会場中央に「エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画」
会場中央には主催者テーマ展示「エンツォ・フェラーリ生誕125周年企画」として、「スペチアーレ・フェラーリ」(限定車のこと)6台が展示されていた。「288GTO」(1984年)、「F40」(1990年)、「F50」(1997年)、「エンツォ」(2004年)、「J50」(2016年)、「モンツァSP1」(2020年)だ。一堂に会する姿は眼福そのもの。まさに、縁起物。
クラシックカーの販売業者の出展も多かった。目立っていたのは、日本車の価格高騰が高止まりしていることだった。「カローラ・レビン」(1973年)に550万円のプライスタグが下げられているのを見ると、溜め息しか出てこない。
奥のブースで、良く知った顔を見つけた。自動車ジャーナリストの九島辰也さんだ。ビスポーク東京という業者とコラボして、アストンマーチン「DB9ボランテ」の内外装を独自に“九島センス”で仕立て直した。ビスポーク、つまり顧客の望み通りに中古車をリフレッシュすることができる。内外装だけでなくカーナビユニットと画面を最新のものに入れ替え、アップルのCarPlayを使えるようにしている。価格は798万円と良心的。
パーツショップや書店、アパレルショップ、ギャラリーなども変わらず多くが出展していた。ここでも、すでに出来上がった絵を売るのではなく、顧客の注文に応じた絵を買いて販売する業者が出展していた。
他にも、音楽ライブやアート作品の展示、トークライブなど、クルマ以外のパフォーマンスが多数用意されているのが、いつもと変わらない。クルマもアートや音楽を楽しむのと変わらないスタンスで楽しもうとする人々へ向けてのイベントとして成熟しながら定着してきた感が強かった。そうした人々は世間的なマジョリティではないから、他のイベントと比較しても意味はないだろう。“量”に惑わされることなく、今後も“質”を追求しながら開催し続けてもらいたい。
取材・文/金子浩久(モータージャーナリスト゜)