日系企業にとって、インドネシアは巨大市場である。
2億5,000万の人口を抱えている上、国民平均年齢も若い。インドネシアの実体経済を牽引するのはミレニアル世代とZ世代。流行を作り出しているのも、もちろん彼らだ。
そんなインドネシアの若年層から見て、日本はある種の「流行発信地」である。故に、日本のコンビニで売られているものがインドネシアのコンビニでも広く売られているということもある。今回は分野を食品に絞り、「インドネシアで成功を収めた商品」について解説していきたい。
高校生を虜にしたポッキー
日本人なら誰しもが知っているお菓子、グリコのポッキー。
この商品自体は、スハルトが大統領を務めていた時代からインドネシアで売られていた。が、2012年頃までは決して有名な商品ではなく、せいぜい「外国の美味しいお菓子」くらいの認識しか持たれていなかった。
それがスマートフォンという文明の利器で大きく変わった。
2010年代の中頃まで、インドネシアで最も普及していたスマホはBlackBerryだった。しかし、中国や韓国のスマホメーカーの台頭で流行の機種はAndroid OSのものに置き換わっていく。
そしてAndroidスマホにはローエンド機種というものがあるため、BlackBerryやiPhoneよりも遥かに低価格で入手することができる。
高校生が自分専用のスマホを所有することは、もはや珍しくなくなった。グリコはそこに目をつけたのだ。
若者に人気のSNSを駆使してポッキーのPRを行い、同時に赤く塗装したワゴンを都市部の高校に向かわせた。つまり、学生たちの「おやつ需要」を狙ったということだ。
@DIMEの読者の中にも、高校時代に帰りの通学路でお菓子やコロッケを買い食いしたという経験を持つ方もいらっしゃるだろう。インドネシアのポッキーも、それと同じ立ち位置である。
この商品は、今ではIndomaretやAlfamart等の大手コンビニに常時陳列されるようになった。日本と同様、普遍的でありふれたお菓子になったのだ。それはもちろん、商業的成功を意味している。