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説明できる?ビジネストレンドワードになったESGの「G」Governanceの意味と使用事例

2023.07.03

銀行と預金者を例に取ると理解が進むガバナンス

【ガバナンスのとらえ方(戸村版)】ガバナンスとは…

「経営陣が株主や従業員などを含めた相互牽制機能・監視機能の下で企業経営を委任され代理的に経営・運営・統治する仕組み」

上記を踏まえて、以下に、「銀行と預金者」という身近な例をもとにして、ガバナンスをわかりやすくかみ砕いて戸村版の解説をお届けしますね。

【銀行と預金者を例にしたかみ砕いたガバナンス(企業統治)の解説例(戸村版)】

<銀行と預金者(または貯金者)の関係って…>
・銀行は預金者からお金をお預かり・お借りして、
・銀行はそのお金を戦略的・効率的・健全に運用してリターンをあげ、
・銀行はそのお駄賃として頭取をはじめとする役職員の報酬・賃金をそのリターン総額から頂戴し、
・銀行は預金者に元本とリターンとしての利息をご提供・お返しする

ということで、銀行は経済活動を行っていて、銀行が我田引水で預金者に不利益なことをしれっとさせることのないようにしなければならない(フィデューシャリー・デューティー)し、預金者のお金を着服・横領したりして私腹を肥やすことは許されない(預金者の人権・財産権を犯すことは許されない)し、集めた大量のお金で社会の害悪となる行為に手を貸してはならない(マネーロンダリング対策やESG投資として良き取り組みをする企業には良き投資を、そうでない企業やシェアハウス詐欺など不正を働く企業などには積極的に手を差し伸べるべきではない)ということになります。

ここで、「銀行」を「企業」に、「預金者」を労働者に、それぞれ置き換えてみると、以下のようになります。

<ガバナンスを銀行と預金者(または貯金者)などの関係性からひも解いてみると…>

・企業は労働者から労働力というリソースをお預かり(お借り)し、
・企業は株主から資金というリソースをお預かり(お借り)し、
・社会というマーケットや経済活動のフィールドという「お金儲けをする場」をお借りして、
・企業の経営陣はそれらのリソースを戦略的・効率的・健全に活用してリターンをあげ、
・企業の経営陣はそのお駄賃として役員報酬をリターン総額から頂戴し、
・企業は労働者に賃金・ボーナスなどを労働力の対価としてご提供・お返しして、
・企業は株主に資金提供の対価として配当をご提供・お返ししてて、
・企業は社会という「お金儲けの場」をお借りした対価・「世の中家賃」として、企業の社会的責任(CSR)やESG・SDGsの側面で本業を通じた良き取組みによる社会問題解消のお役に立つという社会へのリターンをお返し(恩返し)しつつ、
・不正や不透明なことであらぬ懸念やご迷惑をおかけしないようお借りする方々に納得いく透明性ある説明責任を果たしていけるようにする(勝手気ままに借り物を都合よく扱って良いわけではない)

つまり、ガバナンスは人や世の中からの「借り物」「お預かり物」を、しっかり安全・大切に保管・活用しながら、社会にとって良き行いをしつつ、不明朗・不透明・恣意的・濫用的なこともないようにしながら、会社も役職員も社会もともに幸せになりあう取り組みです。

銀行が、預金者から大量にお預かりしたお金を、詐欺集団や反社会的勢力などの人権侵害をする集団に対して、積極的に資金提供したり悪事を働く機会や場を与えたりして、預金者や社会に害悪を及ぼしてはならないのと同様に、企業が労働力・資金力・影響力(優越的地位の濫用なども含めて)などを、不正行為・人権侵害行為・社会的な悪影響を及ぼす活動を助長することがあってはならない、ということになります。

以上のようなことを踏まえて、語弊も誤解も恐れず(!)シンプルに戸村流にまとめてみますと、「ESGのG:ガバナンスとは、企業が役職員も社会も環境にも良き取り組みを通じて、お互いに幸せになりあえるようにする経営姿勢や経営体制を備えて説明責任を果たせるようにすること」というようになります。

ちなみに、内部統制についても併せて同様に戸村流にまとめておきますと、内部統制は、そもそも問題が起こりにくくする取り組み、とか、健全に儲け続けるための仕組み、とか、みんなで作ったルールをみんなで守りあう取り組み(内部統制というより内部「自治」といった方がそぐわしいと私は思っています)、ということができます(ルールの中に法令などに加えて自主基準やガイドラインなどのソフトローも含みます)。

――なるほど!銀行の事例はとても分かりやすかったです。もうガバナンスが出てきても恐れません!ガバナンスの意義を知ると、よりその重要性が理解できるような気がします。ESGについての理解も一歩進んだような気がします。戸村先生、ありがとうございました。

なお、次回はGPT研究所を立ち上げた戸村先生に、DXの本命・ゲームチェンジャーとなるChatGPTなどの生成AI(ジェネレーティブAI)について聞いてみた。「部門別のかしこい活用術」や、うのみにしないで対応する「GPT監査」(©戸村先生の造語)とリスク対策など、より便利に使えるツールとしてのChatGPTとは何かを深掘りしたい。

戸村 智憲(とむら とものり)先生
日本マネジメント総合研究所合同会社 理事長
早大卒。米国MBA修了。米国の博士後期課程(Ph.D)中退。国連の専門官として活動し、民間企業の役員レベルでは人事総務統括や監査統括、経営行動科学学会の理事や岡山大学大学院の非常勤講師として教鞭、上場IT企業の顧問・アドバイザー・ソフトウェア監修や、JA長野中央会の顧問なども歴任。Google元社長との国際会議場での人工知能特別対談や、世界初でリスク管理指標KRIの提唱をはじめ、日本発・世界初の取り組みも多数。指導内容は基本的に自ら実践してお届けするスタイルにて、経営者として1年間の育休も取得し、現在も育児・家事・仕事に取り組み中。NHK「クローズアップ現代」やフジテレビ「バイキング」などTV・ラジオ出演や雑誌寄稿・連載など多数。米国連邦航空局自家用飛行機パイロット、第一級小型船舶操縦士、第三種放射線取扱主任者資格、テロ対策国際ライセンス、公認不正検査士(CFE)なども保有。
戸村先生のプロフィールや世界初の取り組みや幅広い活動の詳細などは、下記URLのページをご参照下さい。
URL:https://www.jmri.co.jp/tomura.html

文/柿川鮎子

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