相続手続きは一生のうちに何度も起きるものではないため、初めて手続する人は何から始めればいいのかわからず、途方に暮れてしまうかもしれない。
そこで鎌倉新書が運営する相続に関する情報サイト「いい相続」は、「第1回相続手続きに関する実態調査(2023年)」の調査結果を発表したので、これから相続手続きする人や相続手続きについて不安がある人はぜひチェックしてみてほしい。
相続財産の総額は1,000万円未満が最多!被相続人は約7割がおひとり様
相続財産の総額について質問をしたところ、「1,000万円未満」が39.8%で最多。次いで「1,000万円以上~2,000万円未満」、「2,000万円以上~3,000万円未満」「5,000万円~1億円未満」と続いた。
また、相続人が都内在住だった場合は、「2,000万円以上~3,000万円未満」が20.9%、「4,000万円以上~5,000万円未満」と「5,000万円~1億円未満」が同率で18.6%となった。
相続財産の種類についての質問では、「土地・建物」が89.8%、「現金・預貯金」を保有している人が69.0%という結果に。相続財産の過半数が土地や現金であることが判明した。
また少数ではあるが「電子マネー(Suicaなど交通系、WAONなど流通系、PayPayなどQRコード系など)」のデジタル遺品があったことも明らかに。
相続人の続柄について質問したところ、最も多い回答は「子」で79.3%、次いで「配偶者」32.8%、「兄弟・姉妹」が11.0%、「姪・甥」と「父・母」が同率で7.3%となった。
また、相続人が「姪・甥」と答えた人に「被相続人は配偶者・子どもがいないおひとり様(*)か」という質問をしたところ、「はい」の回答は69.0%であった。
(*) 亡くなった時点で配偶者がおらず、生涯子供がいなかった人
今回の調査では、おひとり様のおじ・おばの手続きをしている甥・姪が一定数いることが判明した。
専門家に依頼した手続きで最も多いものは「遺産分割協議書の作成」、手続き費用は56.5%の人が30万円未満
実際に専門家に手続きを依頼した人に依頼した手続きの種類を質問したところ、「遺産分割協議書の作成」が最も多く70.9%という結果に。次いで多かったのは「不動産の名義変更(相続登記)」で64.2%、「戸籍収集」が60.4%であった。
注目すべき点は、半数の人が「相続関係説明図の作成」依頼しているところ。「相続関係説明図」とは亡くなった被相続人と各相続人がどのような関係性にあるかを一覧にした表である。
相続登記や、預貯金口座の名義変更などの相続手続きでは、手続きの都度たくさんの戸籍謄本が必要になり、その度に、戸籍謄本を取得するのは非常に手間がかかる。相続関係説明図を作成すると、戸籍謄本の原本を還付してもらえるので集めなおす必要がなくなるのだ。
また、手続きにかかった費用についての質問では56.5%の人が「30万円未満」と回答。一方で「相続税申告あり」と回答した人の中でみると、「30万円未満」と回答した人は28.5%で「90万円以上」と回答した人が21.5%であった。
さらに相続手続きを進めるにあたって大変だったことについての質問では「何をどう進めるべきかを理解するための情報収集」が54.3%で1位、「必要な書類が多かったこと」が52.8%で2位、「手続きのために時間が取られたこと」が43.0%で3位となっており、「金銭的な負担が発生したこと」の28.0%を大幅に上回った。「費用」よりも「労力」がかかることが大変だったようだ。