近年、企業は従業員の睡眠の質向上や悩み解決のために、ただの福利厚生的な意味合いにとどまらず、プロジェクトを行うなど、大々的な取り組みを行っている。そうしたなか、複数企業が集まる、とあるコミュニティが積極的に働き方改革を推進する動きがある。
今回は、キリンホールディングスをはじめ、乃村工藝社や日本マイクロソフト、Panasonicを含む22社が参加する異業種連携によるミレニアル世代の働き方改革推進コミュニティ「MINDS(マインズ)」の注目すべき取り組み内容を紹介する。
MINDSとは?
MINDSは、「Millennial Innovation for the Next Diverse Society」の略称で、各企業より有志のミレニアル世代が集まったコミュニティ。新たな働き方の提言・実践を目指す。2019年1月に発足し、2023年5月時点で22社が参加している。
「すべての個人が自分らしく働く社会を実現する」をミッションに掲げ、「業界、会社の枠を超えたミレニアル世代から多様性ある働き方を日本社会に浸透させる」とのビジョンのもと、さまざまなプロジェクトを実施してきた。
例えば会社の枠を超えた複数企業間での社外インターンシップやワーケーションをテーマにした取り組みがある。
●立ち上げのきっかけ
MINDSが生まれる契機となったのは、企業の一般的な健康経営施策と、ミレニアル世代が日々行う健康行動に「ギャップ」を感じたことにあったという。
MINDS健康経営プロジェクトリーダーを務めるキリンホールディングス株式会社 人財戦略部の根津拓登氏は次のように語る。
「現在、社内健康診断の実施や禁煙のサポート、生活習慣改善セミナーなどの施策が、多くの企業で実施されています。その一方で、人々は自身の摂取栄養素を可視化し、不足分をサプリメントで補ったり、限られた時間で最大の睡眠効果を得るために自身の骨格に合ったマットレスを使用したりと、健康行動も多様化しています。また、それらの行動はただ健康になるためでなく、パフォーマンス最大化や美容促進など、理想の自分を追求する行動にもつながっています。
こうした個人の生活に合わせ、企業が多様なサポートを行うことで、これまでにないレベルで従業員のパフォーマンスが最大化し、エンゲージメントが向上している。そんな世界を造りたいと考えています」
睡眠の質とビジネスパフォーマンスの相関関係を検証
そして2023年4月末から新たに始まったのが、睡眠に関するプロジェクトだ。
株式会社ブレインスリープ、株式会社ユーグレナと共同で睡眠の質とビジネスパフォーマンスの相関関係の検証を実施する。
きっかけとなったのは、NTT東日本グループが中心となって立ち上げた睡眠共創コミュニティ「ZAKONE」での3社の出会いにあったという。
「副業やサードコミュニティへの参加も一般化しつつあり、自身のキャリアや会社の未来のためについつい頑張りすぎてしまうミレニアル世代が多いように感じます。私の場合は主にライフステージの変化から、睡眠時間の確保をおろそかにしてしまいがちでした。MINDSに参加するメンバーでディスカッションをした際も、十分に睡眠を取れていると答えられるミレニアル世代は限定的でした。一方で、社会では科学的根拠とともに睡眠の重要性が認められてきており、自身の睡眠習慣やビジネスライフに疑問を感じるようになりました。そんなときに睡眠共創コミュニティ『ZAKONE』を見つけ、睡眠習慣改善についてヒントが得られるかもしれないと思い、同じ想いを持つミレニアル世代の仲間とコミュニティに参加し、ブレインスリープ社・ユーグレナ社と意気投合してこの企画が始まりました」