考えれば(笑) ただ、今の状態でセルラーを乗せてしまうと、もともと2時間しかない駆動時間が、30分くらいになってしまうと思います。

房野氏:本体が熱を持ったりはしないんですか?

石川氏:僕は40分くらい試していましたけど、熱くはならなかったですね。

房野氏:本体の質量は未発表でしたっけ。

石野氏:1ポンド前後という話ですね。

石川氏:試している時はアドレナリンが出ていたから、正確じゃないかもしれないけど、使っていて疲れる印象はなかったですよ。上にベルトがあるので、装着感もいい。

石野氏:上のベルトは賛否両論ですけどね。やめてほしいという声も聞きます。

房野氏:音質はいかがでしたか?

石川氏:めちゃくちゃいいですよ。空間オーディオ対応なので、没入感がすごい。

石野氏:「HUAWEI Eyewear」に近いですね。耳に直接イヤホンを入れなくても、指向性があるので音がしっかり聞こえる。

HUAWEI Eyewear

房野氏:使用する場所の想定としては、室内になりますよね。

石川氏:室内ですね。コンピューターとして作業したりとか、飛行機、新幹線内とか。入力は音声と、Bluetoothキーボードの接続もできますね。空間にキーボードを出す機能もあるけど、そこまでは試せませんでした。

石野氏:空間キーボードはちょっと使いにくそうですよね。

石川氏:一方でマウスはいらなくて、視線や指で操作できるのはすごいですよね。

石野氏:そうですね。世にあるVRデバイスは、まずコントローラーを握ってから装着しないといけない。そういう手間はなくて、被ったらすぐに操作ができそうなのは、素晴らしいなと思います。

房野氏:操作を覚える必要がほとんどないんですね。あとは値段が下がってくれれば……。

法林氏:値段的には、あれだけの技術を詰め込んだら、高くなってしまうのは仕方ないけど、仮に今後、状況が変わって10万円台とかになったとしても、結局必要かどうかはわからない。コンピューティングの進化の流れを見るとわかるけど、一般的な消費者がキーボードとマウスで操作をするようになって、たかだかまだ20〜30年くらい。それなのに、目の前に仮想的なディスプレイを出して、指と視線で操作をするのに慣れるのは、どれくらい時間がかかるのかという話。そんなに簡単ではないと思う。

 必要かどうか、と言っているのは、「それじゃないとできない作業があるのか」という話です。なぜキーボードとマウスを使うようになったかというと、それをしないと仕事にならないし、それをするとはるかに効率がいいからでしょう。Vision Proがないとできない仕事もあるとは思うけど、そこに今の何倍もコストをかける価値があるのか。明確な用途は今後出てくるかもしれないけど、結構難しいと思いますよ。

石野氏:1つ思ったのは、レンタルオフィスのような狭いところを借りていると、ディスプレイは置けても30インチちょっとが限界。Vision Proがあれば、複数枚のディスプレイを置いたのと同じような使い方ができるので、むしろレンタルオフィスが付加価値になるかもしれません。

石川氏:狭い家が多い日本人からすると、そういう需要があるかもね。Vision Proがあれば映画館並みの大画面を体感できるし、立体オーディオも聞ける。そこにお金をかけてもいいのかも。

石野氏:ちょっとディストピア感はありますが。

石川氏:4畳半にVision Proみたいな。

石野氏:家賃を浮かせて、その分をVision Proに回すとか。

房野氏:家から出てこなくなりそう。

法林氏:泥棒が入っても気が付かないんじゃない?(笑)

房野氏:株価を見るのとかにも使えそうですよね。

石野氏:ああ、デイトレーダーとかにはいいかもですね。

石川氏:本当に、いろんな可能性があります。iPhoneが出て、いろんなアプリ、サービスが出たように、Vision Proを見ていろいろ考えている人がいるはず。新しい使い方も今後出てくると思います。

石野氏:XR事業を展開している、ドコモの「コノキュー」はどうするんですかね。

石川氏:そうだよね。コノキューもそうだし、KDDIの「αU」もそうだけど、iPhoneのおかげでXR、メタバースの世界ができつつある。ただ、結局アプリの1つでしかないし、ハードウエアを作ろうとすると勝ち目がない。

「αU metaverse」サービス画面

石野氏:ハードルが上がっちゃった感じですよね。コノキューがVision Proキラーの製品を出せるのか。

石川氏:出さないほうがいいと思うよ。

法林氏:もともと、VRやMRにどれくらいの可能性があるのか。そこと切り離したコンピューティングならあり得るけど、今はまだ特定用途のデバイスです。

石野氏:アップルが発表会でVRという単語をほとんど出さなかったのは、そっちの分野にくくられたくないのかなと感じますよね。

法林氏:違うものだという意図は明確にあるよね。

石川氏:用途限定じゃなくて、もっと幅広いことができる。MacとiPhoneと、さらにその先のものという位置づけをしています。

石野氏:結局値段がなあ。せめて20万円台だったら飛びついたんですけどね。そもそも、ディスプレイとしても片側4K以上ですし、まだまだ歩留まりもあるはず。恐らくソニーのディスプレイですけど、ソニーが安定して供給できるのかなという疑問もあるので、高くなるのは仕方ないですけどね。

石川氏:というか、ソニーの要素が多いよね。

房野氏:センサー、ディスプレイ、カメラなどですかね。

石川氏:中にはシャープの部品もありそうだけど、ソニーとは相当べったりなんだなと思います。となると、本来であれば、Vision Proに対抗できる製品を出せるのはソニーなんだけど、ソニーがやるとPlayStationベースで、汎用性がなくなりそう。

石野氏:ただ、ソニーはそれを活かして車を作っていたりしますね。

石川氏:そう。現地に駐在する記者さんと話していたのは、アップルも車を開発していて、その技術がVision Proに応用されているのではないかと。車とVision Proの両方の企画が走っていて、車をやめた可能性があります。

石野氏:しかも、名前までソニーの車である「Vision S」にそっくりですしね(笑)

ソニー「VISION-S 01」「VISION-S 02」

……続く!

次回は、新型「iPhone 15(仮)」について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/佐藤文彦

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