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ありえるかもしれない未来を漫画で描く新サービス「SF漫画プロトタイピング」に秘められた可能性

2023.07.06

今後はSF志向のクリエイターのコミュニティを作りたい

すでに『SF漫画プロトタイピング』については、「モノ作りをしている人の中でもデザインや新規事業をしている人から反響が届いている」という。今後は『コミカロイド』の特徴を活かして、3Dデータの追加やカスタムも行なっていくという。

「絵を描くだけが漫画作りじゃなくて、シナリオ作り、ネーム作り、コマ割りを作る、漫画を作るための画力以外のところの障壁をどうやって取り除いていくかは今後の課題だと考えています。ただ未来を思い描くにあたっては、まずは下手でもいいから作品を作ってアウトプットしてみることも大切です。自分たちのヴィジョンを漫画で描きながら解像度を高めて、それを伝える中で未来のイメージがふくらんでいくことが大事だと思います」(石原さん)

「今回のサービスと関連して、まだ構想段階ですがSF志向のクリエイターのコミュニティ・ネットワークを作っていこうと思っていて、8月にはリアルイベントを開催予定です。SFのコミュニティは非常に歴史のあるものが多いですが、「スペキュラティブデザイン」をやっている人たちはそういったコミュニティに属している人が少ない。これまでSFのくくりに入っていないけどSF的思考をしているクリエイターは多いので、そういう人たちが集まれる場を作って私たちのパートナーになってほしいと考えています。」(原さん)

これまでも多くの漫画作品が未来を描いてきたが、企業が考えるプロダクトやサービスを取り込みながら新しい世界観を描く『SF漫画プロトタイピング』は、新しい漫画表現としても大きな可能性がありそうだ。

ロフトワーク/MVMNTユニットリーダーの原亮介さん。関西のファッション/カルチャーマガジン編集長、ロボットテクノロジー関連ベンチャー、戦略PRコンサル会社を経て2014年6月よりロフトワーク所属。ロフトワークは、オープンコラボレーションを通じてウェブ、コンテンツ、コミュニケーション、空間などをデザインするクリエイティブ・カンパニー。デジタルものづくりカフェ「FabCafe」、素材の新たな可能性を探求する「MTRL(マテリアル)」やクリエイターの共創を促進するプラットフォーム「AWRD(アワード)」なども運営している。

『コミカロイド』を提供しているComicaroidの石原航さん。「ありえるかもしれないインターネット」をテーマにさまざまな作品、システムを制作・開発しながら新しいアバター観やデジタルコミュニティの可能性を思索・研究中。Ars Electronica 2019 Future Innovatorに選出。主な受賞歴にWIRED Creative Hack Award 2021 準グランプリ、同賞2018特別賞、Campus Genius Contest 2019 審査員特別賞など。石原さんは、『SF漫画プロトタイピング』について「スペキュラティブデザイン」を意識しているという。「プロダクトを起点に、社会・⽣活・倫理に与える影響と変容した世界を考えることで、⼈々の価値観の変化や問題提起をうながせると思います」

『SF漫画プロトタイピング』
『ロフトワーク』公式サイト
『コミカロイド』公式サイト

取材・文/久村竜二

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