【伝える書き方】文章で上手に伝えるコツは「とにかく書く」
――このほど(株)文道の藤吉豊先生と共著で「社会人になったら読む文章術の本」(KADOKAWA刊、定価1500円+税)を発刊されました。この新刊書でも相手に上手に伝えるコツについて紹介されていますが、楽しく映画を見ながら勉強する方法はありますか?
小川さん 文章上達のコツは、「とにかく書く」ことです。でも、苦手意識があると、「書く」こと自体ハードルが高い。そんな方々におすすめしているのは、型を使うことです。『社会人になったら読む文章術の本』でも、「書き方のテンプレート(ひな型)」を身に付けることをすすめています。
テンプレートを使うと次のようなメリットがあります。
1)どの内容をどの順番で書けばいいか迷わないため、速く書ける。
2)情報の過不足がなくなる。
3)論理展開が破綻しにくくなる。
4)頭で浮かんだ順番で書くよりも相手に伝わりやすくなる。
ビジネスで汎用性のある書き方のテンプレートは「PREP(プレップ)法」です。説得力のある文章を書きたいときに有効です。
【PREP法】 結論・理由・具体例・結論の流れで伝える型。
P=Point(結論、ポイント、重要なこと)
例)明日のオンライン会議は通常より10分早く入室してください。
R=Reason(理由)
例)なぜなら、オンライン会議に慣れていない新人が参加する予定で、インターネット接続に戸惑う可能性があるためです。
E=Example(事例、具体例)
例)先月の会議でも、接続に時間がかかり、会議終了時間が遅くなりました。
P=Point(結論を繰り返す)
例)ですから、明日のオンライン会議は通常より10分早く入室してください。
映画が好きであれば、毎回鑑賞後にレビューを書くのもおすすめです。文章を書くトレーニングになります。
――なるほど!映画のレビューの「型」もあるのですか?
小川さん あります。映画や本のレビューの場合は次の型を使うと書きやすいです。
レビューの型
1)概要説明……対象はどういうものか、特徴を説明する。
2)印象に残ったこと……対象についてもっとも印象に残ったことを書く。
3)コメント……「なぜ、印象に残ったのか」、その理由を書く。
簡単なレビューの例を書きます。
1)概要説明
『舟を編む』は辞書を作る編集部に入ってきた新人部員まじめ馬締みつや光也(主人公、松田龍平)とその同僚たちを描いた日本映画です。12年の歳月をかけ、辞書作りに静かに情熱を捧げる登場人物たちの姿に心を打たれます。
2)印象に残ったこと
特に印象に残っているのは、辞書の監修者で国語学者(加藤剛)が部員たちを前に語った台詞。
「『言葉の意味を知りたい』とは『誰かの考えや気持ちを正確に知りたい』ということです。それは人とつながりたいという願望ではないでしょうか」。
3)コメント
言葉の意味を正確につかんでおくことの重要性にあらためて気づかされました。言葉を綴る仕事をする自分にとって大切な気づきとなりました。
レビューの型は、商品のインプレッション(印象)を述べるときなどにも応用できます。