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中小企業の本質的なDXを実現する注目キーワード「BPaaS」とは?

2023.06.26

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

中小企業の本質的なDXを可能にする「BPaaS」とは

2010年の労働基準法改正で、長時間労働の是正を目的に、月60時間以上の時間外労働に対する割増率が25%以上から50%以上へと引き上げられた。割増賃金率の引き上げは大企業のみの適用だったが、2023年4月からは今まで猶予されていた中小企業も割増賃金率の引き上げが施行。中小企業の経営者においては人件費の増加を回避するため、業務の効率化や労働生産性をあげることが急務となっている。

ビジネスチャット「Chatwork」を提供するChatworkでは、DXが進まない中小企業に対し、SaaSのようにソフトウェアを提供するのではなく、業務プロセスごと巻き取り、顧客に代わりSaaSを駆使する、DX 実践を導く新たなビジネスモデル「BPaaS(ビジネス・プロセス・アズ・ア・サービス)」を提唱。

複数のSaaSやITツールを利用し、業務効率化した上でサービス提供していることから、ITツールへの知見やノウハウの少ない企業でも、間接的にSaaSを利用でき恩恵を受けられる。

ITツールを使いこなすことができず、DXを諦めてしまう中小企業も多い中、単にSaaSを提案するだけでなく、課題領域ごとに支援することで、スピード感を持った業務の遂行が可能になる。次世代型アウトソーシングサービスとしてBPaaSは成長が期待されている。

「労働人口の約7割を占める中小企業では、労働生産性の長期の伸び悩みが、低労働生産性の根本的な要因になっていますが、ここに目を向けられていない実情があり、背景には経営規模が小さい、非効率、ITリテラシーが足りないといった構造がありました。

コロナ禍以降、中小企業でもDX化は待ったなしの状況ですが、中小企業のDXの実態は投資体力・投資意欲が薄く、ますます格差は広まる傾向にあります。中小企業にはDXに関わる人材が不足しているのが大きな課題で、92%以上の中小企業がDXに取り組めていないのが実情です。

そこで我々は中小企業に対するBPaaSを進めることにしました。自分たちの主戦場ではない業務をすべて巻き取って、DX化を進めるというアプローチにしないと、根本的な解決できないと考えたのです。これを我々は『本質的なDX』と呼んでいます」(Chatwork 取締役COO 福田升二氏)

ChatworkではBPaaSの仕組みを使った「Chatwork アシスタント」を正式リリース。BPaaSにより、業務プロセスの構築、運用を代行し、業務関連SaaSと自動化エンジンを連携して、間接的なSaaSの利用を可能にする。

JFL(日本フットボールリーグ)に所属するサッカークラブ「Criacao Shinjuku(クリアソン新宿)」では、会計管理ツールなど複数のSaaSプロダクトを利用し、経理処理を行っていたが、 Jリーグ入りを目指す中、経理業務の透明性を上げることが求められていた。

また、最適利用のために複数プロダクトを利用していることから、データのインポート・エクスポートなどの作業工数が重なり、月に約40時間を作業に費やしていた状況だった。

難易度が高く、柔軟性も求められる業務のため、社内で引き継げる担当者がおらず、経営基盤業務を預けられる信頼のおける企業へのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を検討。「Chatwork アシスタント」を導入したところ、月当たり約30時間の業務巻き取りに成功、工数が削減され、約10時間で毎月の経理業務を終えられる状態に改善された。

「経理業務の透明性は非常に重要である一方、会社のコア業務にはなりづらく、今後も見据えて外部の力を使うことを検討していました。複数社で検討したところ、経理業務実務経験者の安心感、翌月への繰り越しといった契約の柔軟性、打合せ時の担当者さんの対応の良さにも魅力を感じ、『Chatwork アシスタント』にお願いすることにしました。

約1か月で予定の引継ぎをほぼ終え、次の月からはほぼ伴走なしに取り組める状態になるなど、担当者さんの理解度も早く、想定より順調に進められています。現在は経理実務者との接点だけですが、今後は請求担当者などとのやり取りも増やしていきたいと考えています」(Criacao Shinjuku 選手 兼 執行役員 経営企画室長 原田亮氏)

【AJの読み】顧客に代わりSaaSを使いDXを推進することで中小企業のDX化を後押し

ビジネスチャットは普及率が18%以上となり、主戦場は全体の3分の2を占めるマジョリティ市場へ移行しつつあるという。

Chatworkでは、数年に渡りDXソリューションビジネスを推進した結果、マジョリティ市場に位置するユーザー(中小企業)は現場仕事に追われることが多く、ITに詳しい社員も少ないため、使い勝手が異なる多数のSaaSプロダクトを使い分けることは困難と認識するに至った。その結果生まれたのがBPaaSだ。

SaaSを提案するだけのDX化とは異なり、業務プロセスごと巻き取り、顧客に代わりSaaSを使いDXを推進する「本質的なDX」で、マジョリティ市場DXの本命を狙う。

「ChatGPTに代表されるLLM(大規模言語モデル)ベースの革新的な技術進化により、AIを使った高度な文書理解や多様なタスク実行が可能になりました。

チャットの価値が大幅に向上し、過去のメッセージデータを学習させた文面生成や要約、AIとの対話機能など、AIの急激な変化を活用したサービスも現在検討しています。

また、BPaaSの展開においても、ユーザーとの対話や依頼実行をAI化することにより、劇的な生産性の向上が可能になり、BPaaSは今後一気に加速していくと考えています」(Chatwork インキュベーション本部 ビジネスユニット ユニット長 兼 DXソリューション開発部 マネージャー 桐谷豪氏)

文/阿部純子

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