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【ヒット商品開発秘話】シリーズ累計108万本以上売れているベルクのエナジードリンク「BARK」シリーズ

2023.06.18

■連載/ヒット商品開発秘話

 疲れたときや気合いを入れたいときに飲むものとして定着したエナジードリンク。有名ブランドをはじめ様々なものがコンビニやドラッグストアで販売されているが、最近好調な売れ行きを示しているのが、ベルクの『BARK』シリーズである。

 ベルクは埼玉県を中心に関東全域に130店舗以上を構えるチェーンストアで、『BARK』シリーズはベルクのプライベートブランド(PB)『くらしにベルク』の商品。2021年12月に発売され、2023年4月末時点でシリーズ累計108万本超を販売している。

『BARK』シリーズは、1本当たりのカフェイン量が一般的なエナジードリンクより多い100mg配合していることと、価格が1本107円(本体価格99円)と低価格であることが特徴。現在『BARK』『BARK ZERO』『BARK Queen』の3つをラインアップしている。

2021年12月に発売された『BARK』

日本にもヨーロッパ並みに安いエナジードリンクを

 企画の始まりは、2018年に視察でヨーロッパを訪れたことにあった。ヨーロッパはエナジードリンクが豊富に取り揃えられている上に日本円にして1本100円以下と安価。それに対し当時の日本は、ヨーロッパほどエナジードリンクが豊富とはいえず価格も1本200円近くするものだった。

 日本でも市場を拡大してきたエナジードリンクであったが、価格は手頃とは言えない。ヨーロッパ並みに1本100円以下で買えるエナジードリンクをつくり、いつかベルクで販売することを考えるようになった。

 具体的に動き始めたのは2021年に入ってから。ベルクでは2020年からPB商品の展開に力を入れるようになり着々とアイテムを増やしてきたが、『BARK』シリーズもこの流れの中でつくられることになった。

 しかし、すでに様々なエナジードリンクが販売されている中で、どのような商品づくりを目指したのか? 食品・酒部 バイヤーの桑原誠氏は次のように話す。

「お客様が気にするカフェインとアルギニンの量については、カフェインは人気有名ブランドと同等、アルギニンは人気有名ブランドより多く配合することにし、ナショナルブランドに見劣りしない中身をつくることを目指しました」

 実際のところ、1本250ml入りの『BARK』シリーズは100ml当たりでカフェイン40mg、アルギニン167mgを配合。とある人気有名エナジードリンクの100mlと比べ、カフェインは同量だが、アルギニンは多くなっている。

ベルク
食品・酒部 バイヤー
桑原誠氏

「安いのに美味しい」を意識

 味はエナジードリンクでは「王道」と言われる味にすることは決めていたが、実際には複数のフレーバーを試作。比較検討の末に納得いくものができるまでには時間を要した。桑原氏は次のように明かす。

「まずはソーダ味やライム味などフレーバーは数種類つくりました。試作は9回ほどつくり試飲を重ねましたが、PBはなかなか認知されづらいところがあるので、原点に立ち返るという意味で(エナジードリンクでの)王道の味に絞り込まれ、つくり込んでいった結果、現在の『BARK』の味になりました」

 味が決まったのは2021年7月。最初の試作が2月にできたので、結局5か月ほど要している。早ければ1か月程度で味が決まることがあることから見ると、味づくりにやや時間がかかった。

「時間をかけるつもりはありませんでしたが、こだわってつくり込んでいったら時間がかかってしまいました」と振り返る桑原氏。100円以下で販売するので、「安いからこの程度の味」ではなく「安いのに美味しい」を意識してつくっていたので、味づくりは自ずと力が入った。

デザイナーのこだわり100%を表現したパッケージデザイン

『BARK』シリーズはPB商品にしてはパッケージデザインが凝っている。「PB商品は簡素なデザインになりがちなところがありますが、デザインにもこだわり話題性の高いものをつくることにしました」と桑原氏は話す。

 デザインを担当したのは社内のデザイナー。桑原氏によれば、デザイナーはエナジードリンクの愛飲者で、以前からエナジードリンクを手掛けみたいという強い願望を持っていた。

 デザインはデザイナーが実際に飲んだ上で桑原氏とディスカッションを行ない、イメージを固めてつくり上げていった。その上でデザイナーが提案したのは、現在採用されているもののみ。これに対し桑原氏が要望したのは、「色を濃くしてほしい」といった程度であった。

 全体的にキレイであること、濃いブルーはカラフルな棚の中でも目を惹くといった点が桑原氏の気に入ったところ。「良くも悪くもPBらしくない」と評する。社内に対しても「これでいきます」と通し、認めてもらった。

 デザイナーのこだわりがほぼ100%表現されたパッケージデザインは、オオカミが吠え続けるところをイメージしてつくられた。英語で吠えるという意味のBARKを商品名にしたのもこのイメージからで、発売後に店頭で掲示されたPOPのデザインもこのイメージに沿ったものがつくられている。

発売を告知するPOP

 戦う、吠えるは『BARK』シリーズのコンセプトにも用いられている。コンセプトフレーズは「今の時代、いろんな事に対し戦う=吠え続けることが大切」である。

人気ブランドと店頭でコラボ

 人気が高いとある有名エナジードリンクのベルクでの年間販売量を年間目標にしていたこともあり、売れるかどうかが心配だった。だが、心配は杞憂に終わった。売れ行きは予想をはるかに上回り、販売開始から1か月で初回生産量のほぼ全数を出荷。1週間ほど、出荷停止措置を取らざるを得なかったほどだった。

 販促では、有名なエナジードリンクブランンドと店頭でコラボした。

 まず発売当初、『Red Bull』との対決をRed Bullと共同で実施。両方手に取って飲み比べてほしいという意図で実施したが、店頭ではどちらを選ぶかを問いかけるような対決の図式で見せ、来店客の注目を集めることにした。

 結果は、『BARK』の方が『Red Bull』より3倍から4倍近く多く売れた。「Red BullユーザーがBARKも手に取って飲んでいただけたり、BARKにブランドをスイッチしていただけたりしたと思われます」と桑原氏は話す。

「あなたはどっち派?」と問いかけ火ぶたを切った『BARK』と『Red Bull』の対決

 また、『ZONe』ともコラボ。『ZONe』の公式アンバサダーのぞん子と、ベルクの公式キャラクターのベルクックがそれぞれの商品をラップで盛り上げる動画をつくりYouTubeで公開したほか、Twitter上でのキャンペーンも実施した。

 このほかには、ブランドイメージや商品訴求する動画をYouTubeにアップしたり店内で流したりしたほか、ブランドイメージに沿ってつくったPOPのような店内掲示物を制作。マーケティング部が中心になり、打ち手を講じていった。

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