全国に210店舗を展開し(2023年6月時点)日本一の店舗数を誇る業界最大手そばチェーン店「江戸切りそば ゆで太郎」。
茹でたての蕎麦はもちろん、ミニのり弁などバラエティ豊かな丼ものも魅力の人気店だ。
そんな「ゆで太郎」が先日SNSで大きな話題になった。その発端は魅力的なメニューではなく、なんと「福利厚生が凄すぎる」という意外なもの。
その名も「奨学金支援制度」。大学進学などの際、奨学金を利用した社員の負担を軽減するため、最大144万円もの奨学金を代理返還するというかなり嬉しい制度だ。
これまでは給料に上乗せして支給していたそうだが、代理返還制度を導入したことにより税金が上乗せされないメリットがあるという。
これは、未来を担う若手社員にとってはありがたい。
そして実はココに、ゆで太郎躍進の秘密があるのではないか?筆者はそう思った。
というのも、老舗大手から新興勢力まで、立ち食いそば店は今、群雄割拠の時代。ゆで太郎は後発組でありながら、名代富士そば、小諸そばと並ぶ3大チェーンの地位を確立している。
「ゆで太郎」の破竹の勢いの源が知りたい!
そこで今回、手厚い福利厚生の秘密と共に急成長の秘訣を伺おうと、
株式会社ゆで太郎代表・池田智昭氏に話を聞いた。
–奨学金の代理返還制度を始めたきっかけから教えてください
「弊社では2015年10月より実施しているんですが、きっかけは新入社員との食事会でした」
「若手社員に『普段何を食べているのか?』と聞いたら、多くがカップ麺や冷凍パスタだったんです。正直、飲食業界で働いているんだからたまには外食もするようにとアドバイスしたんですが、お金がないと言われてしまって」
–自分も経験あります。安さこそ正義みたいな感じでした(笑)
「ですよね。そこで彼らに、『何にお金を使っているのか』を聞いたところ、奨学金を返済しているからお金がないんですと。それを機に奨学金について調べてみたら、約半数の学生が借入をして入社時に平均300万円の借金を背負っていたことが分かったんです」
「これはなんとかしなければと思い、まずは最大月3万円(上限が返済額まで)を3年補助し、計108万円。3年間の賞与を貯めれば3年で完済できるという設定で、3年3万円の奨学金補助制度をすぐ導入しました」
これは仕事が早い。しかもそのきっかけが「社員との食事会」。職場の上司との会食を敬遠する人も多い昨今だが、どこに幸せが潜んでいるか分からない。
速攻すぎる英断で「ゆで太郎」は補助制度を経て、今年から奨学金支援の代理返還制度を導入。最大月15,000円を8年間、最大144万円にグレードアップした。
ただ、ゆで太郎の本気はこれだけでは終わらない。