40年以上も前の貴重なコンセプトカー「MX-81」に試乗!?
そして、今年のオートモビルカウンシルで最も入念かつ丁寧な展示がマツダだった。テーマは「ロータリーエンジンの可能性の追求と新しい価値への挑戦」。
すでにヨーロッパで販売されている「MX-30 e-SKYACTIVE R-EV」という長い車名のEVには、発電機としてロータリーエンジンが組み込まれている。これまでマツダのラインナップからロータリーエンジンが絶えてしまっていたが、復活することを記念して搭載モデルが展示された。
それは喜ばしいことだし、「MX-30 e-SKYACTIVE R-EV」には早く乗ってみたいのだが、皮肉なことに会場で強い存在感を示し、実際に多くの来場者の足を止めさせていたのは、ロータリーエンジンを搭載しているわけではない「MX-81」だった。
「MX-81」は、1981年に当時の東洋工業(マツダの昔の社名)が“10年後のファミリア”を表現するコンセプトカーとして、1981年の東京モーターショーに出展した。直線と平面をつなげた角ばったボディや極力拡大されたグラスエリア、リトラクタブルヘッドライトなどの時代の流行を物語っている。デザインしたのは、イタリアのカロッツェリア、ベルトーネ。東京をはじめ、各地のモーターショーに出展されたのち、長らくマツダの倉庫で眠っていた。それをイタリアへ送ってレストアされたものだとマツダのブランドアンバサダーを務める山本修弘氏(ND型ロードスターの主査)が教えてくれた。
「運転席に座ってみて下さい」
40年以上も前の貴重なコンセプトカーに座っても構わないのか!?
「どうぞ、どうぞ」
ドアハンドルがポロッと外れてしまったりしないだろうか!?
「大丈夫ですよ」
山本氏は笑っている。
なんと、運転席シートが回転して、乗り込みやすくなっているではないか。ステアリングホイールがなく、メーターコンソールの外周上のプラスチックのコマを動かしてクルマの向きを変えるようになっている。そのコンソールの中心部には、ブラウン管でマルチモニター画面を設えている。
「使わない時には見えないようにフタが付いていますし、グローブボックスも使っていない時は仕舞って広くすることができます」
山本氏が助手席で実演してくれる。簡単な仕組みなのだけれども、知恵を使って良く考えられていて、実用性はとても高そうだ。こうした装備は、果たして当時のマツダ車に取り入れられていたのだろうか?
「それはわかりませんねぇ」
山本氏も、まだ東洋工業に入社していなかったのだろう。実用性を高める工夫は、現代のクルマにも取り入れて欲しい。
エイムというエンジニアリング企業が出展したEVコンセプトカーも注目を集めていた。「AIM EV Sports 01」はリアにモーター2基を搭載しながらもロングノーズショートデッキというクラシカルなスポーツカーのフォルムをまとっている。デザインしたのは、元日産自動車専務の中村史郎氏。最新のEVを古典的プロポーションでまとめる手法もまた新しい。