最高裁判所のジャッジ
最高裁
「ガッデム!」
こわっ!(写真はイメージですどう考えても)
最高裁
「高裁は間違ってるね」
「会社が『一部は別の時期にしてくれない』と命令したことはOKです」
ーーー 日本語お上手ですね。なぜですか?
最高裁
「休暇が長期であればあるほど、会社としては調整が難しい。なので長期連続の有給取得をOKとするかどうかは会社の裁量に委ねる部分が大きいからです。まぁその裁量判断は合理的に行使しないとダメだけどね」
ーーー 今回、会社の命令は合理的ですか?
最高裁
「合理的だね」
〈理由〉
・Xさんの担当分野は科学技術。専門的知識が必要な分野だった
・なので代わりの人員を見つけることはカナリ難しかった
・人員配置も別におかしくない
(単独配置、かけもち配置は経営上やむを得なかった)
・1ヶ月も休むのにXさんは会社と十分な調整をしなかった
・会社は「ムリ!」と断ったわけではなく「2回に分けてくれないか」と配慮している
というわけで、Xさんが逆転敗訴となりました。
▼ 雑感
さすがに今回のように1ヶ月は厳しいにしても、1週間〜10日連続くらいなら有給ゲットできると思います(職種によりますが)。それで【事業の運営を妨げる】認定されることは少ないんじゃないかと。
▼ 番外編
あなたの会社は有給とりやすいですか?「グフフ…有給をとりにくくしてやる」と悪だくみしてる会社もあるかもしれません。コチラもどうぞ
マメ知識
以下は有給マメ知識です。2つお届けします。
1. 有給とるのに理由はいらない
上司
「有給とって何するんだ?」
林
「テメェに関係ねーだろ!」
「モルディブに行くんだよ!」
これでOKです。有給をとる理由を説明する必要はありません。最高裁がそう言ってるからです。
年次有給休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは使用者の干渉を許さない労働者の自由(全林野白石営林署事件:最高裁 S48.3.2)
2. 会社の承諾も、いらない
部長
「有給とりたい?どうしよっかなぁ〜。キミの頑張りを見てから決めるよ」
林
「部長、冗談は顔だけにしてくださいね」
これでOKです。有給って、労働基準法39条の条件を満たしていれば「とりますね」でOKです。会社の承諾なんか、いりません。これもさっきの最高裁が言ってます。
会社の承認の観念を容れる余地はない
(by サイコー裁)
(有給を取るための条件についてはココで書くと膨大になるのでググってみて下さいね)
■ 例外
会社が「その時期はちょっと…」と考えた時には「その日は無理だからこう言う時期にしてくれないかな?」とお願いしてくることはあります(時季変更権〈労働基準法39⑤〉)。
今回の事件がコレですね。
まぁ会社の「その日は無理」の立証レベルは相当なものが要求されますが。
もし会社から「その日は無理」と言われたら、こう切り返してみましょう。
あなた
「私が有給をとることで【事業の正常な運営を妨げる】のでしょうか?(労働基準法39⑤)。その日の私の労働が業務の運営にとって不可欠であり、かつ、代替要員を確保するのが困難であることについて詳細な説明をお願いします」
会社は「ウッッゼ!」と思うでしょうが、有給をとりたければ実践してみてください。納得のいく詳細な説明がなければ、労働局に申し入れてみましょう(相談無料・解決依頼も無料)。
労働局からの呼び出しを会社が無視することもあるので、そんな時は社外の労働組合か弁護士に相談しましょう。
今回は以上です。これからも働く人に向けて知恵をお届けします。またお会いしましょう!
取材・文/林 孝匡(弁護士)
【ムズイ法律を、おもしろく】がモットー。
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