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営業損失4928億円、楽天モバイルの赤字が楽天グループの財務に与える影響

2023.06.14

カード、銀行、証券など私たちに欠かせない存在となっているのが、楽天グループだ。

最近矢継ぎ早に資金調達を発表している楽天グループ、実際財務状況は大丈夫なのだろうか。

楽天グループのモバイル事業が赤字続き

楽天グループは、高還元の楽天ポイントを武器に、楽天カード、楽天市場、楽天証券、楽天銀行、楽天モバイル等の楽天経済圏を築き、その中で消費することでお得に生活することができるため、楽天ポイント経済圏は1億人超と日本最大級の利用者となっている。

ネット専業銀行で預金残高トップの約9兆円、ネット証券でも口座数は768万口座(2022年3月末)とSBI証券に次ぐ第2位となっている。

グループの楽天市場もコロナ禍でも巣ごもり需要により好調、最近では旅行需要の復活から楽天トラベルも復調、2023年12月期売上高は過去最高となりそうだ。

しかしながら、2021年7月にS&Pにより「投資不適格」のBB+に格下げ、さらに2022年12月にはBB(+がなくなる格下)に引き下げられた。社債などを投資するのに適しているとされているのが、格付の高い順にAA、A、BBBまでだが、BB、B、Cは財務が悪化しており投機的な投資となる投資不適格とされている。

売上高が好調な楽天グループがなぜこのような苦境に陥っているかというと、モバイル事業の先行投資による赤字だ。

財務悪化の要因となったモバイル事業

楽天モバイルは、2014年にMVNOとしてスマホ事業を開始した。

スマホは、通信基地局から通信基地局を通して無線通信することで、相互間の通信を可能としており、その通信基地は、ビルの屋上や鉄塔に設置されている。MVNOとは、通信設備を他社から借りて格安なスマホプランを提供することをいう。

さらに、総務省より2018年4G周波数、2019年5G周波数を割当てられMNOとしてもスマホ事業を開始した。MNOとは、大手キャリアドコモ・au・ソフトバンクのことをいい、MVNOと異なり自分で通信基地局を設置することをいう。

MVNOは他社の回線を借りるため通信設備にかかるランニングコストを負担しなくて済むため、スマホ利用者の料金を引き下げ、格安スマホとして一定数の人気がある。

しかしながら、楽天モバイルは、MVNOのみではなく、MNOとしてモバイルサービスを提供することを利用した。それは、MVNOの欠点にある。MVNOでは、利用者が増え、規模が大きくなるとその分他社から借りなければならない回線が増え、利用者が増えるほど利幅が減ってしまう。そのため、楽天モバイルは将来的に大手キャリアに並ぶ通信会社となるために、自前で通信設備を用意して、MNO業者になることを選択したのだった。

MNOは自前で基地局設置をする必要があり、楽天モバイルにはMNOとして事業開始にあたり基地局がなかったため、莫大な先行投資が必要であった。当初事業を開始した2019年ごろには、2023年にモバイル事業を黒字化するとしていたが、実際には難しかった。

2022年12月期の楽天モバイルは、通信料金無料期間終了(2022年10月末まで無料キャンペーンが行われていた)により売上が前年度比1,411億円増の3,686億円であった。

一方、基地局設置の先行投資で損失が嵩み、4,928億円の損失計上となった。楽天グループ全体の損失も3,728億円赤字と他のセグメントの利益では補いきれなかった。

また、2023年12月期予想においてはグループ全体で損失が縮小予定ではあるものの、1,700億円の損失が計上予定で、未だ赤字だ。グループ全体の赤字は2019年から318億円、2020年1,141億円、2021年1,338億円と2022年までで6,575億円もの損失だ。基地局設置の設備投資は累計で1兆円を超えている。

さらに、楽天モバイル元部長らによる約300億円の不正請求も発覚し、100億円もの実損が出た。

財務改善のため資金調達

上記は、楽天グループの2023年12月期第1四半期のB/Sだ。

赤字が続くと、資本の部の利益剰余金(これまでの利益の蓄積)がマイナスとなる。

2023年第1四半期で利益剰余金は3,709億円ものマイナスとなっている。利益剰余金がマイナスとなっても直ちに債務超過となるわけではないが、このマイナスが大きくなり資本の部全体がマイナスとなると債務超過となってしまう。また、単純に借りたお金(借入金、社債等)を返せないことでも債務超過となることもある。

楽天モバイルの赤字はすぐに解消されるものではなくその金額も大きいことから、このままだと債務超過になってしまう可能性も出てきた。

そこで、楽天グループは財政安定化のため、資金調達をすることとなった。

特に資本の部を厚くするため、5月に公募増資、第3者割当てを行い資本金と資本剰余金の部分を増やした。第3者割当てでは、三木谷社長(資産管理会社)が300億円を出資しており、フォーブスによる日本長者番付2023年で、楽天の創業者である三木谷社長の資産額は5,060億円だ。

資本の面では増資により安心感は出たが、今後の社債の償還には注意が必要だ。

上記をみると、社債が2024年から次々と大きな単位で償還となる。

S&Pの格付がBBとなっていることから、長期の債券発行は難しく、短期でも適用金利を大幅に高くしなければならないかもしれない

2023年3月期時点で金融業以外の有利子負債は1兆8,214億円まで膨らんでおり、償還にあたって新たな社債を発行できるか、きちんと償還できるかを注視する必要がある。

なお、楽天グループに万が一が起きた場合には、銀行預金は預金保険機構が保障する1,000万円まで、証券会社に預けているものは分別保管されているため全額保護される。一方、直接投資している楽天グループの株式や債券は損失を被る可能性がある。

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