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相手が誰だかわかっているけど住所がわからない場合でも訴訟できる?

2023.07.05

2. 公示送達後、相手方欠席での審理の進み方

被告に対して訴状の公示送達がなされた後は、通常の民事訴訟と同様に審理が行われます。被告は欠席を続ける可能性が高いですが、原告は自らの請求について主張・立証を行います。

なお公示送達の場合、被告の擬制自白※は成立しません(民事訴訟法159条3項)。

※擬制自白:相手方の主張事実を争うことを明らかにしない場合は、原則としてその事実を自白したものとみなすルール(同条1項)

したがって、原告は自らの主張する事実を立証するため、十分な証拠を提出する必要があります。

裁判所が心証を固めた段階で判決が言い渡され、判決書は被告に対して公示送達されます。

掲示開始日の翌日に公示送達の効力が発生し、さらに控訴期間の2週間が経過すると判決が確定します。

3. 判決確定後の強制執行に関する注意点

原告は、請求を認める内容の確定判決を用いて、裁判所に強制執行を申し立てることができます(民事執行法22条1号)。

ただし強制執行を申し立てる際には、対象とする被告の財産を特定しなければなりません。被告の住所もわからない原告は、被告の財産を把握していないケースが多いです。

被告の財産がわからない場合は、執行裁判所に「第三者からの情報取得手続」を申し立てることが考えられます(同法204条以下)。

登記所・被告の勤務先・金融機関などから、被告の財産に関する情報を得られる可能性があります。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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