MNPワンストップ申請の影響はどう出るか
法林氏:MNPワンストップ申請が始まったけど……本当に読めないんですけど、MNPが導入された2006年と同じことが起きると思うんです。言われるほどキャリアを移らない感じがずっと続いている。
房野氏:私もそんなに変わらないと思っています。
法林氏:先日、キャッシュレス決済のことを話していた時に、au PAYの方が便利そうだからauに移ろうという人はいないというような話になった。楽天のサービスを使っているから楽天モバイルにした人はいたけれど、その人たちは大量に元に戻る感じになっちゃったわけでしょ。そう考えると、キャリアを移る理由には何があるのかと考えてしまう。だから、MNPワンストップでこれから大変だとは言っているけど、ユーザーの心理として、そんなに移る意識があるかなって疑問に思っている。もちろん、移りやすくなっているのは事実。
石野氏:解約率は、どこも上がってますが。
法林氏:それはMNPで端末をタダ同然で欲しいからだよね。
石川氏:そういうユーザーはキャリアにとって大した収入にならないから、自由に動いてください……と思っているはず。そうじゃなくて、クレジットカードや電気を契約し、固定回線も契約してくれる人を集めたい。そういったロイヤルカスタマーを囲い込みたいので、UQ mobileであればトクトクとかミニミニが効いてくる。つまり、他社に移行されなければいいという考え方もできるので、ahamoと同じような設定にしておけばUQ mobileからahamoには行かない。そういう「逃がさない」料金プランの作り方だと思います。
石野氏:MNPワンストップでユーザーが動きやすくなるので、囲い込みを強くしておこうかなっていう意図は感じましたね。
房野氏:KDDIはauとUQ mobileと、どっちで契約してほしいのでしょうか。
石川氏:そりゃauです。
法林氏:どのキャリアも1番上のブランドにいてほしい。
石川氏:UQ mobileがいうには、UQはahamoのような「大盛り」はやらないつもりでいると。本当に大盛りが必要であればauに行ってくださいっていうような考え方なんです。
法林氏:ユーザーの動向は1つじゃない。十人十色どころじゃない、1000人1000様ぐらいの話。それに対応できるような料金プランを作っているので、だから僕は結局のところ、ユーザーはあまり動かないと思う。石川君が言ったようにロイヤルカスタマーを増やしたい考えがあるのは確かにそうだと思うんだけど、でも、そう言うほどキャリアはユーザーに動かれることに恐怖感を抱いているだろうかとも、ちょっと思っている。「守るくらいだったら獲得に行く」みたいな感じにも見える。
石野氏:確かにそうですね。解約率が昔に比べると結構上がってきているんですけど、みんなあまり気にしてないというか、よりたくさんユーザーを獲得して、出ていく分を上回る数にするという感じがあります。
法林氏:「MNPの人だけ端末が1円です」みたいにして取りに行っているけど、それはビジネスとして本当においしいのかって疑問に思うし、取り合いをする場所はUQ mobileやY!mobile、楽天モバイル、ドコモだったらahamo。でも、dカード ゴールドを持って5Gギガホを契約している人、au PAYカードを持ってALL STARパックを契約しているようなロイヤルカスタマー層は安泰。これをいかにして広げるかに注力している。取り合いをしている第2グループの方をどうしようかというのが今の争いのような気がします。