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企業と社会の成長に欠かせない「パブリックアフェアーズ」は失われた30年から脱却するキーワードになるか?

2023.06.25

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

パブリックアフェアーズ(Public Affairs)は、組織や企業が社会的な問題に対して意見を形成し、良い方向へ変えるための活動で、政策立案や実施に関する戦略的な活動などを指す。一般的には、組織や企業の利益や社会的価値を理解してもらうために政府に働きかけることで、規制緩和などによりビジネスの機会を図っていくことを目的としている。

国会議員秘書、官僚、広告代理店、国際機関等の経験を持つ多様なメンバーが揃う「Next Relation」は、企業のパブリックアフェアーズ活動をサポートする事業を行っている。

Next Relation代表取締役CEOの小野寺浩太氏も、通算で5年半、国会議員の秘書を務めた経歴を持つ。同社主催のセミナーにて、日本ではあまり浸透していないパブリックアフェアーズについて小野寺氏が詳しく解説した。

【小野寺浩太氏 プロフィール】
国会議員公設秘書を経て不動産テックの東証プライム上場企業「Robot Home」に転職。公共政策部門責任者として、不動産、金融、テクノロジー分野での政府渉外活動に従事。「不動産取引の全面電子化」を掲げた、DX不動産推進協会の設立と運営を主導し、不動産取引の電子化解禁に寄与。外部環境構築の重要性を痛感した経験から“ルールメイキングのイノベーション”をミッションとして、2022年にNext Relationを設立した。

パブリックアフェアーズの重要性とは

日本ではまだパブリックアフェアーズは黎明期と言われており、様々な定義付けがあるが、当社では「企業や組織が自らを取り巻く事業環境を把握して自身をより良い方向へ変えるための経営手法」と定義している。類似の言葉としてロビー活動、ガバメントリレーションズ(GR)が使われているが、当社ではパブリックアフェアーズは、ロビー活動、GR、公共戦略、広報・PR、経営企画、CSR、IR、マーケティングなど経営戦略の全コマンドを包括する上位概念、経営手法そのものだと謳っている。

政策決定は、表向きは政治家や官僚が主導しているように見えるが、調整役として多くの業界団体、各企業の国会担当、渉外担当といった人たちの動きが作用している。

私自身、議員秘書時代は各企業から陳情を受け取る側、転職後は不動産関連の行法の法改正に向けて業界団体を立ち上げて政治に届ける側と、双方の立場を経験してきた。

行政と連携したビジネスというと、従来は公共工事のようなイメージをお持ちの方も多いと思う。現在は様相が変わり、「BtoG(ガバメント)市場」は23兆円の市場規模ともいわれている。toGへのアプローチが始まっている中で、行政側と民間側の互いのプロトコルが違っているため、連携がうまくいかない等の課題を解決していく手法がパブリックアフェアーズといえる。

かつては一度作ったビジネスモデルを取り巻く環境は10年、20年と変わってこなかったが、コロナ禍に伴う働き方の変化、ウクライナ情勢に代表される安全保障の変化、チャットGPTの登場など、外部環境の急速な変化により、社会変革のスピードが非常に加速している。

そのスピードは確実に加速しており、企業は外部環境の変化に対応して経営戦略を策定・実行していく必要があり、そのためにこそパブリックアフェアーズで外部環境を分析して、自社の先行した利益を得られるようなアップデートが必要となってくる。

新しい市場創出につながる、社会課題の解決に寄与する商品やサービス、それを裏付けるテクノロジーがあっても、DXが登場する前の時代に作られた規制が障害となって社会実装に至っていないケースもよくある。

イノベーションの社会実装に必要なことは2つある。ひとつはテクノロジーの発達・進歩、もう一つが、規制、緩和、消費者保護、世論の醸成といったルールメイキング。規制等の障害に対応するだけでなく、自らがルールメイキングに関与していくことが必要になることもあり、こうした取り組みを行う企業の成長が社会の持続的成長につながる。このような世界観を実現するためにも、パブリックアフェアーズが重要になってくる。

ルールメイキングには政策動向調査が重要だ。従来の定量的アプローチに加えて、政策は定性的な情報が多いので、政治的要因を分析していくことで外部環境の変化、ルールメイキングの視点をつかんでいくことが肝要。定性的アプローチとしては、霞が関、永田町のキーマンを把握する、ウォッチの対象として政府与党内の部会や検討会、ワーキンググループをリサーチしていくのが重要な視点になってくる。

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