リクルートマネジメントソリューションズは、2023年3月~4月に全国で開催した公開型新入社員導入研修受講者509名(調査1)、2023年2月~4月に開催したインハウス型新入社員導入研修およびWEB学習プログラム受講者1,840名(調査2)に対し、「新入社員意識調査2023」を実施。先日、調査結果を公表した。
調査1 働くうえでの意識
働きたい職場の特徴は「お互いに個性を尊重する」が10年前より21.8ポイントUP
調査1-図表1 働きたい職場の特徴
Q:あなたはどのような特徴を持つ職場で働きたいですか?
働きたい職場の特徴は、「お互いに助けあう」が昨年に続きトップ(66.4%)。「お互いに個性を尊重する」は10年前から21.8ポイントUPし、過去最高の50.7%。2010年調査開始以来で最多い回答率となった。
「お互いに助けあう」「お互いに個性を尊重する」は、他の選択肢よりも選択率が高い結果となっている。「個」が守られた中で、互いに協力しあうような繋がりを求めている傾向がある。
個性を尊重することで能力を伸ばす教育方針の影響や、SNSの発展により自己表現が強化されることにより、自己への意識が高まっていると考えられる。
「アットホーム」「皆がひとつの目標を共有している」の若手世代でも受け入れられそうな項目も近年選択率が減少傾向である。
背景として、個性を持つことが当たり前の時代で育っているため、組織のカラーに自分が合わせていくという発想自体が薄くなっている可能性が高い。
大学時代がコロナ対策期間だったため、就活もオンライン中心の世代でもあり、職場というもののイメージがつきにくいということも考えられる。
働くうえで大切にしたいことは「任された仕事を確実に進めること」
調査1-図表2 働くうえで大切にしたいこと
Q:あなたが社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?(最大3つまでの複数選択)
働くうえで大切にしたいことは、「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」が昨年に続きトップ(48.5%)。
「任された仕事を確実に進めること」(38.9%)、「新しい発想や行動で、職場に刺激を与えること」(13.8%)が過去最高。一方、「何事も率先して真剣に取り組むこと」(13.8%)が過去最低となった。
「自律」を苦手とする若手層の特徴を反映している結果となった。社会の流れとして、消費者へのパワーシフトや教育の変化などにより、自発的に行動していく経験が積みにくい。
さらに、学生時代の数年をコロナ対策のさなかに過ごしていた世代でもあるため、行動による成功体験も積み切れていない傾向もある。
「任された仕事」に対する意識は高い結果となった。この背景として、失敗への不安や恐怖が強い故、堅実に仕事を進めたい意識が強まっていることが考えられる。
上司に期待することは「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」が過去最高
調査1-図表3 上司に期待すること
Q:あなたが上司に期待することは何ですか?(最大3つまでの複数選択)
上司に期待することは、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」が昨年に続きトップ(49.5%)。わずかな差で次点となった「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」は10年前から16.3ポイントUPしており、49.1 %で過去最高となった。
これに対して「仕事に情熱を持って取り組むこと」(19.6%)が過去最低。また、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」が10年前と比較し20.6ポイントDOWNし、こちらも17.5%で過去最低に。
昨年に引き続き、上司に対しても、個性を尊重するコミュニケーションを求めている。社会全体のハラスメント意識の強まりなどにより、厳しく叱られる経験も減少し、厳しいフィードバックへの苦手意識がさらに高まっている。
新入社員は、相手に心を許すまで一定の距離を置く傾向もあるため、“情熱”という強いワードが入る項目の選択率が下がった可能性が高い。