DIME MAGAZINE
【伝わるメール】書いた文章は読みなおして必ず推敲
――具体的でとても参考になります！最後にビジネスシーンで「伝わる言い方」を身に付けるポイントなどがあれば教えてください。（伝え方に自信の無い人向けのアドバイスをお願いいたします）
小川さん 「伝わる言い方」で大切なのは、「相手の立場に立って書く」「相手の立場に立って言う」ことです。『社会人になったら読む文章術の本』では、制作の過程で現役ビジネスパーソン223人を対象にメールに関するアンケートを取りました。そして、「イラっ」とさせるメールの共通点を洗い出してランキング化しました。
1位は「自分都合、一方的なメール」で、2位は「余計なひと言のあるメール」でした。
いずれも、メールを書く前に「相手の立場に立って書く」ことを意識すれば、イラっとさせずに済むと思います。
多少稚拙でも、多少間違った文法の文章であっても、相手への配慮がある文章であれば、相手をイラっとさせずに、伝わりやすくなります。
まずは相手に配慮する。その上で正しく伝える文章作法を身に付ければ、より伝わりやすい文章になるでしょう。
――相手に配慮した文章を書くにはどのようにすればいいでしょうか。
小川さん 書いた文章を読みなおして推敲をすることです。推敲とは「より良い文章になるように練り直す」ことです。
書いたメールやビジネス文章は書いたらすぐに送るのではなく、必ず、最低でも一度は読み直すようにします。そのときに「この文章を自分が受け取ったときに不快にならないか」を確認します。
もちろん、誤字や脱字、内容の間違いがないかもチェックします。
推敲するときの文章のチェック項目
□誤字（変換ミス）・脱字（書き落とした文字）はないか。
□内容に間違いはないか。
□論理は破綻していないか。
□文章はシンプルになっているか。
□余白があるか。
□不快感をともなう表現、差別用語を使っていないか。
□主語と述語の関係は正しいか。
□表記は統一されているか。
『小説家を見つけたら』というアメリカ映画では、隠居している小説家（ショーン・コネリー）が作家志望の高校生（ロブ・ブラウン）に次の言葉をかけます。
「考えるな、考えるのは後だ。まずはハートで書く。そしてリライト（推敲）には頭を使う。文章を書くときは考えずに書くことだ」
推敲の大切さに気付かせてくれる台詞です。
映画を観ていて自分の気づきになる台詞に出会えると本当にうれしくなります。
――ありがとうございました！
改めて伝えることの大切さを感じさせられたと同時に、映画の見方も学ぶことができた。特にメール遂行のチェック項目はプリントアウトしてデスクに貼りたい。
小川 真理子さん
株式会社文道取締役。編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。日本女子大学文学部(現人間社会学部)教育学科卒業。編集プロダクションにて、企業PR誌、書籍の編集・ライティングに従事。その後、フリーランスに。現在はビジネス書、実用書などの編集・執筆に携わる一方で、約30年のライター経験の中で培ってきたスキルや心構えを伝えたいと思い、ライティング講座にも注力。学生や社会人、ライター志望の方々に対して、執筆指導を行っている。共著書に『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』『「話し方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』『「勉強法のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』（日経 BP）、自ら企画編集執筆に携わった本に『親が倒れたときに読む本』（枻出版社）がある。猫を2匹飼っている。
文/柿川鮎子
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