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ありえるかもしれない未来を漫画で描く新サービス「SF漫画プロトタイピング」に秘められた可能性

2023.07.06

半導体メーカーのインテルによる新規技術・製品開発の発想法として2013 年に紹介されて、⽇本でも新事業や製品のイノベーション創出の⼿法として注目を集める「SFプロトタイピング」を漫画で展開する『SF漫画プロトタイピング』のサービスがスタートした。「SFプロトタイピング」は、SF(サイエンスフィクション)の発想や世界観を使ってアイデアを飛躍させて今後あり得るかもしれない未来を構想・試作しながらプロダクトやサービスを組み立てていくやり方。例えば今までなかったようなガジェットやデバイスを日常で使うようなシチュエーションを考えて、そこでどんなことが起こるかをSF作品として描いて新しい発想の製品を生み出していく。

さらに「スペキュラティブデザイン」も注目を集めている。これは未来を考えるきっかけとなる作品を提供して、それをさまざまな人が鑑賞することで既成概念を超えたありえるかもしれない未来を思索していく問題提起型のデザイン。これらを新しいビジネスの思考法として取り入れている企業がロフトワークだ。新規プロダクトやサービスの支援・コンサルティングを手掛けるビジネスを行っており、2020年頃から未来の社会や⽣活で⽬指す将来像から逆算し、10年後、5年後、1年後に何をするかを考える「SFプロトタイピング」のプロジェクトを⼤⼿企業やスタートアップ企業と行っている。

「ロフトワークは、デザイナーの思考法からサービスやイノベーションを作ることを手がけてきました。デザインによって課題は解決できると考えていますが、課題が見つけにくい現代ではSF的な柔軟な思考を通じてサービスやイノベーションを考えることで、先の未来が描けると考えて新サービスを構想しました」(ロフトワーク/原亮介さん)

⼀般的な「SFプロトタイピング」は、テキストベースの小説形式で制作されることが多く、SF小説などに慣れていない人に的確に伝えることが難しいため、社内外の関係者にプロダクトの構想が自分たちの思っている解像度で伝わらないことが多かったという。そういった部分が漫画表現を活用することで補完されているのが、ロフトワークと漫画を制作できるプラットフォーム『コミカロイド』を開発・提供するComicaroidが共同で進めている『SF漫画プロトタイピング』だ。

3Dデータを活用できる『コミカロイド』だから実現可能なサービス

『SF漫画プロトタイピング』の漫画作りで使われる漫画作成用ツール『コミカロイド』は、3Dモデルや画像などのさまざまなデータを漫画調に変換して組み合わせることで、絵⼼がなくても漫画を作れるサービス。漫画に必要なコマ割り、セリフ配置、イラスト⽣成、作品公開のすべてが『コミカロイド』で完結するのが大きな特徴だ。

「絵が描けないけど漫画を作りたいという思いから『コミカロイド』を開発しました。イラストレーションではなくCGで漫画を作るツールなので、絵が描ける人は別の漫画作成ツールの方が使いやすいと思います。一方でCADのような3Dツールを普段から扱っている人にとっては使いやすいツールだと思います。スタッフにもCGアーティストが多いです」(Comicaroid/石原航さん)

「『コミカロイド』は、例えば未来の車をクライアントと考えたとして、その車の3Dモデルがあれば簡単に作品の小道具として取り込むことができるので、作品にその車を登場させて世界観をイメージしやすくできます。特にメーカー系の企業は、VRやAR、メタバースなどで活用するための3Dデータを持っていることも多いので、『SF漫画プロトタイピング』の導入もやりやすいと考えています。3Dデータは企業の資産だと思いますが、それに物語を付与することで資産価値をさらに上げることができます。また『コミカロイド』に作品をアップロードすれば、ほかの人が自分の漫画で利用する素材としてインポートできるので、ファンが素材を起用して新しい物語を創り出すことも可能です。そういった二次創作でユーザーが新しい使い方を考えることも『SF漫画プロトタイピング』を広げていく効果になるとも思います」(原さん)

実際に制作された作品は、テキストベースのものより漫画表現を使うことでアイデアやコンセプトがビジュアル化されて分かりやすく、社内外の人から共感を得やすくなるという。漫画の特徴である細やかな表情やコマ割り表現などによって、世界観や物語をテキストベースより容易に伝えることができて議論を起こしやすい。漫画が得意とするギャグ的要素や遊びの部分などを加えることで、作品全体を柔らかい印象にすることもできる。サービスとしては、新規事業のヴィジョンや制作を手伝うヴィジョニング受託型とSF漫画をアウトプットまで作りたい人に向けた研修・ワークショップのような形でサービスを提供する2パターンを想定しているという。

「未来のプロダクトを想像の起点にして、それが利⽤される世界観やシチュエーション、プロダクト周辺で起こり得るストーリーを描きます。こちらで作品作りをする場合は、要望にもよりますが物語を伝えやすい32ページぐらいのショートストーリーを想定しています。ストーリーとしても面白く読めるようにして、各コマに注釈を入れるなど追加情報を加えることでわかりやすくすることもできます。大事なのは関係者がヴィジョンを共有して未来の解像度を上げることだと考えています。SFなので科学的な裏付けを説明することもありますが、それはあくまでも作品のリアリティを高めるためのひとつの要素であって、大事なのはその世界観に没入してインスピレーションを得られるようにすることです」(石原さん)

実際に『コミカロイド』の漫画制作では、素材となるビジュアルを3Dデータで用意できれば、それを直感的に動かしながら絵作りができる。イラストを描けない人でもコマを区切って、その中に絵とセリフの入る吹き出しなどを配置していけばページは作成できる。ただコマ割りなど漫画作りのルールを理解していないと読みやすい作品を作るのは難しい部分もあるので、その点はロフトワークとComicaroidがサポートしてくれるという。プロダクトの説明だけでなく、ギャグ的要素や世界観に入り込みやすい仕掛けも組み込んで作品作りをしているという。

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