ahamo&楽天モバイル対抗のUQ mobile新プラン
石川氏:5月24日から乗り換え先のキャリアに申し込むだけでいい「MNPワンストップ」が始まるタイミングで、UQ mobileも新料金プランの「コミコミプラン」「トクトクプラン」「ミニミニプラン」を出した。楽天モバイルとahamoを相当意識したプランです。説明会で、UQの人が何度も何度も「楽天モバイルとahamo」と言っていた。今まであんなにY!mobileを意識してきたのに。
石野氏:povoがかなり独特なプランなので、UQ mobileで対抗せざるを得なかったという側面があるのかなと思いました。povoってやり方がかなりフリーダムじゃないですか。1年間で120GBとか90日で1GBとか、もう、やりたい放題やっている。一般的なユーザーにとって理解しにくい中で、KDDIはahamo対策のワンプランを出したかったから、UQ mobileでこういう新プランを設定したんだろうなと思いました。ただ、ちょっと思い切りが悪いというか。
石川氏:ミニミニも出したり。
石野氏:トクトクも出したり。
石川氏:わかりにくい。
房野氏:UQ mobileの新プランを軽く説明しますと、コミコミプランは1か月20GBのデータ容量と10分以内の国内通話かけ放題がセットになった3278円のプラン。トクトクプランは15GBで、データ利用量が月1GB以下の場合は自動で1080円割引となる3465円のプラン。ミニミニプランは4GBで2365円のプランです。
トクトクプランとミニミニプランは固定回線やauでんきを契約した際の「自宅セット割」と家族割引の「家族セット割」を適用できます。データ容量のくりこしにも対応しています。私、コミコミとトクトクを間違えるんですよね。
法林氏:あれねぇ、過去のやり方だよね。やめた方がいいと思うな。
石野氏:2020年末でしたっけ、大炎上したauの「with Amazonプライム」の料金プラン発表会を思い出しました。
石川氏:相変わらずクレジットカード払いと回線セットで割り引くっていうわかりにくさ。
石野氏:UQ mobileって、反省に基づいて「くりこしプラン」はすごくシンプルになったじゃないですか。S/M/Lで割引も自宅セット割だけ、みたいな感じですごくわかりやすかったのに、今回、コミコミとトクトクは正規価格が値上げになっていて、家族セット割を付けると前の「くりこしプラン+5G」と同じ金額になる。自宅セット割だと前の自宅セット割適用とほぼ同じ金額になる。なんか回りくどい。割引のパターンが増えて、割引を何も付けないと前より高くなっちゃう。ちょっとKDDIの悪い癖が出てきているプランという感じがしました。逆に、コミコミプランはahamo対抗で、すごくわかりやすくなっているんですよ。
法林氏:たぶん、ahamo対抗、楽天モバイル対抗でコミコミプランをやりたかっただけだと思うんですよ、本来は。
石野氏:そう思います。
法林氏:だけど「世間の値上げタイミングに合わせて、料金を値上げしておこうか」みたいな話がたぶんあったんじゃないかな(笑)。だって、僕は絶対S/M/Lはやめない方がいいと思ったもん。
石川氏:多くのユーザーって、他社との料金を比べたくても、容量とかが同じ条件じゃないとわかりにくいんですよ。個性的なプランを出しても、結局各キャリアとも最終的には似通ってしまうことを繰り返している。たぶん今は業界的にというか、注目がahamoに集まっているからahamoに寄せた方が戦いやすい。10分かけ放題を付けた方がahamoよりお得に見える、金額を比較するとUQ mobileの方が高いんだけど……というような方向転換があったんだと思います。
石野氏:方向転換したものの、「Y!mobileにもまだちょっと対抗しておこうかな」という欲が出てわかりにくくなった。
石川氏:これって、KDDIが抜けられない二番手の悲哀なんですよ。上を見つつ下も見なきゃいけないから中途半端になっちゃう。楽天モバイルみたいに割り切ることもできない。
房野氏:S/M/Lを残したままコミコミプランだけ加えるってことはできなかったんでしょうか。
法林氏:それが1番良かったと思う。トクトクとミニミニはいらないんですよ。
石野氏:それだとたぶん離脱率が上がると予想したんだと思います。くりこしプラン+5Gって非常に解約しやすいんですよね。自宅セット割だけだし、もう2年縛りもないし、いつでもポートアウトできる。MNPワンストップ対策もあるのかなと思いました。
房野氏:MNPワンストップと、UQ mobile、Y!mobileの契約者数が近いことを考えると、今回のUQ mobileの料金改定は、対Y!mobileであるべきなような気がしちゃいますが。
法林氏:ただ、ある程度のデータ容量を使うユーザーがいる。楽天モバイルがつながりにくいエリアの人は、楽天モバイルとの契約を敬遠する。その人たちが20GBプランとしてahamoを選んでいるので、対抗したいという気持ちがあると思うんですよ。
房野氏:povoで対抗ではなく?
石野氏:povoはフリーダムなので。
法林氏:povoはどちらかというとパートタイム的な使い方。マーケットが全然違う。auで対抗しようと思うのかUQ mobileで対抗しようと思うのかっていう時に、「UQ mobileで20GBがよくないですか?」ってことでコミコミプランを作っているんですよ。問題はトクトクとミニミニがなぜできたのかが読めないこと。意図が不明なんですよ。
石野氏:まぁ、儲けたいと(笑)。全体として今、データ使用量が増えてきてARPUも上がってきている状況になっている。そういう状況の中で、ここはARPUを上げていくチャンスだと考えたんだと思います。もともとUQ mobileってプランSとMの利用率は高いんですけど、Lはすごく低かったんです。「なんでこんなにLは魅力がないんだ」ってことでリニューアルして、ahamo、楽天モバイル対抗のプランにした。「あと2つ、SとMはどうしようかな」っていうところがあって、改悪しちゃいましたと(笑)。「バランスをとった」という言い方をしていましたが。
法林氏:元々のS/M/Lは、データ容量の繰り越しができることによって、あまり使わない人にとってはまぁまぁの容量のプランになってくれる(笑)。たぶんKDDIは、本当はやめたいんだろうなということを、なんとなく感じました。
石野氏:あまり儲からないので、本音としてはやめたいんだろうなって。
法林氏:たぶん、その意図はあった気がします。
石野氏:「やめない代わりにがっちり縛らせてもらうよ」っていうポリシーの表れ。