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「製作委員会方式」はもう古い?世界が注目する日本のアニメや製作形態の変化

2023.07.04

日本のアニメ界で製作委員会が普及したのは『新世紀エヴァンゲリオン』がきっかけだった?

ここで、日本のアニメ界で製作委員会が普及した背景について少し触れたいと思う。

日本のテレビアニメの金字塔といわれるのは、いわずとしれた手塚治虫原作の『鉄腕アトム』だ。1回30分のアニメを毎週連続放送する手法は世界でも初めての試みだったという。

制作会社は手塚治虫氏が設立した「虫プロダクション」。スポンサーは「明治製菓」一社だったが、タイアップ商品の販売や海外への輸出などキャラクター版権ビジネスの手法も取り入れていた。

その後1990年代前半まで、テレビアニメの資金調達の手法といえば「広告収入方式」が主流だった。放送局がアニメの放映権を買い、広告収入を得て、製作はアニメ制作会社が行う方式だ。その場合、作品の版権はアニメ制作会社が単体で保有する。ただし、放送局が製作にも携わる場合は共同で保有することもある。例として、テレビ朝日系列で1979年から今も放送が続いている国民的アニメ『ドラえもん』(初アニメ化は1973年/日本テレビ系列)などがある。

長編アニメ映画では、製作委員会方式がとられることはあった。1980年代に公開された『風の谷のナウシカ』や『AKIRA』、1991年に公開された『アルスラーン戦記』などが製作委員会方式をとっていたことは有名だ。

しかし日本のテレビアニメ界に製作委員会方式が広く普及するきっかけになったのは、1995年~1996年にかけて夕方30分枠で放送されたテレビアニメ版『新世紀エヴァンゲリオン』だったといわれる。

『新世紀エヴァンゲリオン』は当時のテレビアニメでは異例のブームを起こした作品だ。テレビアニメ放送当時の話題性の高さや関連グッズの売り上げを含め、商業的に成功した代表例としてしばしばとり挙げられる。昨年2021年には完結作である『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇(EVANGELION:3.0+1.11 THRICE UPON A TIME)』も公開され大きな話題になった。

そんな『エヴァ』の成功例を見た企業が次々にアニメ産業に参入し、スポンサー候補として名乗りを上げたことで、1990年代後半からは深夜時間帯を中心にアニメ放送枠が急増したという。結果、「製作委員会」という出資形式がテレビアニメ業界で広く認識されるようになったというのが一般的な見解になっている。

製作委員会方式が問題視されるのはなぜなのか?

アニメ業界とは切っても切り離せないように思える製作委員会方式だが、制作側の待遇の話になると悪のように扱われることも多い。

製作委員会方式が問題視されるのはなぜなのだろうか?

理由の1つは、製作委員会方式のメリットの裏側にある。

製作委員会方式のメリットは利益や権利を共有しながらリスクを分散できることだ。しかし裏を返せば、アニメが当たったとしても個々の企業は出資比率に応じた分のリターンしか受け取ることができない。さらに、もし製作委員会にアニメ制作会社が参加していない場合はそのリターンも受け取ることができない。

あくまで制作費としての報酬は支払われるが、作品に対して版権があるわけではない(製作委員会のメンバーではない)ため、作品がヒットしたからといって比例して収益が膨らむことは一般的にはないのだ。これが「アニメがヒットしても現場(制作会社)は儲からない」といわれる大きな要因だ。

他にも多数の企業が製作に関わるネックとして、チャレンジがしにくいという点がある。企画会議などでプレゼンをしたことがある人であれば分かると思うが、プレゼン相手が増えれば増えるほどこちらの思うように意思を統一させるのは難しくなるし、不思議と斬新な意見になるほど却下されやすくなる。赤字を出したくないのは誰もが共通認識だとは思うが、決定権を持つ他人同士が多数集まると保守的な意見の方が主導権を握ってしまいがちなのだ。

例えば最近のテレビアニメで多いネット無料配信の手法などは、従来の製作委員会方式では嫌がられることが多かったという。

製作委員会として複数企業が携わることで、個性的な戦略の実行や尖った作品作りが難しくなることがあるのだ。結果、プロジェクトのスピード感が出にくくなったり、制約を気にするあまりファンの納得するクオリティのものが作れなくなるというのが、製作委員会方式のデメリットとしてよく挙げられる内容だ。

もちろんプロジェクトの方向性や携わる企業の方針にもよるのでこの限りではない。しかし原作付きのアニメに対して「製作委員会が関わったから作品がつまらなくなった」という口コミが上がるのにはこういった背景があるケースが多い。

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