連載/ゴン川野のPC Audio Lab「JPRiDE「model i ANC」で究極のサインドメイク」
原音再生からの卒業
良い音とは何か? オーディオ界の永遠の課題である。その答えの一つが原音再生である。クラシックであれば、コンサートホールと同じ音を自宅のリスニングルームに再現すること。再生周波数帯域、ダイナミックレンジの問題がオーディオ機器の進化で解決すると、次に問題になったのがルームアコースティック、つまり部屋の特性である。部屋の影響を補正してフラットにするため、グラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザーが生まれた。最初はアナログ式だったので音質劣化を招いたが、デジタル化され測定機能も内蔵、マイクを接続して部屋の音響特性を測定して、自動的にフラット化できるようになった。この技術は部屋の影響を受けやすいサラウンド再生に利用され、現在はAVアンプに搭載されている。
一方、ヘッドホン&イヤホンは耳の近くから、ほぼ直接音を聴かせるため、ルームアコースティックの問題はなく、周波数帯域とダイナミックレンジもスピーカーと比較すれば有利に再生できる。そこで、一歩先をいく個人の耳の特性をフラット化するという、パーソナライズ機能が搭載されつつある。しかし、本当にフラット化しての原音再生が理想なのかという疑問も生まれてきた。JPOPに代表される打ち込みを多用した楽曲には原音が存在せず、ライブをやったとしても、その会場にあるオーディオシステムから再生された音を聴くことになる。完璧にパーソナライズできたとしても、それはメーカーの設計した、その製品の音になるだけだ
そこでJPRiDEが提案するのがサウンドメイクイヤホン「model i ANC」である。専用アプリと組み合わせて、リスナー自身の手で、自分好みの音をメイクできるサウンドメイクを実現できるイヤホンであるという。アプリには10バンドのグラフィックイコライザーとパラメトリックイコライザー機能があり、これを使って好みの音を追求する仕組みだ。これなら個人の耳の特性もメーカーの製品の音も無関係に、好きな音が設定できる。しかし、問題になるのは自動補正ではないため、どうやって設定するかだ。
イヤホンの再生時間はANCを使わず50%の音量で7.5時間、充電時間は1.5時間
重さは5gで防水等級IPX4、コーデックはSBC、AACに対応
専用アプリ「SOUNDMake」を使って自由に設定を変更可能