少子高齢化、海外への人材流出などが進み、日本国内の労働者不足に懸念が広がっている。そんな中、企業は人材確保に向けた様々な取り組みを行っており、「副業・兼業」もその一つといえる。
では、「副業・兼業」は人材獲得・確保に有効な施策の一つなのか?
グローバル人材の転職を支援する人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンはこのほど、語学力と専門スキルを活かして働くグローバル人材342名を対象に「副業・兼業」に関するアンケート調査を実施し、その結果を発表した。
「副業・兼業」を認めている企業へ転職したい人の割合は?
転職先を検討する際に「副業・兼業」が認められていることが企業選定の基準となりえるのかという質問では、20・30・40代の会社員51%が基準になると回答、基準とはならないとの回答は23%となった。
50・60代以降の会社員は37%が基準となりえると回答、基準とはならないとの回答は32%だった。年代により傾向はあるものの、多くの会社員は「副業・兼業」を前向きにとらえており、転職を検討する材料にしていることがうかがえる。
外資系企業は約半数が「副業・兼業」を認めている
そこではじめに、勤務先企業が「副業・兼業」を認めているのかについて聞いたところ、「はい」と回答したのは外資系企業勤務の会社員で約半数の49%、日系企業勤務の会社員で42%となった。
2022年10月に発表されている経団連が行った調査でも副業・兼業を認める企業は、19年以降に急増しており、常用労働者が5000人以上に企業においては、83.9%が「認めている」また「認める予定」と回答しており、2019年の46%から「副業・兼業」を認める企業が38%増加している。
経団連は背景には、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(18年公表、20・22年改定)や「モデル就業規則」を公表・改定したことや、コロナ禍においてテレワークが普及し、副業・兼業をしやすい環境が整ったことなどが考えられるとしている。(参照元:経団連)
また、ロバート・ウォルターズ・ジャパンの調査では「副業・兼業」を認めていない企業は外資系企業では3割以下の29%、日系企業では35%に留まっていることがわかる。また、勤務先が「副業・兼業」を認めているのか「わからない」という回答は22%ほどだった。
日系企業勤務会社員は「副業・兼業」にかなり意欲的
では肝心の会社員自体は「副業・兼業」をどう捉えているのだろうか?
「副業・兼業」をしてみたいと回答した会社員は、外資系企業勤務会社員は約6割(59%)、日系企業勤務会社員は約7割(69%)となった。
外資系企業勤務会社員と日系企業勤務会社員では大きな差があり、日系企業勤務会社員は「副業・兼業」に意欲的であることがわかった。既に、「副業・兼業」をしていると回答したのは、外資系企業勤務会社員で16%、日系企業勤務会社員は15%と差はなかった。